マルク・マルケス選手のロングインタビューをお届けします。将来的にどのチーム、メーカーで走ることになるかは心の声に従うということですが、現時点でマルケス選手の事を実に大切にしているホンダ以外でマルケス選手が走る未来はあるのでしょうか。また、リスクを冒しすぎる走り方は変えたいとしていますが、限界で走るというやり方は変えたくないと以前話していますので、マルケス選手にとって「リスクを冒す=限界を超える」という事なんでしょう。

マルケスはSkyの報道陣をRufeaで迎えた。このフラットトラックは、彼が1年を通じてトレーニングを行っている場所だ。6度目の世界タイトルを獲得したマルケスは長時間のインタビューの中で2017年シーズンを振り返った。ライバルであるロッシ、ドヴィツィオーゾ、そして将来についても語っている。

マルク・マルケス

「Rufeaは自分の第二の家と言えます。ここでトレーニングして、時々上手く行かない週末だった時は自分を振り返るんです。ここでトレーニングをするのが好きなんですよ。ここには自分が助けたいと思う若い子たちもいますし。いかにライディングスタイルを改善するか、食事などについてアドバイスしてるんです。バレンティーノはランチを上手く経営していると思います。特にメンタリティーの部分に関してそう言えます。ランチはライダー達にとって大きな助けになりますね。今はわかりませんけど将来的に自分も同じような施設を持つかもしれません。いいアイディアだと思いますけど、しっかりと管理する必要がありますし、彼の場合多くの人に頼ることが出来るでしょうからね。」

「ホンダの選手でいうとミック(ドゥーハン)はとてもアグレッシブなライダーでしたよね。彼はレースへのアプローチにしても自分と良く似ていると思います。彼は爆発的ですし、自分にもホンダは激しいライディングが必要だとすぐにアドバイスしてくれました。」

「タイトルの数に関しては、これといって目標を決めているわけではないんです。確かに自分は多くのタイトルを獲得していますけど、毎年内容は違いますし、それもあって毎年挑戦して成長しているわけです。」

「ヘイデンが亡くなったことに関しては大きなショックを受けました。2008年に世界選手権にデビューした時、プレゼンテーションの場で彼の隣にいたんです。自分はまだほんの子供でした。」

「ケーシー(ストーナー)は自分によく似た爆発的なスタイルですし、彼もリアホイールでライディングするライダーですね。面白いことに、彼が強かったトラックでは自分も強いんですよ。そして彼が苦戦したところでは自分も苦戦しています。彼はトラックの中でも外でも強烈なキャラクターですし。」

「バレンティーノはストーナーの正反対ですね。ケーシーは数多くの優勝と表彰台を獲得した後にレースをするのを辞めました。ロッシはランチ、そして彼自身のトレーニングから多くのサポートを得ています。自分が言えるのは、自分は体が許す限りレースをするということです。もちろん気持ちの部分も当然ありますが。」

「バレンシアのセーブに関してはどうやって立て直したのかわからないんですよ。リラックスしていたということ、そして自分の肘を開けたライディングスタイル、トレーニング方法によるもののおかげではないでしょうか。あんな凄いスライドは今まで起きた事がありません。何で転倒しなかったのかわからないんです。」

「あまりにもリスクを冒しすぎるというスタイルは少し変えたいと思っています。怪我をする可能性がありますからね。ただ現状はこういったライディングをしているわけで、それを変えてしまうとホンダに乗っているような感じがしないんです。今シーズン前半はリスクをあまりとらないようにしていて、それで何度か転倒がありました。ですからこのアプローチを変えようと思いましたし、2018年はもう少し転倒の数を減らしたいですね。」

「将来的なチームに関してはわかりません。オープンマインドではいます。自分の優先事項は最初から自分に信頼を置いてくれるメーカーです。で、それがホンダだというわけです。基本的には自分の心に従いますよ。自分がいつも言っているように、ギャンブルを求めているわけじゃありません。ただ、競争力の高いプロジェクトとバイクがあれば優勝を重ねることが出来るでしょう。大事なことはハッピーであること。それが大事なんです。」

「ドヴィからはトラックの中と外に関して色々と教わりました。特に、誰の事も過小評価してはいけないということがわかりました。彼がムジェロとバルセロナで勝利した時、自分は喜んでいたんですよ。彼がバレンティーノ・ロッシとビニャーレスからポイントを奪ってくれると思っていたんです。ただ、彼は恐ろしく競争力が高く、自分とタイトル争いを演じることになりました。」

「彼はレースに対して素晴らしいアプローチをしていますし、彼のライディングスタイルは誰かの為に変わるということがありません。レッドブルリンクの最終ラップでの彼のジェスチャー(※最終コーナーでのマルケス選手のオーバーテイクに対して、”何考えてるんだ?”と言わんばかりジェスチャー)は当然ですよね。もしかしたら2人とも転倒していたかもしれないわけですから。ただ、挑戦せずにはいられませんでした。あの段階で彼はタイトル争いが出来るということがわかっていたと思います。」

「優勝しているバイクが横にあると、やはり乗ってみたくなりますよね。これはDucatiもそうですし、KTMやヤマハも試してみたいとは思います。誰もが”隣の芝生は青く見える”って言いますしね。」

「バレンティーノは皆にとってお手本となるライダーです。彼は幾度となく優勝を重ねていますしね。2008年に彼からスバルのラリーカーのミニカーをもらった時は嬉しかったです。」

「2015年のマレーシア戦のことは忘れてしまいたいですね。2015年自体を忘れてしまいたいと思っています。それが一番でしょう。あれは木曜のプレスカンファレンスから始まったんです。そこから一気に激しくなって、金曜から日曜の忘れることが出来ないレースまでヒートアップしていきました。今年もオーストラリアでは激しいバトルがありました。何度か彼と接触しましたね。今現在、バレンティーノとの関係はプロフェッショナルな関係です。他のライダー達との関係と同じです。互いに相手を負かそうとしているわけです。」

「自分は常にベストを尽くしています。自分のキャリアが行き着く先はどこになるかはわかりませんけどね。一晩で何もかもが変わる可能性があるんです。ライダーの努力もあるでしょうが、チームの貢献が基礎になると思います。」

「来年は6名のライダーが強いでしょう。ヤマハの2人、ドヴィツィオーゾ、ペドロサ、ロレンソ、ザルコですね。自分の夢?それは弟のアレックスと一緒にMotoGPクラスで走ることですね。」

(Photo courtesy of michelin)

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