★MotoGP2018 テック3 ガイ・クーロン「ザルコはトップMotoGPライダーになれる」

今年MotoGPで大きな話題となったヨハン・ザルコ選手のクルーチーフであるガイ・クーロンのインタビューをお届けします。ザルコ選手のライディングスタイルについて、ドヴィツィオーゾ選手との類似点などについて語っています。

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Q

「ヨハンは今年、ルーキーだからと油断していた皆の度肝を抜いたと思います。2017年を振り返っていかがですか?」

ガイ・クーロン

「日本、フィリップアイランド、セパンという異なる3つのコンディションの中で、3つの予選1列目を獲得することが出来ました。もてぎではポールポジション、フィリップアイランドでは3位、セパンでは2位でしたね。トップレベルの素晴らしいコンスタントさだったと思います。レース結果に関しても素晴らしいものでした。セパンで表彰台を獲得、フィリップアイランドも表彰台が見えていました。もてぎのレースも良かったですね。彼はずっと4位で走行していました。最終的にタイヤに問題が出たことで8位となりました。ただヤマハ勢ではトップでした。シーズン序盤から進化を感じてきました。ステップ・バイ・ステップでね。」

 

Q

「ヨハンはその驚くべきスムーズな走りで知られています。M1に彼は合うだろうと思っていました?」

ガイ・クーロン

「こういうことは何ともわからないものですし、ここまで素晴らしい結果は想像していませんでした。彼の目標はベストルーキーだけではありませんでしたからね。彼はルーキー・オブ・ザ・イヤーだけでなく、独立チームトップのライダーともなりました。つまり、彼の前を走っていたライダー達というのはファクトリーライダー達だけであって、その数はたった5人なんです。昨年の最終戦の後にもバレンシアでテストがありましたけど、ポールポジションタイムとの差は小さかったんです。その時点で素晴らしい状況でした。セパンのウインターテストは面白いものでした。フィリップアイランドでの差は少し大きかったですね。」

「彼はフィリップアイランドはあまり好きではありませんし、彼はフィリップアイランドでMoto2クラスで良い成績だったことはありません。ですから、今年レースでどのような結果が残せるかというのは非常に興味深かったんです。そして彼は良い成績を収めた。カタールのテストの3日というのは重要な瞬間だったと思います。初日はいくつかの問題をクリア出来ました。レースウィーク前の最後のテストでは、全てをまとめることが出来ました。この時から彼はバイクをきちんと仕上げる事が出来、ラップタイムが出てくる事がわかっていました。彼の自信も高まっていて、それでレース週を迎えたんです。彼はレース週を素晴らしい形でスタートし、レースのスタートも6周に渡ってトップを走るというものでした。この段階で、彼も、自分達もトップで戦えるという確信が持てました。毎レースごとではないかもしれませんが、ザルコにはトップMotoGPライダーになるチャンスがあると思いました。

 

Q

「彼の仕事のメソッドを少し教えてもらえますか?」

ガイ・クーロン

「彼はバイクについてのフィーリングを説明する際は非常に明快です。自分達は毎セッションの前にいくつかのプランを用意しているんです。これはトラック次第ですが、いつも2回、3回走ることを想定しています。1周が長いトラックの場合は少ない走行にしたいですからね。2回目の走行でバイクを変えたり、何かしら変えた場合は基本的には走る量を決めているんです。彼はこのやり方が好きですね。バイクが完璧でなくてもね。彼は最後までこれが快適性の問題なのかどうかを確かめるんです。フィーリングが完璧でなくても彼はラップタイムを出すことが出来るんです。」

「もし7周走ると決めた場合は彼は7周走行します。5周なら5周、そして最後の走行で4周と決めていた場合は4周きっちり走ります。これは非常に重要なことで、7周走ろうと決めていたのに2周で戻ってきて、”これは気に入らない”と言うライダーもいます。ただ、私に言わせると”2周では良くないかもしれないけど、4周走った後にはタイヤライフが向上しているかそうでないか、ラップタイムが良くなっているかどうかがわかるだろう”ということなんです。最終的にどうなるかはわかりません。こうした関係性はドヴィツィオーゾと一緒でした。彼とヨハンは非常に似た考え方をしています。

 

Q

「つまり2人ともあなたの指示に100%従うということですか?」

ガイ・クーロン

「ヨハンは我々が決めたプランを尊重してくれます。正しい仕事の仕方だと思いますね。」

 

Q

「プレシーズンテストのカタールでヨハンが話すのを聞いて驚きました。ジョナスがその時は彼より速かったんですが、彼はチームメイトの結果を嬉しく思うと語っていました。彼はネガティブな状況の中でポジティブな内容を探していたんです。こうした状況でこういった話をするライダーは極めて珍しいと思いました。」

ガイ・クーロン

「この点に関しては、彼は普通のライダーと異なります。彼はMoto2でも素晴らしい経験を持っていました。彼は”時には自分よりも他のライダーのほうが速いと感じる事もあるけど、そういう場合は彼らを序盤からコントロールしようとするんだ。もし抜かれたら、出来るだけすぐさま抜き返す事を考える。そして彼らをコントロールしようと努力するんだ。レースの最後ではプッシュして彼らを抜こうと努力するんだよ”と教えてくれました。彼は序盤に速いライダーをコントロール出来なければ、レースの後半に速いライダーをコントロールする事は不可能だと知っているんです。ですから、こうした事を理解して状況をコントロールしようとすることなんですが、言うは易しですよね。そしてもう1つはこうしたライディングをしっかりと実行することです。」

 

Q

「今年ヨハンは多くのシチェーションで、他のライダー達がミディアム、ハードを使用する場面でソフトタイヤを使用していました。なぜ彼はソフトタイヤを使用することが出来るのでしょうか。」

ガイ・クーロン

「ミシュランタイヤを使用するのは、しっかりとタイヤを理解することが必要なんだと思います。これに関してはDucatiのライダー達も得意だと思います。これがライダー、チーム、その両方の選択なのかどうかはわかりませんが。タイヤの選択に関してはヨハンも上手いですね。それに彼は他のライダーの選択に関わらず自分のタイヤを選択することが出来ます。彼は自分のやり方を変えないんです。それに、ドライのレースにおいて我々はタイヤ選択による問題があった事はありません。もしタイヤチョイスに関する考え方がオールドスクールだと、ミシュランタイヤは扱いにくいでしょう。ブリヂストンとは選び方を変える必要があります。ブリヂストンと同じ考え方であると、ミシュランのタイヤがどうやって機能するかを理解するのは難しいでしょうね。」

 

Q

「ということは、ヨハンがブリヂストンを使った事が無いのはメリットになっている?」

ガイ・クーロン

「そうです。もし他の全てのライダー達と異なる選択をするということは、ミシュランのテクニシャンの言う事、他のライダーの言うことに左右されない強さが必要です。簡単ではありませんよ。ただ、徐々にヨハンのようにタイヤを選ぶ選手が増えてきました。」

 

Q

「彼がソフトタイヤを履けるのはスロットルコントロールの賜物ですか?」

ガイ・クーロン

「ええ。彼は極めてうまくスロットルコントロールが出来ると思います。一番ハードなタイヤでレースをしたアルゼンチンでは、この選択をしたのは我々だけでした。FP3の走行に問題があったので14番グリッドでスタートしましたが、彼は5いでレースを終えました。これは逆のパターンですが、彼はこういった状況のコントロールが出来るんです。もしスロットルコントロールが上手く出来ていれば、ソフトタイヤを履いた時にタイヤを無駄使いせずに済みます。またハードタイヤを履いた時も、よりスムーズにコントロールが出来ます。こうしたライディングスタイルはタイヤだけでなく、異なるトラックコンディションにおいて、異なるグリップコンディションにおいても有効です。」

 

Q

「アルゼンチンが話題に出ましたが、ヨハンは年間を通じて素晴らしいパフォーマンスを発揮しました。あなたにとってこれだと思う1戦は?」

ガイ・クーロン

「皆がその良さを理解したわけではないでしょうが、ドイツ戦も良かったですね。彼は1周目に19位、最終的には9位でした。もしラップごとに見ていけばよく分かるでしょう。ドライのセパンにおけるセッションごと、ウォームアップにおける彼の走行は素晴らしかったと思います。レースは雨でしたが、彼は雨の中でも悪くなかったですよね。」

 

Q

「もしドライであったら、優勝していたかもしれません。」

ガイ・クーロン

「ええ、彼の競争力は高かったですからね。」

 

Q

「カル・クラッチローとジャック・ミラーが昨年は優勝しました。ヨハンとダニロ・ペトルッチが今年は何度も表彰台を獲得しましたが、統一エレクトロニクスがサテライトライダー達の表彰台獲得を助けたと思いますか?」

ガイ・クーロン

「何とも言えませんが、今やチャンピオンシップは非常に見応えがあって激しい競争の中にあります。本当に良いバイクと素晴らしいライダーしかいませんからね。本当に本当にタイトな戦いですよ。これはトップ争いに限った話ではありません。全てのレースをチェックしたわけではありませんが、例えばジョナスはアラゴンで16位で、優勝ライダーから30秒離されていました。非常に接近していますよね。1年前はドヴィは9位で33秒トップと差がありました。優勝したライダーのレースタイムはほとんど変わっていませんけどね。遂に色々なレギュレーションやECUの変更が、極めて魅力的なレースを生み出すに至っているんです。」

 

Q

「あなたが考えるに、ミシュランのタイヤの選択肢が増えたことも要因の1つでしょうか?明らかにチームもライダー達も自分達に合うタイヤを見つけやすくなりました。」

ガイ・クーロン

「特定のライダーや特定のマシンは、一定の特性が強いタイヤが必要です。ですから、そういう意味ではさらに選択肢が増えました。それに今年ミシュランは今までのタイヤよりも安全性が高いタイヤを持ってきました。この新しいフロントタイヤは、全てのライダー達と全てのバイクに対して機能していると思います。毎レースで最適なタイヤを履けるという状況に近づいています。昨年ミシュランは復帰初年度ということでいくつか違う構造のタイヤを持ち込んでいました。ただ、この時はこれらのタイヤを効果的に使うのが難しかったんです。今は常にフロントは同じ構造です。それにリアも基本的には同じ構造のタイヤです。(※サーキットによっては左右非対称コンパウンドなどであるということ。)基本的にはゴムの種類の違いだけです。皆にとって理解しやすく、使いやすいですね。」

 

Q

「アンドレア・ドヴィツィオーゾとも過去に一緒に仕事をしたことがありますが、彼が将来今年のようなタイトル争いをするシーズンを送ることになると感じましたか?」

ガイ・クーロン

「ドヴィと一緒に働くのは楽しかったですね。彼は素晴らしい人物で、素晴らしいプロフェッショナルですから。彼は自分のセッティングとバイクについて実に良く理解しています。彼は全てをコントロールすることが出来るんです。彼がDucatiに移籍した時、その時点数名のジャーナリストが私がどう思うかを聞いてきました。私は、Ducatiにとってはあの状況で選択出来る最高のライダーはドヴィツィオーゾだろうと答えました。彼はしっかりと仕事が出来るライダーですし、メディアなどのプレッシャーに関わらず仕事が出来るライダーですからね。ドヴィが今年Ducatiで走っていなければ、Ducatiの今の状況は全く違っていたでしょう。

 

Q

「つまり彼の働き方がDucatiを前進させたということでしょうか?」

ガイ・クーロン

「ええ、ステップ・バイ・ステップで彼はデスモセディチを作り上げました。彼はどうやってバイクを使うかも理解しています。彼は徐々に良い結果を得るようになって勝てると感じるようになったのでしょう。彼とDucatiにとってポジティブなダイナミズムですね。」

 

Q

「ヨハンがここまで素晴らしいシーズンを送ることが出来たのは興味深いです。ただ、ファクトリーのビニャーレスとロッシは苦戦していました。特にシーズン後半はそういう傾向がありました。モビスターチームは何が上手くいかなかったのでしょうか?」

ガイ・クーロン

「100%確信があるわけではありませんが、彼らは異なるシャーシを色々と試していましたよね。彼らは今までに使用していたシャーシよりも良いと感じるシャーシを残しているようでした。我々サイドは、シーズン開幕から終わりまで同じシャーシを使用していました。正直、今年前半の自分達と、シーズン後半のDucati、ホンダと大きな差は感じませんでした。つまりテック3のシャーシは全く新しくなっていないわけで、それでホンダとDucatiとの差をほとんど感じなかったということなんです。もしファクトリーチームが異なるシャーシを使用してより良いバイクを使用していたのであれば、彼らはホンダやDucatiとの差を縮める事が出来たはずです。ただ、実際はそこには大きなギャップがありました。ですから、私達にとってもこれは謎なんです。」

 

Q

「タイヤとシャーシの性格を近づけようとしたという事があるんでしょうか?」

ガイ・クーロン

「新しいシャーシを試す時、レースで使用するタイヤでテストを行います。基本的には同じタイヤでシャーシの比較を行うんですよ。彼らは経験豊富なライダー達を抱えていますしね。もし彼らが特定のシャーシを選んだのであれば、そのシャーシを信用することが出来ます。」

 

Q

「いくつかのシャーシがあったという話ですが、ヨハンとジョナスはモントメロのテストでシャーシのアップデートは受けなかったのでしょうか?」

ガイ・クーロン

「基本的には少しの変更が加えられた同一のシャーシでした。ジョナスは気に入らず、彼は以前と同じシャーシを使用し、ヨハンは少し気に入ったのでそれを使用しました。ただ、ジオメトリーであるとかは基本的に同一のシャーシでした。」

 

Q

「昨年はブラッドリー・スミスとポル・エスパルガロが、アップデートの少なさについてテック3での待遇に不満を述べていました。」

ガイ・クーロン

「ええ。ただ、今年も昨年彼らが使用したのと同じシャーシなんですよ。

 

Q

「ということはヨハンが使っていたシャーシは2015年、それとも2016年製なのですか?」

ガイ・クーロン

「今年使っているシャーシは、ポルが2015年の半ばから使用し始めたものだと思います。私は今でも良いバイクだったと思っています。このバイクは良い働きをすると思っていました。1つか2つは変更したい部分がありましたけどね。あそこも、ここも変更したいというようなバイクは考えることが多すぎるんですよね。我々のバイクはいくつかの強みがあって、弱点は1つか2つです。パニックを起こさず、こうした点を改善していけばいいんです。」

(Photo courtesy of michelin)

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