★MotoGP2018 KTMピット・ベイラー「KTMは何度もリスクを冒して前進してきた。」

KTMはMotoGP参戦1年目となる2017年の4戦目となるヘレスGPで、それまで使用していたスクリーマーエンジンの使用を止め、ビッグバンエンジンを投入しました。KTMのピット・ベイラーによると、このエンジンはエンジン寿命などを明確に把握する前にいきなり実戦投入された経緯があったようで、同様に新型シャーシもいきなりアラゴンGPのレースで投入したという判断があったとのこと。潤沢な資金があるとは言え、MotoGPクラスで唯一スチールトレリスフレームを使用し、唯一WPのサスペンションを使うというKTMの独自の試み、そして日本メーカーには真似が出来ない意思決定の早さ。2018年もKTMがどこまで戦力を上げるのか非常に楽しみです。

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KTMは同郷のスポンサーから、ほぼ天井知らずのサポートを受け(※KTMのメインスポンサーのRED BULLはオーストリア企業)、業界の中から最高の人材を確保している。しかしピット・ベイラーはKTMのMotoGPプロジェクトにおける別の面として、大きなリスクを取る気概がその急成長には不可欠だと考えている。

KTMの2017年の圧倒的な成長スピードは大きな注目を集め、ポル・エスパルガロ、ブラッドリー・スミスは昨シーズンの終わりまでに、予選、そして決勝レースにおいてトップ10を獲得した。テストライダーのミカ・カリオと共に、3名のライダーは18戦合計で95ポイントを獲得した。これはコンストラクターズポイントにおいてアプリリアをトップ5から押し出すには十分であった。冬季テストにおいてもKTMがさらに前に進んでいくという姿勢は明らかであった。

ピット・ベイラーはKTMが2017年シーズン中に2つ主要パーツを膨大なテスト時間をかけずに実戦投入した例をクレイジーであるとしながらも、KTMが11月までに達成した内容のためにはこうした判断が重要だったとした。1つ目は昨年5月のヘレスGPで、数日前にカリオがテストしたビッグバンエンジンにポジティブなフィードバックを返したことから、KTMはその1基のエンジンをヘレス(※第4戦)で使用出来るように準備しただけでなく、その数日後にもう1名のライダー用にもう1基のエンジンを準備したのだ。

ピット・ベイラー

「これがいかにKTMの人間がクレイジーであるかを物語っているでしょう。我々は明確な開発プランがあり、ビッグバンエンジンはブルノまでに用意されるはずでした。(※第10戦)ブルノまでに準備をするには、しっかりとテストライダーを使ってテストをする必要があります。その後レギュラーライダーにテストをさせて、それから次のレースに投入するわけです。これがブルノでのスケジュールでした。ただ、ベンチテストで新しいエンジンのポテンシャルを見て、これをル・マンのタイヤテストに持ち込んだんです。ミカが”このエンジンのほうがずっと良い”と言ったことから、ポルとブラッドリーに使わせました。ですからタイヤテストではなくエンジンテストになってしまったわけです。」

「それでこのエンジンをヘレスでポルのバイクに積もうという話になりました。このエンジンはたった1基のエンジンで、(テストをしていたため)中古エンジンでした。正直自分達もこのエンジンがどの程度の距離を走ることが出来るのかは把握していなかったんです。そこでエンジンの技術者に、”このエンジンを使うとしたら、今のエンジンと比較して信頼性はどうだろう?”と聞いたんです。そこで彼は”全く問題ないですよ。同じ品質レベルです。”と言ったので、同じエンジンをそのままヘレスで使用しました。そこでの結果を見れば素晴らしかったのはご存知の通りです。」

火曜のタイヤテストの段階から、ファクトリーでは2台目のエンジンに取り掛かっていました。そこで2台目のエンジンが間に合い、土曜日までには決勝に向けて、2台のバイクに新型エンジンを積むことが出来たんです。KTMはこうしたクレイジーなことをやってしまうんです。悪い方向に行った可能性もあります。エンジンブローしてレースが無駄になってしまった可能性もあります。ただ、全てが上手くいきました。これは非常に重要でした。もし大きく前に進めそうな時は、前に進まねばなりません。それが安定性であるとか、シーズンの終わりにどのような意味を持つにしてもね。」

「いつでもショートカットは出来ます。もしエンジンがあっても、それを2ヶ月使わず良いエンジンだとわかっても、結局2ヶ月は無駄にしてしまうんです。ですから、KTMは何度もリスクを冒して前進してきました。そしてこれが来年に良いベースを持てるということに繋がっていきます。あの時新型エンジンを投入しなければ、あのエンジンを使うのは2ヶ月後だったでしょう。それでは来年どうなるかはわかりません。」

もう1つの出来事はアラゴンで起きた。この時KTMは新しいシャーシをレース後にテストする予定だった。しかしカリオとエスパルガロはこのフレームを日曜に使用。ポル・エスパルガロは10位で完走。これは優勝したマルク・マルケスから僅か14秒遅れだった。日本メーカーは膨大な時間をテストにかけることで知られる。レーストラックに持ち込む前に、しっかりとした信頼性を確保しておく事が何よりも大事なのだ。KTMはやや行き当たりばったりのようにも見えるが、しっかりと計算されたアプローチを取っている。ベイラーによると、2017年の第14戦にもこうしたことがあった。

「もう1つの大きなステップはアラゴンです。ここで自分達はシャーシを変えました。本来はアラゴンのレース後にテストをする予定だったんです。ただKTMの人間はクレイジーにも、”金曜にレースチームに使わせよう。そのほうがいいだろう”という判断を下しました。我々はレースの中でテストを行い、優勝ライダーから僅か14秒遅れという最高の結果になったんです。このシャーシはライダー達が述べていたウィークポイントを見事に克服しました。ライダー達は”コーナーで前にロッシがいてもっとインに曲がっていった。そこで彼がバイクを起こして加速して行く間、うちのバイクはずっと寝たままでスロットルを開けられないんだ”と話していたんです。(※バイクはバンクしているが中々向きが変わらないため、いつまでもバイクを起こせずアクセルを開けていけないということ)」

「それでこのシャーシをポルに使わせたところ”このシャーシは最高だ!曲がれるし、すぐにバイクを起こせるし、トップの連中と一緒にレースが出来る!”と話していました。ですから、ル・マン以降は大きな変化がありました。それ以降はヘッドブラケットを変えたり細かい変更を加えましたが、アラゴンが大きな変化でしたね。一度こうして大きく前進すると、次のステップが見えてくるんです。こうして大きなリスクを取って前進出来たのは良かったですね。次のシーズンに向けてより良い形で準備が出来ました。」

昨年末にベイラーは、オジリナルのスクリーマーエンジンはカリオが2016年の最終戦バレンシアでリアのトラクションに関して問題を抱えたことなどもあって、理想的なものではなかったと語る。ベイラーによると、この傾向は2017年の前にわかっていたという。

恐らくスクリーマーは良くないのでは?ということは、2016年のバレンシア戦でわかっていたと言えます。ただ、その時点ではまだデータを収集した段階だから、ここでエンジンの変更をするとトップからはさらに離されてしまうと考えたんです。エンジンが強力で信頼性があることはわかっていました。ある程度のレベルを見つけるまではこのエンジンを使おうと思っていたんです。ただ、一度そのレベルに到達した後は、エンジンを変更したほうがいいかもしれないと思っていました。このエンジン変更に関してはずっと頭の中にあったんですが、序盤はそうした時間がなかったんですよ。」

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