★2018年のMotoGPの見どころ(その6) 各メーカーのエアロダイナミクスフェアリングの方向性は?

2018年シーズンの開幕前に、2018年のシーズンの見どころを解説しています。その6としては、2017年も大きな話題となった、各メーカーのエアロダイナミクスフェアリングに関してです。

2018年の各メーカーのフェアリングデザインは?

2017年シーズンが始まる前には2016年まででウイングレットが禁止となったことから、2017年に各メーカーがどのようなフェアリングを投入するのかに大きな注目が集まっていました。2017年シーズン開幕までを振り返ってみると、Ducatiが試験的に「ハンマーヘッドシャーク」という愛称でジャーナリスト達の注目を集めた異型のカウルを、カタールテストで投入しました。結果的にはダウンフォースを得るという目的は達成しつつも、トップスピードの落ち込みが大きかったようで、このフェアリングの実戦投入はありませんでした。この異型のデザインを見たことで、各メーカーともに「ここまでやっていいのか」と感じたのではないでしょうか。

その後シーズンが開幕すると、Ducatiはスタンダードカウルでレースを続けますが、後半戦のチェコGPからまたしても異型のフェアリングを投入。これをロレンソ選手が大いに気に入り、シーズン後半までほぼこのフェアリングでレースを行っていました。

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ヤマハはシーズン前半にフェアリング内側にダクト構造を持つフェアリングを投入。エアロダイナミクスフェアリングのデザインも流石ヤマハは美しいと話題になりました。シーズン後半からはノーズ部分の左右が延長され、角ばった部分の先にダクト構造を持つフェアリングを使用しました。



ホンダはシーズンを通して控えめなフェアリングを使用していた印象が強く、もともとエアロダイナミクスカウルが好みではないペドロサ選手は、マルケス選手と比較すると、エアロダイナミクス効果を生み出すパーツが非常に小振りなフェアリングを使用していました。



スズキはシーズン前半はフェアリング両端に膨らみがあるタイプを使用していましたが、後半からは通称「口ひげ」タイプと呼ばれる、両端に特徴的なシェイプを持つフェアリングを投入しました。



アプリリアはシーズン前半はロウズ選手がダクトを持つタイプのフェアリングを使用。エスパルガロ選手はスタンダードカウルを使用することが多かったようですが、シーズン後半からはフェアリング外側に大きな角ばったダクト状の構造を持つフェアリングを使用していました。ロウズ選手はシーズン後半まで前半と同様のフェアリングを使用していましたが、これがライダー自身の好みによるものか、エスパルガロ選手と同様のフェアリングが供給されなかったのかどうかは定かではありません。


KTMは開幕戦カタールではスリムなスタンダードカウルを使用していましたが、シーズン前半にフェアリング両端のエラが張ったものを投入。KTMはシーズン中のデザイン変更の回数に制限がありませんでしたが、他のメーカーのように大幅にイメージが異なるフェアリングは投入しませんでした。


2018年に各メーカーがどのようなフェアリングを投入するのかは、まだ明らかになっていませんが、ヤマハは2017年11月に、セパンにおいて行ったプライベートテストで、まるでウイングレットを思わせるような極端なデザインのフェアリングを披露。これは当然シーズン開幕前なので、いかなるデザインであっても構わないわけですが、「これはウイングレットではないのか?」「こんなフェアリングでもいいのか?」ということで、大きな話題となりました。

結局どのようなフェアリングがルール上問題ないのかを判断するのは、ドルナのテクニカルディレクターであるダニー・アルドリッジの主観であると、レースディレクターのマイク・ウェッブが2017年中に述べています。現状は2018年のエアロダイナミクスデバイスに関するルールの詳細は決まっていないようですが、仮にヤマハが投入したフェアリングに許可が降りるようであれば、各メーカーのエアロダイナミクスフェアリングの形状は、さらに過激な方向に進むと考えられます。

そもそも、ウイングレットが禁止になったのは、実際にライダーの負傷事故などが起きたわけではありませんが、接近戦の際にライダーとウイングレットが接触する可能性、転倒時にウイングがライダーと接触して怪我をするなどの可能性があるためでした。また、ドルナ側の狙いとして、こうしたエアロダイナミクスデバイス開発に関しての開発費を抑制することで、よりメーカー間の戦力差を少なくしたいという考えもあったでしょう。

しかし、結果的には2017年シーズンのルールでは、シーズン中にデザインの変更が可能であったことから、(※各メーカーのライダー達は、フェアリング、マッドガードのデザイン変更についてはシーズン中に2度まで許可される。なおKTMは除外)今まで述べてきたように、各メーカーがそれぞれ工夫を凝らしたフェアリングをシーズン中に投入しました。当然それに関わる開発費もかなりの額であった事が予想されます。

今年の各メーカーのフェアリングがどのような方向に進むのかは明らかではありませんが、考えられるシナリオの1つとしては、ヤマハのような過激な方向のフェアリングデザインもルール上問題ないとされ、各メーカーがさらに過激な方向のデザインを進めるというもの。もう1つは、2017年シーズンよりはデザイン上の制約が増えて、2017年よりは少し落ち着いたデザインを各メーカーが採用するというもの。

しかし、2017年シーズン中には突起物がどうこうといった話題はほとんど出なかったことから、今のルールよりもエアロダイナミクスデバイスに関するルールが厳しくなることはなさそうです。いずれにせよ、各メーカーは互いに手の内を開幕直前まで明らかにしたがらないでしょうから、開幕直前のカタールテストまでは新しいデザインのフェアリングが披露される可能性は低いでしょう。逆の言い方をすると、ヤマハが2017年中に実施したプライベートテストで新型フェアリングを披露したという事実は、ホンダ、Ducatiに遅れを取っている現状、もはや、なりふり構っている状態ではないという事の裏付けとも言えます。

(Photo courtesy of michelin)

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