★MotoGP2018 テック3クルーチーフ ニコラス・ゴヨン「フォルガー欠場後に担当した中ではシャーリンが1番」

テック3ヤマハの正式なライダーに決まったハフィズ・シャーリン選手。クルーチーフのニコラス・ゴヨンはその才能は確かだと語りますが、時間が圧倒的に無いため、全ての学習プロセスを凝縮して進めて行く必要があると語ります。

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モンスターヤマハテック3のクルーチーフであるニコラス・ゴヨンは、ジョナス・フォルガーが昨年の日本GPからレースを欠場して以来、様々なライダー達を扱ってきた。これはフォルガーの素晴らしいザクセンリンクにおけるライディングの祝杯を上げてから僅かに3ヶ月後のことだった。当初はフォルガーの激しい疲労感を感じるという症状は冬の間にしっかりと治療が終わるはずだった。しかし、セパンテスト1週間前の段階になって、フォルガーは2019年に参戦しないというニュースが伝えられたのだ。

テック3クルーチーフ ニコラス・ゴヨン

「何も出来る事はありませんから、ある時点では自分を完全に殺してその事を考えないようにしていました。ジョナスが本当に戻ってこなのだと理解した時は、出来るだけ忘れようと務めました。彼には素晴らしい才能があったのに本当に残念です。恐らくメンタル面の問題が大きかったのだと思いますが。こういうメンタル面の問題というのは厄介な問題なんです。」

「MotoGPライダーというのは皆飢えたライオンみたいなもんです。もし一緒にやっていけないのであればそれまでで、ゲームオーバーなんです。彼には才能がありましたし、彼は本当に素晴らしい仕事をしました。素晴らしいシーズンを共に過ごしたので残念です。ただ、前に進みたければ過去は忘れて未来に進む必要があります。」

フォルガーの代役が最終的に見つかるまで、2017年はシーズン終了までに4戦で3人のライダーがそれぞれ代役を務めた。これは野左根航汰、ブロック・パークス、マイケル・ファン・デル・マルクの3人だ。その後セパンでヨニー・エルナンデスがテストに参加し、最後にタイテストでハフィズ・シャーリンがテストを行った。こうした何名ものライダー達と仕事をするのは簡単ではない。しかし、何も悪いことばかりではない。

「人間の触れ合いという意味では、良いライダー達に和えたということです。マイケル・ファン・デル・マルクは本当に良いヤツで、素晴らしい時間を過ごす事が出来ました。最後に仕事をしたヨニー・エルナンデスもまた良かったですね。彼はテストに全てを捧げていましたから、彼が今年走るわけではないとわかった時は、本当に可哀想でした。」

「彼自身もシートは自分のものになるかもと思っていました。しかし最終的にこれはスポーツですから他の選手を負かす必要があり、この部分で彼はハフィズよりも遅かったのです。ですから多くの素晴らしい選手に合い、ハフィズは7つのイベントの中で6人目のライダーでした。これで最後という形でハフィズの作業に集中していきたいですね。今までの6人のライダーの中ではハフィズが1番です。ポテンシャルは一番高いですしね。ですからスポーツという視点から考えても、彼がナンバーワンに来るべきでしょう。」

「過去にはポル・エスパルガロ、ジョナス・フォルガーなどと仕事をしてきました。Moto2ライダー達はここまで重くパワフルなバイクに慣れていませんので、最初は少し時間がかかるんです。ただ、Moto2ライダー達のほうが成長マージンはあるように感じます。スーパーバイク出身のライダー達のほうがバイク自体に慣れるのに時間はかからないんですが、トップレベルにたどり着くのに時間はかかりますね。」

「それにMoto2ライダー達のほうが若いですよね。若ければより適応性もあるんです。テック3の中では私は今までスーパーバイク出身のトーズランド、スピース、クラッチローと仕事をしてきましたがやはり少し違いますね。それに現在のMoto2のレベルは高いですからね。彼らがMotoGPに乗り変えた時は少し時間はかかりますが、その才能はスーパーバイク出身のライダー達より少し上だと思います。」

ハフィズ・シャーリンはタイテストの初日に24番手、トップからは2.368秒遅れだった。2日目にその差は2.029秒で23位となり始めての転倒をし、最終日には21番手、トップからは1.756秒差だった。

「ハフィズに正直何を期待すべきかわかっていませんでした。しかし、彼は本当に良いヤツでトラックでも驚かせてくれました。新しいライダーを迎えると、多くの変化が求められます。特にMoto2から来るとそうなんです。何もかもが異なりますからね。ヤマハのスタイルを身につける必要があるんです。そうでない限り苦戦してしまうでしょう。」

「ポル・エスパルガロもテック3にいましたが、ご存知のようにポルはヤマハのバイクに苦戦していました。ヤマハのスタイルとして理解しなければいけないのは、ホルへ・ロレンソのように乗るということなんです。未だにヤマハのバイクに乗るには、彼がお手本なんです。ですから、新しいライダーはこのスムーズで、バイクをスライドさせないライディングが必要なんです。うちも新しいライダーを迎えるとまずはこの部分をしっかりと覚えてもらうんです。M1に乗るにはホルヘのようなライディングが必要なんですよ。」

「ハフィズに関してはこの部分で驚いたんです。彼はかなり多くの部分でライディングを変えることが出来たんです。彼にはかなりの数の要求を出しました。彼は同時にこうした要求に対処出来たわけではありませんが、我々も光明が見えましたし、彼は始めてバイクの乗った時から比較すると大きく進歩しました。」

「2日目には小さな転倒がありました。これは完全にMotoGP初心者らしい転倒でした。でもそれがなければ更に進むことが出来ていたでしょう。それに彼は走る度にラップタイムを向上していました。これは非常に素晴らしい点です。なかなか普通はないことですよ。ですからガレージ内で驚いていた部分はあります。後はトップとの差ですね。ただ、現時点で言えば彼は大きな進化を遂げたと言えます。」

「まずは彼にアドバイスを与え、彼のコメントを聞いてデータをチェックします。それからヤマハファクトリーのデータにもアクセス出来ますから、バレンティーノ、マーべリックのデータ、そしてザルコのデータをチェック出来ます。ですからヤマハのトップ3人のライダーのデータがあるんです。ハフィズにしては、どこを改善すればいいかが実に明快なんです。我々も彼に何をすべきが伝え、それがうまくいく事もあれば、時に苦戦する事もある。ですから、彼がうまくいっていない部分を助け、ステップ・バイ・ステップで進んでいくという形です。」

「確かにより有名な選手になってもっと稼げるようになれば、ライダーコーチを持つというのもありでしょう。ビニャーレスはウィルコが、バレンティーノにはカダローラがいます。より多くのライダー達がアドバイザーを雇うようになっています。大きな助けになると思いますよ。」

「例えばLCRなどはトラックサイドでビデオを撮影しているクルーがいたりします。こうしたビデオというのは非常に役に立つんですよ。マルケスもこういったビデオをかなり見ているはずです。テック3では現在こういった体制はありません。ですから現時点ではデータを信頼するしかないんです。」

「現時点でトラックサイドのアドバイスをくれるのは、ザルコのマネージャーであるローラン・フェロンだけです。彼が言うことは非常に正確です。本当にデータ通りなんです。彼はハフィズは未だに少しMoto2のスタイルで走っているといった事を言っています。MotoGPバイクというのは本当にブレーキをハードに遅くかける必要があります。そして素早く旋回し、加速のパワーを出来るだけ速く使うために、バイクを可能な限り速く起こす必要があります。」

「Moto2は完全に異なります。コーナーにバイクを倒しこんで、バイクなりに旋回させて加速するという形です。ですからシャーリンはまだこのスタイルなんです。ただ、作業は進めています。自分達はかなり急いで作業を進める必要がありますから。」

「MotoGPは色んなことを学習する必要があります。エレクトロニクスがあり、タイヤもそうですし、カーボンブレーキもそうです。そしてエレクトロニクスにはエンジンブレーキ、トラクションコントロール、アンチウイリーなど膨大な内容があるんです。」

「まずはライダーにステップ・バイ・ステップで教えていくんですが、今回はもう時間がありません。あと残されているのは6日だけです。(この時点ではタイテストの途中だった)全てのプロセスを加速して行く必要があります。彼の反応がよければさらに多くの内容を進めるという形でやる必要があります。それがキャパオーバーであれば少しスローダウンする必要はありますけど。」

「普通よりも速くバイクのセットアップに関する作業を進めていて、タイヤも数種類試す必要があります。通常はまずは1種類のタイヤで始めるんですけどね。しかし他に方法はありません。通常のライダーがカタールに備えるほどの時間はありません。彼が理解出来る限りは学習のプロセスを早めようとしています。」

「エレクトロニクスは本当に複雑です。昨日バレンティーノがエレクトロニクスに問題を抱えていると聞きましたが、彼はエレクトロニクスに関して豊富な経験があるはずなのに、問題を抱えているということなんです。エレクトロニクスはあまりにも複雑なので、ハフィズに教えるのは最後になるでしょう。現時点では自分達のほうで推奨セッティングを出してそれで走ってもらっています。」

「また、彼には自信を持たせるような形で作業をしています。”異なるラインを試してみろ” ”君のためにバイクをセットアップした” ”問題があっても俺たちが直すから心配するな”といった形で彼を勇気づけています。それに彼にとっても今はセットアップのことは忘れて、ライディングに集中する必要があります。結局のところ重要なところの80%はバイクに関するものですから。」

「ですから彼は現在はライディングに完全に集中しなければならない状態で、自分達が細かい問題点を解決しています。そしてエレクトロニクスに関しては自分達が全ての作業を行っています。」

「通常、ライダーはバイクが壊れてでもいない限りはマカニックとバイクに関する会話はしません。私は通常セットアップに関する内容を全て担当するんです。ですから私が全ての情報を集めています。もしライダーが何かバイクに関して聞きたいところがあれば、クルーチーフの私のもとに来るんです。」

「私は常に自分をライダーの目線で考えます。何がライダーにとって一番なのかということを良く考えるんです。例えば雨が降ってきたなどの状況下ではクルーチーフには落ち着いていて欲しいですよね。もしライダーがガレージに座っていて、周りがパニックになっていたら非常にストレスが溜まりますよね。例えそうでなくとも、私は全てがコントロール下にあるというように振る舞います。ライダー達には全ての状況をコントロール出来るのだと思って欲しいですし、問題が何であれそれを解決出来る手立てがあるのだと思って欲しいんです。私が送りたいメッセージは”心配するな。君はライディングに集中し、自分達が状況をコントロールする”というものです。」

「ハフィズのフレームは昨年のものです。ただヤマハには本当に膨大なバージョンのフレームがあるんです。そしてこれは昨年バレンティーノが使っていたバージョンの1つです。そしてこれは今年テック3が使えるようになったフレームです。ザルコは異なるバージョンを使用していますけどね。」

(Photo courtesy of tech3)

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