★MotoGP2018 カーボンスイングアームのメリットは狙った強度を持たせやすいこと

アプリリアは3月27日から29日にヘレスにおいて行うプライベートテストの中で、カーボンスイングアームを使用します。まずはテストライダーのマッテオ・バイオッコがこれをテストした後、ファクトリーライダーであるアレイシ・エスパルガロ選手、スコット・レディング選手がこれをテストしていくようです。

カタールで優勝したドヴィツィオーゾ選手、マルケス選手は共にカーボンのスイングアームを使用していましたが、このカーボンスイングアームに関してMotoGPで技術ディレクターを務めるコラード・チェッキネッリが解説しています。

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コラード・チェッキネッリ

「Ducatiがカーボンスイングアームを使用した際に私はDucatiにいましたが、それ以前にはアプリリアの250ccバイクで使用されていました。カーボンは広い面積で使用するには最適な素材です。スイングアームは広い面積を持ち、強固である必用がありますから、スイングアームに使用するのは正解だと言えます。ただ、この強靭さに関してはとにかく固くということではなく、狙った強さということです。スイングアームの強度については3次元で考える必用があります。バイクがバンクした際にはスイングアームにしなって欲しい、しかし捻じれては欲しくないということです。」

カーボンファイバーであれば、繊維の向きを変えることなどで狙った3次元での強度を持たせやすく、狙った強度を出した場合はカーボンのほうがアルミよりも軽く出来るでしょう。カーボンのほうが製造コストは高価ですが、アルミで狙った強度を出した場合は、薄くなりすぎて通常使用でクラックが入る事があります。ですから1シーズンを通して考えるとカーボンのほうがコストが安くなるケースもあります。しかし、カーボンの場合は大きな転倒時に精密な検査を行う場合、ファクトリーでレントゲン写真なども撮影してやる必用があり、より多くのスペアパーツが必用となります。ですからコスト面ではカーボンのほうがかかってしまいます(※同じ交換サイクルだった場合)が、今まで述べたようなメリットがあるため、スイングアームにカーボンを使用するのは技術的には正しいと言えます。」

「ではなぜ皆がカーボンを使用しないのか?それはアルミで限界の強度まで追い込まない限りは、カーボンは必用にならないからです。アルミで限界の強度まで追い込んでいないということは、クラックの問題なども少なくなり、シーズンを通して考えた際にカーボンのほうが安くなるというケースは当てはまりません。それにカーボンでの製造というのは手間がかかりますからね。ただ、こうしたデメリットを考えても個人的にはカーボンのほうが良いと思います。」

スイングアームを作る際はいろいろな特性を持たせたいのですが、カーボン場合は狙った部位でカーボンの層の厚さ、繊維の向きなどいろいろな調整が出来ます。しかし注意すべきはアルミとは内部のダンピング特性が異なっており、チャタリングの問題が発生したような場合はアルミとカーボンを入れ替えるなどすることがあります。これは互いの重量、内部ダンピング特性が異なっており、こうした小さな違いが、振動の原因になったりすることがあるからです。」

「カーボンだと固くなりすぎるということはなく、あくまでも狙った強靭さ、そして強度が重要です。これらが常に両立するということはありません。例えばカーボンでフックを作る場合に重要なのは強度です。しかしスイングアームを作る場合は求めるのは狙った強靭さを持たせるということですが、この目標を達成しても十分強度を発揮出来ない場合もあります。これはアルミニウムで起きるケースと言えるかもしれません。」

「ですから、カーボンスイングアームを採用するということは強度を持たせたいからではなく、狙った強靭さを達成するため、もしくはスイングアーム全体の特性をデザインしたいがためにカーボンを使用するということがあります。スイングアームにはある種、サスペンションのように動いて欲しいんですよ。」

「カーボンを使用することによる一番のメリットは、色々な方向に対しての強度をレイヤーの数、繊維の向きで調整出来ることですが、どのような強度がどの部分で必用なのかを把握していないのであれば、カーボンを選択する意味はないでしょう。もしアルミと同様に全ての繊維を同じ方向に貼って、どの部分でどういった強度が必用かわからず作ったカーボンスイングアームであれば、アルミで作るより重くなるでしょうし、メリットはないでしょう。」

必用な条件を理解出来ていないのであれば、今までの良く知っている素材で作るほうがいいんですよ。それに必用な条件がわかっていたとしても、どうやってそれを作るのかを知らないのであれば、よく知った素材を使ったほうがいいでしょう。カーボンファイバーはデータ上は非対称性の剛性を持ち、スイングアームのように広い面積に使用するのは良い素材です。しかし実際にアルミよりも優れたスイングアームをカーボンで作るのは別の話です。」

「ホンダやアプリリアもカーボンをスイングアームに使用している理由はわかりません。新しいタイヤのダンピング特性が、カーボンの内部ダンピング特性と合うようになったのかもしれませんが、あくまで推測です。恐らく500g程度の重さの違いがチャタリングに対して有利なのかもしれません。ただ、カーボンを使用することで1kgも軽くなっていたら驚きですね。」

(Photo courtesy of michelin)

(Source: Crash.net, Ducati, Aprilia, HRC)

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