★MotoGP2018 シルヴァーノ・ガルブセラ「2017年は本当に酷いシーズンだった」

2017年のファクトリーヤマハの苦難について、ロッシ選手のクルーチーフであるシルヴァーノ・ガルブセラが語っています。シャーシから来る問題点を解決出来ない限り、2018年に良いレースをすることは難しいでしょう。

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ヤマハにはやるべき仕事が沢山ある。ヤマハはMotoGPタイトルを獲得する必要があり、良いバイクを作り、あと1シーズン、2シーズンほどバレンティーノ・ロッシに現役で走ろうと思わせる必要がある。

こうしたゴールを達成するには、ヤマハは他のいかなるファクトリーよりも忙しくなる。これはロッシとチームメイトのマーべリック・ビニャーレスを嵌った穴から引き出す必要があるわけだ。昨年は18戦で4勝しか出来なかったということで、ヤマハにとってはMotoGPの最悪のシーズンの1つだった。しかしこれは昨年だけが特別に悪かったということではなく、MotoGPの新たな技術ルール(異なるタイヤとエレクトロニクス)が始まって以来、ヤマハの勝率は単純に50%以上も悪化している。つまり、2015年1年間で達成した優勝数を、2016年と2017年の優勝数が下回っているのだ。

別の言い方をすると、ヤマハはブリヂストンタイヤ、内製のソフトウェアという時代から、ミシュラン、ドルナの統一ソフトウェアへの変遷で、いい形で変化を迎えることが出来なかった。YZR-M1がダメなバイクになったというわけではないが、MotoGPの最新のコントロールコンポーネントへの適応が上手く出来ていないわけだ。

昨シーズンにヤマハはコーナーエントリーとコーナーの中で問題に直面した。さらに、加速の際のメカニカル、エレクトロニクスグリップの不足を抱えていた。別の言い方をすると満身創痍だったということだ。

シルヴァーノ・ガルブセラ

「本当に酷いシーズンでした。2016年にバレンティーノはバイクに良いフィーリングを抱えていましたが、残り5周、6周の段階でリアタイヤが終わってしまっていたんです。2017年はヤマハはタイヤをセーブする方向にバイクを変更しまいた。いくつかのトラックではこれは良い方向に働きましたが、バレンティーノは必要としていたフィーリングを失ってしまいました。そして彼はコーナーに素早く進入すること、自分のラインをキープすることが出来なかったのです。データ上はこれはあまりわかりません。しかし、これはライダー自身の言葉からは明らかなのです。2016年のバイクは乗りやすく、タイヤからの優れたフィードバックがあり、彼はプッシュすることが出来ました。しかしリアタイヤの摩耗が激しかったんです。」

「2017年の始めに、新しいバイクはバレンティーノにとって100%のバイクではないとわかりました。ただ、同時にマーべリックは本当に速かったんです。開幕戦はそこまで悪くはありませんでした。しかしその後正しいセッティングを見つけることが出来ず、ヤマハはシャーシを少し変更しました。これはジオメトリーの変更をし、同様の硬さを持ったシャーシでした。しかし、バレンティーノは2016年のようなフィーリングを得る事が出来なかったのです。」

ヤマハのこのコーナー出口におけるグリップ不足は、コーナー進入の問題もあってさらに悪化することとなった。

「もしライダーがコーナー進入で良いラインを取れなければ、少しアクションが遅れます。これで少しタイムを失いますが、ライダーはコーナーの終わりでこのミスを取り戻そうと多めにスロットルを開けることになります。つまりこれによってライアタイヤを消耗することになってしまうんです。」

「2017年シーズン中は、良いタイムを追うことを諦め、いかにリアタイヤをセーブするかを考える必要がありました。ですからパワーを減らしタイヤを消耗しないようにしましたが、これによって加速が悪くなりました。これは危機的な状況です。ヤマハのバイクはスピンやタイヤを過剰に摩耗しない限り加速が出来ないので、エンジンの全てのパワーを使うことが出来ないんです。」

またヤマハは、コーナーにおけるあらゆる場面での性能を向上させるため、より優れたシャーシバランスを見つける必要がある。ガルブセラはこの大きな課題は、ヤマハのエレクトロニクスエンジニアが、Ducatiやホンダがそうしたよ

「ホンダとDucatiは、バイクのリアの挙動に関して何かしらエレクトロニクスから、パワーデリバリーに関する秘密を見つけていると思います。ライダーがバイクを起こす時にシステムがこれを認識して、ライダーはプッシュすることが出来ているんです。もし彼らのバイクのサウンドを聞けば、エレクトロニクスによる点火のカットが少ないことがわかります。つまりより優れた加速を彼らは持っているんです。ヤマハは何かしらこうした内容に関してエレクトロニクスの面で作業が必要です。ヤマハはリアタイヤをボロボロにしない形で加速する方法を見つける必要があります。」

DucatiとホンダはドルナのMagneti Marelliソフトウェアに関するアドバンテージがある。これは彼らがこのイタリアのソフトウェアの大企業から、最高の技術者を雇っているからだ。

「DucatiはMagneti Marelliと長年共に仕事をしてきましたし、昨年HRCは、Ducati、そしてMagneti Marelliで仕事をしていたエレクトロニクスエンジニアを雇っています。こうした人間はシステムの全てを理解しています。ですから、彼らにとっては正しいセッティングを見つけるのは簡単なんです。」

ならば、なぜヤマハはMagneti Marelliのエンジニアを雇わないのだろうか?

「それは、恐らく既にこうした種の経験を持ったエンジニアは既に残っていないからなんです。とにかく、ヤマハはホンダやDucatiが見つけたように、エレクトロニクスに関する作業が必要で、何かしらを見つける必要があります。これはヤマハにとっては非常に重要です。タイヤをダメにしない状態で加速出来ることが必要で、なおかつバイクの俊敏性も維持する必要があるんです。」

昨シーズンはロッシにとって、Ducatiにおける惨憺たる2年を除くと、MotoGPにおける最悪の年の1つだった。もちろんこれはロッシだけではなく、ビニャーレスにとっても同様だ。彼はシーズンをタイトル獲得候補としてスタートして3勝したものの、彼のシーズンは散々な形で終わった。

「マーベリックはバレンティーノよりも軽いライダーです。ですから彼のほうがタイヤの消耗は穏やかです。彼らのブレーキングに関するセッティングは非常に近い事が多いんです。バレンティーノのほうが背が高く重いのにも関わらずね。バレンティーノのほうが少しだけ強力なセッティングを必要とします。マーベリックのセッティングは、よりホルヘが使用していたものに近いですね。」

それではテック3の輝かしいルーキーのヨハン・ザルコはどうなのだろう?彼は2016年のシャーシで素晴らしいシーズンを過ごした。

「ヨハンはバレンティーノより少し軽く、フロントタイヤにもリアタイヤにも非常にジェントルな走り方です。ですから彼は非常に柔らかいセッティングを使用することが出来ます。同じセッティングはバレンティーノには使えません。彼はフロント、リア共により強力なサポートが必要です。これは彼のブレーキ、加速の仕方によるものです。」

ガルブセラは、始めて2016年のバレンシアで採用された強固な構造のフロントタイヤを再び使用する前に、昨シーズンの開幕でミシュランが柔らかい構造のフロントスリックタイヤを使用したのは誤りだったと考えている。

「なぜ2017年にミシュランがタイヤを変更したのかよくわかりません。ムジェロから固いタイヤになった事はバレンティーノにとっては明らかにプラスでした。これによって彼はさらにサポートを感じる事ができたんです。」

このフロントの06タイヤから70タイヤへの変更は、ロッシにとってはある程度の助けになったかもしれないが、ビニャーレスにとっては災難だった。実際、ビニャーレスはこのタイヤに変更されてから優勝できていない。

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「06タイヤであれば、ビニャーレスはどんなライディングも出来たと話していました。自分達も方針を少し見失いましたし、ライダー自身もバイクに対しての信頼を失ってしまいました。」

ロッシとビニャーレスは2017年に4つの異なるシャーシを使用した。カタールからの2017.0、6月からの2017.1、8月から使用された2017.2、そして最終戦バレンシアでは2016年型シャーシが使用された。この最終戦の変更はまさにやけくそとも言えるものだ。ファクトリーマシンにこの変更が加えられたのは土曜の夜で、セッティングの時間は朝に行われたウォームアップのみだった。どちらのライダーもこの1年落ちのシャーシで良い結果を得られなかったのは当然だろう。ロッシは5位、ビニャーレスは12位で、ザルコは2016年のM1で、あと少しで優勝するところだった。

シルヴァーノ・ガルブセラ

「2016年のシャーシをレースウィークの後で使用しようと思っていました。レースでは特に失うものはありませんでしたから。多くの情報を見つけましたが、今はこれをしっかりと分析する必要があります。」

ヤマハは11月に再びテストをマレーシアで行っている。チームはテストの後に自信を得たようだ。しかし、いずれにせよ、ヤマハのエンジニアが2018年シーズンに向けて、どのメーカーのエンジニアよりもハードに働く必要があるということは間違いないだろう。

(Photo courtesy of michelin)

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