★MotoGP2018 エルヴェ・ポンシャラル「2019年にザルコを引き止める事は出来ないだろう」

今年のザルコ選手の活躍、今後のテック3の立ち位置などについて、テック3ヤマハのエルヴェ・ポンシャラルのロングインタビューをお届けします。2019年にザルコ選手がテック3から出ていくのは確実で、またロッシ選手がMotoGPチームを将来的に持つことを考えると、テック3もヤマハのマシンを走らせる事が出来ない可能性もあると延べています。

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ヨハン・ザルコは今年ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、チャンピオンシップ6位、3つの表彰台、2回のポールポジション、4回のファステストラップを記録し、テック3にインデペンデントチームタイトルをもたらした。彼はMoto2で2冠を達成しているものの、ここまでの成績を期待していた人間は少ない。スズキはザルコと契約を結んだ後に彼を逃した形で、テック3のマネージャーであるエルヴェ・ポンシャラルがザルコを獲得した。

 

Q

「エルヴェ、ザルコを獲得したということで、あなたはMotoGPにおいて最も優れたマネージャーだった、もしくは最もラッキーなマネージャーだった。どちらでしょう?」

エルヴェ・ポンシャラル

「自分がベストだなんて考えないことです。ですからラッキーだったんでしょう(笑)」

 

Q

「ザルコと契約をした際、ここまでのパフォーマンスを期待していましたか?」

エルヴェ・ポンシャラル

「彼には驚かされました。もちろん素晴らしい結果は期待していました。彼がMoto2で残した記録は凄いですからね。彼はアグレッシブで頭脳派なライダーであることを証明していましたから。ただ、ライダーがカテゴリーを変えた時にどうであるかというのはわからないものです。あるライダーは適応に時間が必要です。例えばラバトのようにね。あるライダーはマルケスのように、あっという間に適応してしまうんです。」

 

Q

「ザルコは2番目のタイプだったと。」

エルヴェ・ポンシャラル

「最初のバレンシアテストの段階から、彼は速かったですね。彼はMotoGPバイクにすぐに適応し、これらのバイクに乗るには何が必要なのかすぐに理解しました。しかし、そう言っても練習走行での良いタイム、そしてレースは別物です。ウインターテストでレースシミュレーションも少ししたんです。その後のレースで、彼はカタールの開幕戦で転倒するまで7周レースをリードしました。彼がフロントを走れると証明したのは良かったですね。しかしあれはユニークなレースでした。トラックは常に難しいコンディションで、トップライダー達はプッシュしたがりませんでした。彼らはポイントを獲得することを優先していたんです。」

 

Q

「彼はガレージに戻ってきて何と話していたんでしょう?」

エルヴェ・ポンシャラル

「彼は感情的にならずミスをしたと言っていました。私は彼がミスをしたとは思っていなかったんです。彼はまたトップで走る機会があるだろうから、自分達はこの転倒で感情的になる必要はないと言いました。アルゼンチンでザルコは5位、テキサスではバレンティーノとバトル、ヘレスではフロントにいました。そこで、自分はいかにこの選手が特別で、素晴らしい選手なのかということに気がついたんです。彼はクレイジーでも愚かでもありません。彼がソフトタイヤを選んだ時に、多くの人間が彼はギャンブルをしていると言っていましたが、彼はそういうライダーではないんです。彼がソフトタイヤを選択したのは、練習走行の中で試して、ガイ・クーロンと共に、レースの最後までソフトタイヤで走れると確信があるからなんです。それに、ザルコはこうした自分の決定について、ミシュランのテクニシャンに意見するだけの度胸があります。」

(※通常、ミシュランのテクニシャンがライダーごとにレースでオススメのコンパウンドを提案するが、自分の意見を押し通せるということ。)

「彼には出来るだけホームのような雰囲気を味わって欲しいと思っています。彼を信頼する人々が周りにいて、ファミリーの一員だと感じて欲しいのです。彼にこうした環境を提供して、彼が全力を尽くせているというのが誇らしいです。ライダーも1人の人間であるということを忘れがちなんですが、バレンティーノやマルケスのレベルであっても彼らは1人の人間です。実際、マルケスはいかにチームが彼にとって大切な存在であるか話していますよね。」

「一緒に時間を過ごす事は、互いを理解することに役立ちます。個人的にはこうした事が仕事に結びついていると思います。練習走行では時間が無い中で多くの作業があります。ヨハンとならすぐに互いを理解し合うことが出来ます。コミュニケーションが重要で、彼はバイクから下りた瞬間から、改善の為にどんな支持を出したらいいのか理解しているんです。皆にはファミリーであるように感じて欲しいと表います。チームはチェーンのようなもので、全てのリンクが重要です。1つがかけてしまったら、他が機能しなくなります。」

 

Q

「彼がファクトリーバイクに乗っていないと言うことを度々忘れてしまいますね。」

エルヴェ・ポンシャラル

「ファクトリーチームにいると、常に何かしらテストすることがあります。あらゆることに集中が必要です。ただ、自分達のM1には進化はありません。ですから、タイヤに作業を集中出来ます。ある意味これで作業が楽になっている部分があります。ファクトリーチームでは、混乱してしまうというリスクもあるんですよ。

 

Q

「ある時点では、ザルコは彼のバイクのほうがファクトリーよりも良いから、バレンティーノやビニャーレスより速いんだという話がありました。」

エルヴェ・ポンシャラル

「ライダーと近いと、時にはライダーを守る必要がありますが、メディア、そしてライダー達からのそうした批判はヨハンには当てはまりません。バレンティーノ、マーベリック、ヤマハには敬意を払っています。それは強調しておきたいのですが、エンジニアも馬鹿ではありません。ヤマハが一体いくつのタイトルを獲得して、いくつのレースで優勝したと思っているんですか?もし2016年型のほうが2017年型よりも優れているのなら、ヤマハはすぐに2016年型を使っていたでしょう。開発で誰がミスをしたのかわかりませんが、ザルコの結果に関してはもっと尊敬の念を持つべきでしょう。」

「ザルコのほうがパッケージがいいんだという批判を聞くと片腹痛いですよ。我々はファクトリーバイクを持っていません。フレームだけでなく、エンジン、サスペンション、エアロダイナミクスパーツに関してもそうです。バレンシアでファクトリーライダー達は2016年型フレームに戻すという決断をしましたが、結果を見ても、もし2016年型のほうが良いのであれば、ファクトリーライダー達がザルコよりも速くなければおかしいでしょう。それに彼は2017年型のフレームをテストして、2017年型ほうが2016年型よりも良いと思うと語っていました。周りが言うことを気にする必要は無いと彼に言いました。彼は目的意識をしっかりと持っている必要があります。彼はセパンテストでも同じフレームを使っていました。」

 

Q

「彼が1月に使用するのはどのフレームなのでしょう?」

エルヴェ・ポンシャラル

「再び2017年型でしょう。ヤマハはこれに関して明確です。我々は色々な種類のフレームから選ぶことが出きると話していましたが、2018年型のバイクを使えるわけではありません。ザルコは、ホンダにとってのクラッチロー、Ducatiのペトルッチのような扱いではないということです。長年のヤマハのサポートには感謝しています。今シーズン獲得した表彰台やポールポジションを考えれば文句は言えません。先程も話したように、常に最新のマテリアルがあるというのは、必ずしもアドバンテージにはならないんです。企業がライダーに信頼をおいてパーツを与えてくれるのは嬉しいものです。もしヤマハが自分達を開発に加えてくれるのであればそれは嬉しいです。ただ、自分達にはファクトリーバイクが回ってこないことは理解しています。20年ヤマハと働いていますし、彼らを信頼していますよ。」

 

Q

「ザルコは市場におけるキーライダーです。ヤマハは彼をキープする努力が必要だと思いますが。」

エルヴェ・ポンシャラル

「ヨハンを確保出来るかの前に、さらに重要な内容があります。バレンティーノがMotoGPチームを持つかもしれないという話が出ていますが、そうなった場合、テック3の居場所はありません。ヤマハにとっても6台のバイクを走らせるのは簡単ではないでしょう。自分も馬鹿ではありませんし、物事がどう動くかは把握しています。ロッシがヤマハにとっての最優先事項であることもわかります。彼はスポンサーを集めるのには、まるでマグネットのような存在ですし、彼のMotoGPにおける重要性は圧倒的です。」

テック3とヤマハのような長年の間柄を作るのは簡単ではありませんが、ただ現時点では将来的にテック3とヤマハが共に歩んでいくかどうかはわかりません。辻さんに将来について出来る限り早めにライダー、そして何よりもチームについて話すことが出来るか相談しています。まずは2019年、2020年にM1を走らせることが出来るかどうか、それからライダー、スポンサーの話になるでしょう。」

 

Q

「ザルコはキープしたいですよね?」

エルヴェ・ポンシャラル

「出来ればそうですね。ただ、これは夢です。MotoGPのトップ4、トップ5のライダーを走らせるには、我々の予算は極めて少ないんです。理論的にもヨハンはさらに契約金が必要でしょうし、完全なファクトリーサポートも欲しがっているでしょう。彼がこの先テック3から出ていってしまう未来は見えています。ただ、彼がMotoGPのデビューをテック3で飾ったことを誇らしく思います。サテライトチームには給料の面、そしてライダーに提供出来る技術的サポートの面で、当然限界があります。」

「自分達はヤマハのジュニアチームだと言われますが、そうでもありません。自分はライダーの選択に裁量がありますし、自分達のチームにいたライダー達がヤマハのファクトリーチームに入ることは極めて稀です。もし本当のジュニアチームであれば、そういったことも少しは話せるんでしょうけどね。数年前はまだザルコを確保出来る可能性がありました。基本的には勝てるメーカーはヤマハかホンダでしたから。でも今は多くのメーカーがあって、様々なチャンスがあります。2019年にヨハンが我々と共に走っている未来は見えませんね。
(Photo courtesy of michelin)

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