2018年シーズン開幕まではまだ時間がありますが、これから数回に渡って2018年のMotoGPの見どころを解説していきます。

モビスターヤマハは再びトップレベルの戦いが出来るのか?

2017年シーズン中は、プレシーズンテストで常に総合タイム最速だったのはモビスターヤマハのビニャーレス選手でした。また、開幕戦カタール、第2戦アルゼンチンでも連勝を果たすなど、開幕2戦が終わった段階では、プレシーズンテストの速さもあって「今シーズンはビニャーレスがタイトルを獲得するのか?」と思わせる強さを発揮していました。しかしビニャーレス選手はアメリカGPで転倒、ロッシ選手もテック3のザルコ選手と激しいバトルを展開、続くヘレスGPではザルコ選手がビニャーレス選手とロッシ選手を抜いて4位でレースを終えます。今から振り返ると、ザルコ選手がファクトリーの2人よりも前でゴールしたこのレースが、2017年シーズンのモビスターヤマハの苦戦を予期させる1戦だったと言えるかもしれません。

しかしその後はビニャーレス選手の原因不明の転倒が始まり、ファクトリーヤマハ全体で電子制御、シャーシに関して問題が噴出。ファクトリーチーム内でシャーシ変更を行うか、そのままセッティングを煮詰めていくのかなどに関してまとまった意見が出なかったために、問題の解決が遅れたと言えるかもしれません。また、次々と投入されたシャーシに関しても2016年型の方向性で行くのか、2017年型の改良を進めるのかということで方向性が最後まで決まらず、最終戦でも2016年型シャーシが使用されました。なお、2018年型のシャーシは2016年型をベースに開発が進められることが大筋で決まっています。

しかし、ビニャーレス選手、ロッシ選手もシーズン中は表彰台が全く獲得出来なくなっていたわけではなく、表彰台を獲得出来るレースもあるが、調子が悪いレースに関してはまったく良い結果が出せなかったことが大きな問題となりました。これは調子が悪い時であっても最低でも表彰台争いは出来るレベルの走りをしていたマルケス選手とは大きな差となって、シーズン後半になって大きく響きました。また、ビニャーレス選手もアラゴンGPの段階でタイトル争いは実質的に難しいという発言をするようになり、モビスターヤマハがシーズン終盤の早い段階でタイトル争いから脱落する形となりました。2018年シーズンにも同様の苦戦をすることは許されないファクトリーヤマハですが、ビニャーレス選手とロッシ選手の開発方向の違いが発生する可能性もゼロではなく、今シーズンに高い戦闘力を取り戻す事が出来るかどうかは、ヤマハにとって大きな課題であると言えるでしょう。

(Photo courtesy of michelin)