★MotoGP2018 トップライダーでありながら「普通の人」 アンドレア・ドヴィツィオーゾ

昨年はマルク・マルケス選手と素晴らしいタイトル争いを演じたアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手について、2012年にテック3で共に過ごしたエルヴェ・ポンシャラルが語っています。こういった裏話を聞くと、今年も素晴らしいシーズンを送って欲しくなります。

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「普通」というのは、270馬力のバイクを時速320km以上で操り、常に向上を続けようという強迫観念にかられている人間を形容する言葉としては正しくない。しかし、一度バイクを降りればアンドレア・ドヴィツィオーゾは普通の男で、彼はライダーとして頂点の世界に立つ中で訪れる数々の罠に陥らないようにあらがっている。11月にタイトル獲得を逃し、31歳の彼はこう語った。

アンドレア・ドヴィツィオーゾ

「普通は皆がベストを目指します。そして最も多くの金を稼ぎ、良い車に乗ろうとします。つまり、誰もがこうした方向性を目指すわけです。ですが自分はそうした道を辿りません。ですから、全く「普通」の方法で世界の中のベストライダーと戦うんです。幸運にもお金に恵まれ、MotoGPでレースをしているわけですが、極めて普通の生活を送っています。自分は人生にゴールを設定しているんです。」

ドヴィツィオーゾと2012年に働いたテック3のエルヴェ・ポンシャラルにとって、短い時間ながらも2人の関係は素晴らしいものだった。ドヴィツィオーゾは予想を上回って6度の表彰台を獲得、最終的なスタンディングは年間4位だった。これはチームメイトのカル・クラッチローよりも3つ上で、その時のファクトリーヤマハのライダーであったベン・スピーズよりも6つ上だった。

エルヴェ・ポンシャラルはドヴィツィオーゾは間違いなくベストライダーの中に入るとする。しかし彼の印象に残っているのは彼の働きかただった。一度ファクトリーチームで走ったことがあるライダーであったドヴィツィオーゾだったが、彼は大きなエゴを持たなかった。ポンシャラルはドヴィツィオーゾが2009年から2011年まで過ごしたレプソルホンダと比較して、リソースの不足に関して不満を漏らすことを聞いたことをほぼ思い出せない。

また、彼はドヴィツィオーゾのミサノ近くの自宅に招かれたことを覚えているが、良い家であったが、金持ちの家というようなものではなく、普通の車が置いてあり、バーベキュー自体もドヴィツィオーゾ自身の手によって振る舞われた。

エルヴェ・ポンシャラル

「まず2012年は素晴らしい1年だったと言えるでしょう。彼が今まで仕事をしたライダーの中で最も良いライダーだったかもしれないと言っているんです。彼はファクトリーチームからサテライトチームにやってきたわけですけど、けして格下のチームにやってきたんだというような態度は見せませんでした。」

「彼はテック3では得られない待遇、給料、組織、素晴らしい供給体制に慣れていたはずですが、けして文句を言いませんでした。彼は素晴らしい仕事をしてくれ、多くの表彰台を獲得し、同じバイクではないのに、ファクトリーライダー達とバトルを演じてくれました。彼はファクトリーと同様のサポート体制を希望していました。これはテック3でその先も共に走るためです。ただ、これは実現しませんでした。」

「パドックの中の多くが、彼を第一級のライダーであるとは考えていません。ただ、自分達は彼の仕事ぶり、働き方、彼のフィードバックやコメントが驚くほど正確で素晴らしいものであったことから、彼が第一級のライダーだとわかっていました。自分達のライダーがコメントした内容というのは、通常あまり採用されないんです。ヤマハは普通ファクトリーライダー達に集中していますから。当時は2人のライダーともにファクトリーチームにいるべきライダーなのに、そうではなかったということで申し訳ないと感じていたんです。」


「ドヴィツィオーゾは賢いライダーです。彼はレプソルホンダからサテライトチームに移籍したんですから、あそこで彼のキャリアは終わっていたかもしれないんです。ただ彼の働き方から、彼は間違いなく別の良い機会に恵まれると思っていました。彼がサンマリノGPの前に、自宅に招待してくれたことを覚えています。彼の生活は驚きでした。彼は本当に普通の生活なんですよ。彼の家自体はいい家ですけど、何もスーパースターのような生活ではなかったんです。普通の車があって、彼はお母さんと娘と一緒に住んでいました。」

「彼はモトクロスが好きなので、小さな彼のガレージを見せてくれました。彼は自分でモトクロスバイクを整備し、自分でバーベキューを作り、彼は自分達の為に買い物をして持ってきてくれました。こうした事はほとんどのライダーはしません。本当に嬉しかったですね。彼は本当に素晴らしい人物で、同時にトップライダーなんです。」

2012年を通してドヴィツィオーゾはファクトリーヤマハのシートを見据えて走っていた。スピーズはまさに最悪のシーズンを送っており、翌年にはホルへ・ロレンソのチームメイトとしての場所が用意されているように思えた。しかしドヴィツィオーゾの望みは、Ducatiで散々なシーズンを送っていたバレンティーノ・ロッシがヤマハに戻ってきたことで絶たれてしまう。最終的にはこのボローニャのメーカーが、より飾らぬイタリア人であるドヴィツィオーゾに声をかけたわけだ。ポンシャラルはドヴィツィオーゾがファクトリーチームで走るということで、その素晴らしさが証明される時が来ると考えていた。

「彼は2012年本当に楽しかったと思いますよ。彼はヤマハを愛していました。あの段階での彼の望みはヤマハからのフルサポートを得ることでした。もしそれが得られていれば、彼はテック3に残ったでしょう。彼はいつも自分に言ってくれました。”恐れるものはないし、自分は自分の仕事が出来る。ただ、自分をしっかりとサポートしてくれるファクトリーで走れるチャンスが欲しいんだ。”と。」

「彼がHRCにいた時、彼は第3のライダーでした。彼は技術的な内容も、開発をすることも好きでしたが、あの当時はライディングよりも好きだったのかもしれません。今は、彼はライディングをより楽しんでいるでしょうね。あの時は彼は開発に参加したかったんです。ただ、サテライトでは開発には関われませんし、自分が望む方向をメーカーに伝えることは出来ないんです。」

「恐らくドヴィは考えうる限り最高の場所にいったと思います。Ducatiはあの当時方向性を見失っていました。カルはDucatiで走ることを諦めました。簡単ではなかったはずです。彼がDucatiにブーストを与え、ファクトリーは彼が求めていたものを与えました。彼はナンバー2ライダーであったかもしれないわけで、こうした成功が成し遂げられなかった可能性はあります。」

「2017年に関しては本当に彼のためにも良かったと思います。彼はこの結果に相応しいですよ。彼はハードに作業をしているライダーであれば、大きなエゴがなくとも成功出来るということを示したんです。彼の今年の6勝、そしてその中でもとりわけ日本で、マルケスのああいったコンディションでの走りを彼も行い、さらにそこで最後にマルケスを負かしたというのは本当に素晴らしいことですよ。」

「男がハッピーである時、彼は常に尽くそうとします。そしてサポートを感じ、信頼されていると感じるとさらに頑張れるものなんです。Ducatiでドヴィは始めて信頼されていると感じているはずです。そして最後にその献身的な作業が実り、これがさらに彼を鼓舞するでしょう。彼は今まで90%でライディングしていたかもしれませんが、これからは100%でのライディングになるでしょう。」

「また彼は”けしてロレンソ、ロッシ、マルケスのようにはなれない”と聞いてきたでしょうし、自分でそう思っていなかったとしても、何度もそうした報道記事などを読んでいれば、自分が第一級のライダーではないと感じてしまうものなんです。でも今は世界チャンピオンのロレンソがチームメイトになって、彼はロレンソを負かしました。これは彼の目を覚まし、”俺にも出来る!”と思わせたことでしょう。本当に紙一重の差ですが、本当に彼の結果は嬉しく思っています。」

(Photo courtesy of michelin)

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