★ドルナとミシュランは、いかに歴史上最も拮抗したチャンピオンシップを作り上げたのか?

なぜ今シーズンのチャンピオンシップはここまで激しい接近戦になったのか?という記事をご紹介します。ドルナが進めてきたレギュレーション改革、そして2016年からMotoGPにタイヤを供給しているミシュランが提供した前後3種類のタイヤという豊富な選択肢。こういった状況が素晴らしいチャンピオンシップを生み出しているのは間違いないでしょう。

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「今までは存在しなかった好みのタイヤを選択できるという選択肢をライダー達に与えるという”戦略”をミシュランは提供したんです。」少し前までミシュランのレーシングテクニカルディレクターであったニコラ・グベールは、リア3種類、フロントも3種類のタイヤはあまりにも複雑なのではないか?という質問にこう回答した。

合計で9種類ものタイヤ(レインタイヤ前後を合わせて)を供給することで、ミシュランは大成功を収めた。これは以前のタイヤサプライヤーであったブリヂストンにはなかった選択肢だ。実際、タイヤに関してはデータ上は2種類のタイヤしか有りえないという中でも、ほとんどの場合レースで使えるタイヤは1種類だった。

ニコラ・グベール

「ええ。もちろん2種類のタイヤの供給であれば簡単だったでしょう。しかし、もしそのタイヤがあるライダーやバイクにおいて機能しない場合、それはレースにおいてトップ争いから脱落することを意味します。それが、現在は全てのライダーが、彼らにとって機能する1種類もしくは複数の選択肢があるわけです。」

グベールは、このアイディアはそもそもドルナによるものだと言う。2016年にミシュランがMotoGPのダイヤサプライヤーとして復活した際、フロント、リアに2種類の台やを供給するというレギュレーションに自動的に沿う形であった。しかし、シーズンが進む事に、ミシュランは第三の選択肢をライダー達に与えるようになった。そしてミシュランは、全てのレースにおいてフロント、リア共に3種類のタイヤをライダー達とチームに供給するという形を取ったのだ。

「様々なタイヤの選択肢があった事で、チャンピオンシップの興奮、そしてどう転ぶか分からないという状況がありました。ライダー達とチームは、様々な方法でレースに挑むことが出来たわけで、序盤にハードに攻め、後半はタイヤをマネージするというような走りが出来たんです。」

こうした戦略は、今シーズンのシナリオを何度も書き換えた。例えばアラゴンでは、モビスターヤマハのマーベは、フロントにミディアム、リアにハードを選択。これによって、彼はしっかりとアタックが出きるまでリアタイヤが暖まるまで、待つ必要があった。しかし、タイヤが暖まった時には、時すでに遅しだったわけだ。

似たような事がマルケスにも起きた。マルケスはこのレースで集団の中で走行しており、フロントにハードに、リアにもハードタイヤを履いていた。その中にいたバレンティーノ・ロッシは、フロントにミディアム、リアにハードを履いていた。そしてドヴィツィオーゾはフロントにミディアム、リアにソフトを履いていた。この3人は誰一人として同じ組み合わせを使っていない。そしてマルケスは、彼の持てるテクニックを総動員して、レース序盤の転倒を避けたのだ。

この”全ての道はローマに通ずる”(※手段は違えど、目的は同じという意味の例え)というアプローチはアラゴンの表彰台をよく表している。マルケス、ペドロサ、ロレンソが表彰台を獲得したのは、けして偶然では無いのだ。マルケスは前後ハードの組み合わせで優勝。ペドロサは前後ミディアムでマルケスから0.8秒の遅れ、そしてロレンソは、フロントにミディアム、リアにソフトを使用して2秒遅れでゴールした。

このユニークな状況は、ライダー達とエンジニア達から、レース前にタイヤテストに参加したライダーが有利になっているという批判を生む事となった。これはつまり、このテストがレース前の準備のためのテストではなく、完全にタイヤをレース開催前のサーキットでテストをするという、タイヤテストになっているという批判だ。

今までのように選択肢が2つしかない場合、最終的な選択肢は1つしかない。しかし、現在は3つの選択肢が用意されたことで、どれを残すのかという問題が生じているわけだ。

ただ、実際のところこうした状況となったことで、レースは単純にスロットルを捻れば良いというものではなくなった。レースの中でしっかりと考え、分析し、どのようにレースをするか決めるということが重要になり、恐らく歴史上で最もライバル間の実力が拮抗した戦いの中で、レースの終盤、そしてタイトル争いの行方を決める重要な要素となっているのだ。

レースの世界において、常に物事には理由がある。何事も偶然そうなっているというわけではないのだ。

(Photo courtesy of michelin)

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