★MotoGP2018 ダヴィデ・ブリビオ「2017年はイアンノーネとスズキにとって、お互いの期待を下回るシーズンだった」

スズキのチームマネージャーであるダヴィデ・ブリビオのロングインタビューをご紹介します。2017年の厳しい状況について、そして2018年への展望などを語っています。新しいライダーを迎え入れる時にそのクルーチーフをどうするかというのは、実に悩ましい問題ですね。

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スズキMotoGPチームのチームマネージャーであるダヴィデ・ブリビオにインタビューを行った。スズキはDucatiで優勝経験のあるアンドレア・イアンノーネ、ルーキーのアレックス・リンスと2017年に契約をした。これはスズキで優勝経験のあるマーべリック・ビニャーレスそして、アレイシ・エスパルガロという2015年からのラインナップに変わるものだった。

イアンノーネは多くの期待を裏切り形で13位でシーズンを終え、日本GPでの4位が最高成績であった。リンスはウインターテストでシーズン前半を棒に振り、バレンシアの最終戦で4位という最高位を獲得した。ビニャーレスが4回表彰台を獲得したことで、スズキは昨シーズン優遇処置を失い、シーズン中のエンジン変更、エンジン開発が凍結された。

 

Q

「ダヴィデ、2017年シーズンを振り返ってみて何が言えますか?」

ダヴィデ・ブリビオ

非常に正直に言うと、昨シーズンは技術的な選択においてミスがありました。エンジンに関してある方向の選択をしたんですが。。2016年はトラクションに関する問題を解決したいと思っていたんです。2016年はトラクション不足がコーナー立ち上がりの際の我々の弱点の1つだったんです。

「ですから、スムーズなエンジンを開発し、立ち上がりの面においてライダーを助けるエンジンを作りました。このエンジンを2016年11月のヘレスに持ち込みテストを行い、アンドレアが気に入ったんです。そしてこのエンジンを2017年2月のセパンテストに持ち込み、そこで再びアンドレアが気に入りました。このエンジンはトラクション面で助けとなりましたが、シーズンが進む中でコーナーエントリー面において問題が出ることに気づいたんです。

「このエンジンの変更は今までのスズキの利点をリセットしてしまい、幾つかのトラックで問題が出てしまったんです。これはブレーキングやコーナーへのエントリーが非常に重要になるトラックということです。これが2017年にスズキが抱えていた問題の1つです。」

「そしてまた、スズキは両ライダーを変更したということもあります。通常2人新しいライダーの場合はより仕事が増えるものですが、それもあってシーズンスタートが難しい状態だったんです。そしてルーキーであったアレックス・リンスは11月に怪我をしたことでテストが出来ませんでした。その後彼は2月に戻ってきましたが、第2戦の前にトレーニング中に怪我しました。それかれオースティンでも怪我をして、5戦を欠場することになったんです。」

「それでアンドレアというこのバイクに関して経験の薄いライダーをバイク開発に関して1人にしてしまいました。ですから、こうした理由もあって本当に難しいシーズンだったんです。その後も進んでいこうとしました。強く、モチベーションを持って、厳しいレース、厳しい状況を戦ってきました。2018年はこの辛い経験を活かしたいと思っています。」

「また、世間のスズキに関する期待が、我々の実際の成果よりも遥かに高かったことも事実でしょう。というのも、アンドレアをマーべリックの代わりに入れたんです。彼は2016年に優勝経験があり、表彰台に登った経験があるライダーです。また、スズキのバイクも参戦から僅か2年目で優勝し、表彰台を獲得し、チャンピオンシップを4位で終えていたんです。」

「ですから、イアンノーネとスズキにとって、お互いの期待を下回るシーズンだったわけです。ただ、これはお互いの持つ本来のポテンシャルではなかったと思っています。2017年シーズンは既に終わりました。アレックスも戻ってきましたし彼も学んでいます。彼も成長し、そのポテンシャルも見えています。ですから、2017年に得た経験を将来に活かしたいと考えているんです。」

「来年はアレックスはさらに経験を積むでしょう。アンドレアもバイクをより良く理解して、自分達もより優れたマシンとパッケージを作ろうと考えています。また、ライダーのモチベーション、ライダーの自信も重要になります。そしてこうした事も2018年に作り上げようとしているんです。」

 

Q

「それに関して言うと、ケビン・シュワンツがアンドレアのモチベーションに関して、シーズン中盤できつい言葉を投げかけていました。彼は十分にプッシュしていないというものでしたが、この批判は妥当なものですか?アンドレアはチームリーダーとして成長していくのでしょうか?」

ダヴィデ・ブリビオ

「彼は2017年にいくつかのフラストレーションを抱えてレースをしていました。こうした理由から、自分が言えるのはアンドレアからの期待、そしてスズキからの期待はそれぞれ異なっていたということです。ですから、皆がフラストレーションを抱えている状態だったんです。皆が結果に失望していました。皆がそれぞれに不満を抱えていたんですよ。ただその中で自分達はひたすらに作業を続けました。こうした辛い時期が終わったと信じたいですし、今後は改善を続けていきたいと思います。確かにスズキは彼が求めているレベルでは無いかもしれませんが、彼も今のプロジェクトをより自信を持って見ているみたいです。」

 

Q

「2017年はエンジン選択を間違えたかもしれないと話していました。2018年は2016年のエンジンフィロソフィーに近いものになるのでしょうか?」

ダヴィデ・ブリビオ

2018年のエンジンは、”新しいエンジン”と言ってよいのかわかりませんが、新しく進化したエンジンだと言えます。2017年のエンジンスペックはあるエリアに関しては使用しません。これは我々が問題が発生したと考えているエリアについてですね。ですから、2018年のエンジンは別物のエンジンです。これは良りよいパフォーマンスを発揮してくれることを期待しています。さらにパワーがあってね。コンセプトに関しては2016年に似たものですが、2016年のエンジンではありません。心配はありますが、我々が得た経験を元にしたエンジンになるでしょう。」

「ただ、まだ3年目なのだということを忘れてはいけません。それに我々は僅か2年目で優遇処置を失ったわけですから。これはある面では良かったんです。つまり我々が良い結果を得ることが出来たということですから。ただ、これによって我々はいきなりエンジン開発が出来ない状態になってしまい、テスト回数も減らされてしまったんです。」

「2016年に本当に良いシーズンを送ることが出来たのは良かったんです。ただ、自分達は他のメーカーが長年の開発の後に到達した状況にいきなり直面することになってしまったというわけなんです。ただ、私は優勝を一度も出来ないよりは、こういった状況になったことのほうが良かったと思っているんです。」

 

Q

「マルコ・リガモンティはイアンノーネと共にDucatiから来ました。つまり、ライダーもクルーチーフもスズキにとっては新参者だったわけです。」

ダヴィデ・ブリビオ

「ライダーがチームにやってくる時は状況にもよりますが、ライダーは彼のクルーチーフや一緒に仕事をしてきたクルーを連れてきたがるものです。今回はアンドレアとは、彼のクルーチーフであったマルコをクルーチーフとして連れてくるという形の交渉を行いました。新たにライダーを入れる時というのはある種のジレンマがあるんです。バイクの事を本当に良くわかっている人間をチームに残すか、ライダーの事を良くわかっている人物を入れるかということです。

「両サイドともに非常に重要で、これはその時の状況、チームのスタイルにもよるんです。アンドレアは4年間共に仕事をしたマルコを連れてきたがっていて、マルコもアンドレアが何を望むかを把握していました。ですからこれはメリットになるだろうと思ったんです。」

「ただ、当然マルコもバイクの事を学習し、スズキの働き方を理解する必要がありました。これは彼の以前のDucatiでの働き方とは大きく異なっていました。ただ1年間共に過ごし、彼もどんどん良くなってきていると思います。」

 

Q

「トム・オケインはアレイシ・エスパルガロのクルーチーフでしたが、2017年もパドックの中で数回見かけました。2018年は彼がもう少しレースチームに関わるということは可能なのでしょうか?

ダヴィデ・ブリビオ

「マルコがトムのポジションに収まっているんですが、実際には我々はトムには残って欲しいと思っていたので、彼はスズキで働いています。彼は特別なプロジェクトを担当しています。彼には本当に戻ってきて欲しいですね。ただ、彼はまた将来スズキの為になる重要な事を学んでくれていると感じています。」

 

Q

「ウェットでのパフォーマンスのほうが良い事が多いですよね。イアンノーネとリンスはもてぎで4位と5位を獲得しています。ミサノで行ったウェットでのテストが約に立ったのでしょうか?」

ダヴィデ・ブリビオ

「これはいきなりスズキが得た強みではありません。昨年よりもエレクトロニクスを向上してきましたし、バイク、シャーシも極めて良くなっているんです。ライダー達もシャーシを非常に気に入っており、それもあってウェットでは良い形で走れているんです。恐らくこうした改善に関してはアラゴンが最後のステップだったでしょうね。これはもてぎの直前に行ったものです。ここでライダー達のために良いフィーリングを見つけることが出来ました。アンドレアの問題の1つはバイクのフィーリングの不足だったんです。彼はバイクに乗っていて快適だと感じたことがなかったんです。」

「ただ一度バイクのフィーリングを感じることが出来るようになると、ラップタイムの面では本当に大きな進歩になることがあります。これで0.5秒、0.7秒変わることもあります。これは素晴らしいシャーシを持ち込んだから、素晴らしいエンジンを持ち込んだからではなく、パズルの最後のピースを組み上げたことによって、ライダーがプッシュ出来るようになるということなんです。」

 

Q

「アンドレアが2017年に探し続けていたフィーリングというのは何なのでしょうか?」

ダヴィデ・ブリビオ

「彼はブレーキングとコーナリングへのエントリーに関して苦戦していました。ブレーキをしたままコーナーに入ろうとする、ブレーキをかけたまま曲がろうとする時。こういった状況におけるフィーリングを彼は探していたんです。バイクはハンドリングが素晴らしく、コーナリングスピードが高いものでしたし、エンジンパワーもストレートに関してはそこまで悪くありませんでした。ベストではありませんが、競争力はあったと言えるでしょう。」

「ですからこのフィーリング面が大きな問題で、多くのトラックでブレーキを激しくかけ、コーナーにブレーキを残したまま進入していく必要があります。この部分で彼は苦戦していたんです。ですから、フィーリングさえ見つければラップタイムは簡単に出てくると言っていたんです。どうやらそれが上手くいっているようですね。」

 

Q

「話題を変えてマーべリックに関して、彼がル・マン以降勝てなくなったのは驚きでしたか?」

ダヴィデ・ブリビオ

「自分の意見はあくまで外部からの意見です。というのもガレージで何が起きていたのかはわかりませんから。私はあなたがたジャーナリストが書いた文章を読むのみですよ(笑)序盤はウインターテスト、それから開幕戦もあって、彼が既にチャンピオンシップ優勝するものだと思っていました。ただその後になってテクニカル面でライディングに関して自信を失っていったようですね。」

「ただ私がマーベリックならそれほど心配はしなかったでしょう。これは彼にとってヤマハで初めての世界選手権です。彼はまだ僅か22歳ですし、やり直す時間は沢山あります。そしてこの2017年に関しては、本当に大きなレッスンになったでしょうね。彼はこうして得た経験をもとに進んでいくでしょう。」

 

Q

「マーベリックの横にはバレンティーノがいますが、あなたは彼が足を骨折した2010年にチームマネージャーでした。彼が2017年にすぐに復帰したことは驚きでしたか?」

ダヴィデ・ブリビオ

「バレンティーノは常に驚かせてくれる人物ですが、今回の怪我に関しては、彼がここまで速く復帰するモチベーションを持っていたことが驚きでした。これだけ長いキャリアがあって、数々のレースで優勝してきたわけです。1戦くらい欠場したところで対したことはないと思うでしょう。ただ、彼は大変な努力をして、出来るだけ速く復帰しとうとしていたわけです。」

「いつもバレンティーノは目標とすべき選手だと言っているんですが、若いライダー達は彼の行動からモチベーションを得て欲しいですね。そして彼の情熱、そしてバイクに乗りたいというモチベーションを学んで欲しいと思います。彼の行動から多くのライダーが学んで欲しいと思っています。」

(Photo courtesy of michelin)

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