昨年12月1日より、MotoGPクラスに2016年からタイヤを供給しているミシュランタイヤに、「MotoGPタイヤに関する質問をしてみよう」というキャンペーン企画をお届けしておりました。この中で多くの方に質問をお寄せいただきましたが、日本ミシュランタイヤ株式会社様に10個質問をピックアップいただき、その質問に対するご回答をいただきました。

なお、この企画でプレゼントに当選された17名の方には、1月15日以降にプレゼントが発送されますのでお楽しみに!質問をお寄せいただいた皆様、そして何より2018年シーズンへの準備でお忙しい中、ご協力いただいた日本ミシュランタイヤ株式会社様ありがとうございました!

シモタクさんからの質問

普段、高速道路を走行する時、空気圧をUPしますが、MotoGPのマシンの空気圧はどれくらいですか? 使い終ったタイヤはどうなるのですか?

日本ミシュランタイヤ

市販用とレース用のタイヤ空気圧の設定の考え方は異なります。市販用タイヤは規格の中で様々な車両に装着し、様々な体格のライダーや積載に対応し様々な道や天候で使用されことを前提に設計されています。一方でレース用タイヤは限られた車両スペック・環境・ライダーで使用されます。ですのでタイヤ空気圧の設定も異ってきます。使用後のタイヤはレースという極限の状況で使用されたサンプルとして分析され、今後のレースタイヤや市販タイヤへの設計に反映しています。
 

どかすけさんからの質問

質問よろしくお願いします!空気圧はどれくらいでしょうか?ライダーによって変わるのか、コンパウンドによって変わるのか…様々なコンディションに合わせて変えているのでしょうか?

日本ミシュランタイヤ

基本的な設計空気圧は有りますが、サーキットそれぞれの環境やライダーの好み、また車両のセッティングのよって許容範囲の中で調整しています。

 

カガさんからの質問

肘をするほどのバンク角を実現するMotoGPタイヤは市販のタイヤでどれくらいグリップ力が違うのでしょうか?

日本ミシュランタイヤ

確かにMotoGPタイヤと市販タイヤとグリップ性能は異なります。それはMotoGPタイヤが世界トップレベルのライダーと高性能なマシンのライディングに応え、かつ安全にレースを走り切れるタイヤとして供給されているからです。そのため残念ながらMotoGP用のタイヤを履いたら誰でも肘を擦れるわけではありません・・・。しかしミシュランではこの極限の世界で鍛えられるタイヤから市販タイヤにフィードバックできる技術を研究・開発しています。

 

やすやすさんからの質問

GPで使われているタイヤに最も近い、市販タイヤの銘柄は??ウォーマーを使い、サーキットで試してみたいです。

日本ミシュランタイヤ

市販車モデルのサーキット専用タイヤは、「MICHELIN POWER Slick Evo」です。でもこのタイヤは公道走行はできませんのでご注意ください。また、この「MICHELIN POWER Slick Evo」はMotoGPタイヤのように、ソフト・ミディアム・ハードといったコンパウンドの種類はなく、シーズンを通してパフォーマンスを発揮できるようなコンパウンドを採用しています。フロントには柔軟なケーシング構造にして、リアタイヤにACT(アダプティブ・ケーシング・テクノロジー)を採用することで直進時とコーナーリング時に優れた安定性を発揮する設計にしています。またサーキットを走行する場合は、推奨空気圧が設定されていますので、ミシュランモーターサイクル用総合カタログでご確認ください。

 

ZX-10RR さんからの質問

二輪公道タイヤで、MICHELIN Power Cup Evoがありますが、スリックタイヤをベースにしているときいています。このスリックタイヤですが、motogpで使われているタイヤとの違い(配合率等)はありますか?

日本ミシュランタイヤ

「MICHELIN POWER Cup Evo」は「MICHELIN POWER Slick Evo(市販のレース専用タイヤ)」をベースに開発されていますが、公道走行可能なサーキット用タイヤのため、MotoGPで使用されているタイヤとは内部構造・コンパウンドなど大きく異なります。また、この「MICHELIN POWER Cup Evo」はMotoGPタイヤのように、ソフト・ミディアム・ハードといったコンパウンドの種類はなく、シーズンを通してパフォーマンスを発揮できるようなコンパウンドを採用しています。

そのため市販タイヤとしての規格等もクリアした上でひとつの製品にしなくてはいけないため、実際にはレーシングタイヤにはない難しさもあります。またこの製品はリアタイヤにACT(アダプティブ・ケーシング・テクノロジー)を採用することで、直進時とコーナーリング時に優れた安定性を発揮します。サーキットを走行する場合は、推奨空気圧が設定されていますので、ミシュラン製品カタログまたは、ホームページ(https://moto.michelin.co.jp/)でご確認ください。

 

dairaさんからの質問

全然マニアックな質問では無いので申し訳ないです。タイヤの ”たれ” というのは調整しているものなんでしょうか?それとも目一杯良いものを作って、それでも “たれ” てしまうものなのでしょうか?もし素材、構造の改善でレースディスタンスにおいて全くグリップの落ちないタイヤが出来たとしたら、それはMotoGP用として最良のタイヤだと考えますか?

日本ミシュランタイヤ

どんなに性能の良いタイヤを作っても性能低下は免れません。またその性能低下はタイヤへの入力によって異なります。よってレースタイヤは使用する環境(サーキット・気候・車両・ライダー)を考慮して必要なレース距離を性能を維持できるよう設計してあります。またチーム側でもタイヤの性能を最良な状態で使用できるように車両をセットアップし、ライダーもタイヤの状況とマシンの状況を考えながら走らせています。ですのでタイヤ単体で性能を維持させるのではなく”使い方”も大事な要素となります。そのため「タイヤからの情報のわかり易さ」もタイヤ性能の重要な要素となります。

 

モツさんからの質問

他メーカーのタイヤに比べ、ミシュランタイヤは「タイヤを潰して剛性を利用してグリップを生み出す」などの記事を見ますが、ミシュランタイヤは「構造・剛性」や「コンパウンド」をどう考え開発し、市販タイヤに反映させているのでしょうか?

日本ミシュランタイヤ

最大限のグリップ力を生み出すために、ミシュランは内部構造・コンパウンドの種類やパターンの配列・プロファイルなど、それぞれの役割をバランスよく効果を発揮するために研究開発を進めています。実際、多くの市販タイヤに採用されているラジアル構造やシリカコンパウンド、2CT(2コンパウンドテクノロジー)はレース活動を通じてフィードバックされた技術なのです。

例えば、昨年発売したMICHELIN POWER RSや今年発売を予定しているMICHELIN ROAD5には、最新の内部構造技術“ACT+(アダプティブケーシングテクノロジープラス)”が採用されています。この内部構造技術は、直進時とコーナーリング時のグリップ力を最大化するために、最適な内部構造とすることで、ライダーに安心感と走る喜びを提供することを目的として投入した技術です。今後も私たちミシュランは様々なレース活動を通じて新しい技術を開発し、市販タイヤへのフィードバックを通じて、ライダーの皆さんにより高い安心感とライディングプレジャーを提供していきます。

 

バイジさんからの質問

一般庶民的な考え方では「ソフトでは最後まで持たない」と考えてしまうのですが、最後までソフトタイヤで走り抜けるライダーはどのようなタイヤマネージメントを行っているのか知りたいです。また、ミシュランのソフトタイヤの特徴にとても興味があります。ざっくりでいいので、教えてください!

日本ミシュランタイヤ

ミシュランは、ソフト=グリップが高いが耐久性が悪い、ハード=グリップが低いが耐久性が良いとは考えていません。実はソフトなコンパウンドでも使用される環境が適切で不必要なスライドなどが無ければ性能低下は少ないですし、ハードなコンパウンドでも使用される環境に合わず不必要なスライドが多ければ大きな性能低下を起こします。なのでレースにおいてはタイヤ・車両・ライダーが適切にバランスすることが非常に大切なんです。つまりミシュランのソフトタイヤが適切に機能する環境であれば、速さや耐久性が適切ではない他のコンパウンドを上回るということになります。

 

ほっしーさんからの質問

16.5を作らなかったのは何故?同じコンパウンドでも、ライダーによって評価が違うのは、タイヤにムラがあったのか、マシン、ライダーの特性の違いのせいなのか?

日本ミシュランタイヤ

一社供給の現在のMoto GPにおいて市販用タイヤの規格に無い16.5インチよりも市販用タイヤで一般的な17インチでレースを行うほうが市販用タイヤへのフィードバックが多く出来るとミシュランは考えています。 MotoGPは極限レベルの実験の場ですからね!またタイヤの評価は製品単体の性能だけでなく、どのように使用されたかで性能が異なってきますのでその点も踏まえたうえでライダーの評価を開発にフィードバックしています。

 

Daiさんからの質問

現在のタイヤワンメイク制と、かつての複数メーカーによるコンペ制、ミシュラン社としてはどちらがより良いと考えていますか?理由も含め教えてください。

日本ミシュランタイヤ

競争という考えからすると、多くのタイヤメーカーが競うコンペ制の中で切磋琢磨して自社の技術力を他社と比較しつつブランド力を高めることに役立ちます。一方で一社供給となるワンメイク制でも自社に課題を課すことで技術的進歩を推進することができ、その課題を市販タイヤに近い形で取り組むことでより多くの結果が製品にフィードバックできます。ミシュランではどちらが良いというよりも、レースに対する取り組み方や目的が重要と考えています。

<質問への回答 日本ミシュランタイヤ株式会社>

(Photo courtesy of michelin)

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