★MotoGP2018 ミシュラン「素晴らしいレースが行われることが重要」

ミシュランのタイヤ開発哲学、2016年にタイヤサプライヤーとなるにあたっての苦労話など、興味深いインタビューをお届けします。2018年も、手に汗握る白熱のレースを期待したいですね。

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過去2シーズンに渡って、MotoGPでは数多くの優勝ライダーが誕生し、接近戦が演じられた。2016年には史上初9名のライダーが1シーズンに優勝しており、2017年は数は減ったものの5名のライダーが優勝している。勝者の数が減ったのは恐らくタイヤの理解が進んだからであろう。しかし優勝争いはますます接近戦になってきてる。2016年に1秒以内の差で優勝ライダーが決定したレースは2回だった、2017年は8回もそうしたレースがあったのだ。

過去2年間がなぜここまでエキサイティングなレースになっていたのかは議論の余地があるとして、2016年から明確な2つの技術的な変更点としては、ミシュランがブリヂストンに変わってタイヤを供給するようになったこと、共通ECUの使用が義務化されたことだ。

パスカル・クアノン

「ミシュランはMotoGPに謙虚さを持って戻ってきました。数多く成し遂げるべき内容がありました。しかし同時にミシュランチームには祝福の言葉を送るべきでしょう。素晴らしい仕事をしてくれましたし、過去2年に渡って素晴らしいレースが展開されていました。つまり、ショーの面白さにタイヤのパフォーマンスとタイヤストラテジーが大きな役割を果たすということでしょう。そしてこれこそがミシュランが求めているものです。素晴らしいレースというのは我々にとって重要なんです。」

「5年間MotoGPとの契約を更新した背景には、自信があるからです。これからもハードに作業を続けていきますし、様々なコンパウンドからタイヤを選べるということは、全てのバイク、ライダー達に優勝のチャンスがあるということです。初年度は9名のライダーが優勝し、今年も同様に多くのライダーが優勝しました。これは良い傾向と言えます。」

ドルナCEO カルメロ・エスペレーター

過去2年間にミシュランが成し遂げてくれたことに関しては、全てのMotoGPファミリーが感謝しています。チャンピオンシップの競争力の高さという面で大いに助けになってくれました。2年前よりも圧倒的に良いレースが出来ています。
 
 

【ミシュランは自分達と戦っている」】

ミシュランが初めてグランプリレースで勝利したのは1973年にジャック・フィンドレイによる勝利で、2008年にMotoGPを去るまでに360勝を達成。その後ブリヂストンがMotoGPのタイヤサプライヤーとなった。

ドルナCEO カルメロ・エスペレーター

「チャンピオンシップにおいて異なるタイヤメーカーが参戦していたことによって、大きなインパクトがありました。そしてあれは正しい判断ではなかったと言えます。このチャンピオンシップはモーターサイクルとライダーによるものです。ですから、共通のタイヤを使用するルールとすることにしたわけです。しかし、その時点でミシュランはMotoGPに関わろうとしていませんでした。しかし、我々は常にミシュランが世界で最高のタイヤメーカーの1つであると感じていたんです。この2年間ミシュランと成し遂げたコラボレーションは本当に素晴らしいものでした。」

「誰でもミスはしますし、他のメーカーによるミスもありました。(ブリヂストンのタイヤがフィリップアイランドのドライコンディションで耐久性がなかったために、レース途中でタイヤ交換が必要になった)ただ、この別のブランドと比較すると、問題があった際のミシュランの対応は全く異なっていたんです。ミシュランは常に高いコミットを掲げており、彼らは他のメーカーと競争するのではなく、自分達と競争をしているんです。彼らは6つの異なるバイクメーカーに共通のタイヤを供給しているわけで、こんな事は過去に一度もありませんでした。こうした理由もあってミシュランとの契約を更新したわけです。他の可能性は検討もしませんでした。」

 
 

【ミシュランにとって最も難しかった挑戦】

しかしだからといってそう簡単なものではなく、MotoGPとはそもそも激しい技術的な挑戦を打ち勝つ必要がある競技なのだ。ミシュランの場合、ロリス・バズ、スコット・レディングが走行中にタイヤの表層が剥離するという事があった。またフロントタイヤも最初は問題を抱えており、これはテスト中の転倒の多さ、ライダー達からの不満が噴出するという事に繋がった。

元ミシュラン ニコラ・グベール

「最も難しかった挑戦は、ライダー達からすぐに指摘された内容で、フロントタイヤの性能をアップさせることでした。ミシュランは長いことMotoGPから離れていましたので、フロントタイヤにハードブレーキング時に我々の想像以上のストレスがかかっていたのです。これは2014年9月に行った最初のテストの段階で判明したことで、そこからハードな作業が必要でした。」

「1つ難しかったこととしては、自社のテストライダーで色々なバイクで作業が出来、MotoGPのオフィシャルテストライダー達とテストをすることで限界を引き上げることが出来るのですが、本当の意味でMotoGPのフロントタイヤのテストを行うには、MotoGPのオフィシャルライダーがバイクに乗っていることが必要だったという事です。これはいずれにしてもわかっていたことで、2014年半ばにカルメロと契約をして話を進める中で、2015年に3日間のテストを行うことで合意したんです。そしてここでMotoGPライダー達に協力を依頼しました。その時はライダー達は他のブランドのタイヤを使用していましたが、バイクに乗って、主にフロントタイヤについて方向性を示してくれました。3日間は十分とは言えませんでした。特にライダー達はそれまで他のブランドのタイヤを使っていて、テストの後にはまたそのブランドのタイヤを使うことになるわけですからね。」

「彼らは限界のスピードでは走りたがりませんでしたし、時間も限られていました。チャンピオンシップの最中ですから、彼らも転倒を嫌っていましたし、彼らにとっても難しかったと思います。ですから、このテストに合意してくれたライダー達とチームには感謝しています。本当に大きな大きな助けになりました。しかし、ミシュランがMotoGPのレベルに到達するのには時間がかかりました。2016年時点で既に今まで作っていたタイヤよりは大きな進歩があったのですが、それでも十分ではなく、それもあってライダー達は2017年もフロントタイヤに関して作業を続けるように要求していたのです。」

「そこで我々は新しいプロファイルのタイヤを開発し、ヘレステストの後に構造の調整を行い、ムジェロからは状況は極めて良くなりました。つまりチームは2018年も同じレンジのフロントタイヤを供給して欲しいと言い始めたんです。2018年も同じ形でタイヤを供給しますが、いくつかのレースにおいては必要な調整を加えます。」

 

【品質管理のための仕事】

タイヤ構造とコンパウンドは、現状はファインチューニングで済む段階に来ている。将来的に焦点を当てるべきは品質管理だ。つまり、出来る限り同じタイヤが同一の性能を発揮するようにするということだ。

元ミシュラン ニコラ・グベール

「レース、そしてタイヤの製造においては品質が鍵です。高品質のタイヤを供給することはミシュランのイメージでもありますが、それはMotoGPでも変わりません。この場に戻ってくるにあたり、技術的挑戦は非常に大きく、2年間で大きな向上を果たす事が出来たと思います。ただ、品質面に関してはまだまだやるべきことがあります。大きな向上がありましたが、時にライダー達からパフォーマンスの向上に関して、これこれのタイヤが同じ性能を発揮しなかったという批判を受けることがあります。それが正しくない場合もありますが、正しいこともあります。ですから、どういった事からこうした違いが生じているのかを明らかにし、同じことが起こらないようにしようとしています。」

「これを改善するために工場では多くの作業を行っています。全てのタイヤを同一の品質にし、同一のパフォーマンスをライダーに届けたいんです。製造プロセスにおいて、全ての部材が完全に同一であるかに気を配り、全てが同じ方法で製造されるかに気を配っています。基本的にはコントロール出来る内容は全てコントロールしています。タイヤの材料というのは本当に沢山のものがあって、多くのエリアでコントロールが必要です。そして、これをミシュランはやろうとしているんです。」

 
 

【なぜMotoGPには予選用タイヤがないのか】

ワールドスーパーバイクと異なり、MotoGPには予選用タイヤが存在しない。その代わりに幅広い種類のタイヤが存在する。

パスカル・クアノン

「最終的には予算という問題があります。これが大きいですね。ですから予算をより効果的に使いたいと思うわけです。ですから予選用タイヤよりも3種類目のタイヤを持ち込むことを選んだというわけです。このほうが実用性があると考えているんです。これがより多くのライダー達に優勝のチャンスを与えることになります。」

元ミシュラン ニコラ・グベール

「シーズン序盤にカルメロのチームが、より多くの種類のタイヤを供給してくれないかと相談してきました。そこでミシュランは少なくともこの3種類のタイヤで最後までレースを完走出来ることを数名のライダーで実証しました。そこで3種類目のタイヤが登場したというわけです。これによって、レースでより接近戦が増えているのです。」

また、もう1つの理由としては1周だけ速く走れるタイヤというのは、市販タイヤに活かす道がないということもある。

元ミシュラン ニコラ・グベール

もし予選用タイヤを作るとしても、その技術はストリートとは無縁のものです。ですから、これはミシュランにとっては目的にはならないのです。我々がレースをやっているのは、市販タイヤの技術開発のためです。そのために、16.5インチから17インチへサイズ変更を要請したのです。こうすれば、より市販タイヤへのフィードバックが容易に出来ますからね。16.5インチ、17.5インチといったホイールを市販で見ないのには明確な理由があります。タイヤサイズは少なくとも1インチ、サイズを変更する必要があるんです。17インチのタイヤを16.5インチのホイールに履くことは可能ですが、そうしてしまうと深刻な問題が発生するんです。そんなことは誰も望みませんからね。」

(Photo courtesy of michelin)

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