路面の一部再舗装、ドライセッションが限られていたという状況でしたが、アルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンド・サーキットにおいて開催されたアルゼンチンGPは実にエキサイティングなレースとなり、クラッチロー選手が優勝しました。難しいコンディションでのレースとなりましたが、こうしたコンディションにおいてもミシュランが投入したタイヤの性能の高さが良くわかるレース結果となりました。

ミシュランタイヤはカル・クラッチローが優勝、MotoGPの歴史において今までに最も多くの出来事が1つのレースに詰っていたと言えるアルゼンチンのテルマス・デ・リオ・オンド・サーキットにおけるレースでしっかりと機能しました。

クラッチローは彼のミシュランPower Slicksタイヤを難しいトラックコンディションの中で完璧な形で使用。このレースで優勝しました。独立チーム1位も同様に獲得したクラッチローは、この優勝でライダーズチャンピオンシップにおいて首位、彼自身のLCRホンダチームもチームチャンピオンシップにおいてトップに立ちました。彼はフロントグループで走行する中で好機を捉えてアタック、ミシュランタイヤをプッシュして彼自身のMotoGPにおいて3勝目を記録しました。

これは同時に、ミシュランタイヤを使用していた偉人でもあるバリー・シーンの1979年以来始めて、イギリス人ライダーとしてワールドチャンピオンシップで首位に立ったことになります。また同時に、これはホンダにとっては世界グランプリにおいて通算750勝目となる優勝で、その多くがミシュランによるものです。

優勝したクラッチローは10番手からスタート。ポールポジションのジャック・ミラーは、予選走行でスリックタイヤを乾きゆくウェット路面で履くというギャンブルを成功させました。スリップ、スライドがいくつかの場面であったものの、MICHELIN Power Slickタイヤを履いて、彼の勇気が素晴らしいラップを生み出しました。

彼の素晴らしい努力はレース開始直前に降り出した雨によってさらに強調される結果となりました。ミラーはこの変わりゆくコンディションの中で唯一スリックタイヤを履いてグリッドに登場。その他のライダー達はウェットタイヤを履いていました。スタートが近づくにつれ、多くのライダーがウォームアップランの後にピットレーンからスリックタイヤを履いてスタートすることは危険だと判断されました。これによって、レースディレクションはスタートを遅らせる判断をし、ミラーは1列目から1人でスタート、残りのライダー達は5列目からスタート位置につくこととなりました。

元チャンピオンのマルク・マルケスがスタートでマシンをストールさせたことで混乱に拍車がかかります。彼はなんとかエンジン再始動に成功し、序盤からフロントに立ちます。しかしマルケスはレースディレクションからライドスルーペナルティを指示され19番手に後退。

しかしマルケスはこれでは終わらず、数々のオーバーテイクを開始。その過程で彼は1ポジション降格のペナルティーを受け、その後バレンティーノ・ロッシを転倒させたことが危険走行とみなされ、マルケスは2度目のライドスルーペナルティーを受けました。しかし、ライドスルーを課すにはタイミング遅すぎ、マルケスは30秒追加のペナルティーを受けることとなりました。これによってマルケスは5番手から18番手に順位を落として完走となりました。

マルケスにとっての慰めは、ミシュランタイヤを使用して最速タイムを記録したことで、彼は全長4,806mのテルマス・デ・リオ・オンドにおいて1分39秒台で周回した唯一のライダーとなりました。

最近再舗装が行われたテルマス・デ・リオ・オンドはチャレンジングな状況を生み出し、ミシュランは4種類の異なるフロントとリアのスリックタイヤを投入。これはライダー達に、ドライでのトラック走行時間が短かったにも関わらず、彼らのニーズに合ったタイヤを選択する機会を与えました。

決勝レース日では夜に降った激しい雨、スタート直前の軽い雨によってコンディションが目まぐるしく変わる中で、レースはウェットコンディションながらレーシングラインが乾きつつある状態ででスタートしました。この中で最終的に全てのライダーがMICHELIN Power Slickタイヤを選択。これは正しい選択となり、新しい路面でのドライセッションが短く、チームは非常に限られたデータしか無かったにも関わらず、まるでライダー達はセットアップに多くの時間をかけたかのように、彼らが選択したタイヤの種類は限られていました。フロントにソフトオプションを選択した4台のバイク以外の全てのバイクは、ミディアムコンパウントの前後のスリックタイヤを選択しました。

タイヤは素晴らしい形で機能し、4人のライダー達が先頭で激しくスリリングなバトルを展開しました。クラッチロー、ヨハン・ザルコ、アレックス・リンスとミラーはレースの中で激しく順位を入れ替えました。クラッチローはしっかりと計算をした走りで優勝。ヨハン・ザルコが2位、アレックス・リンスが3位を獲得しました。これはリンスにとっては初の表彰台で、ミラーは4位、マーべリック・ビニャーレスが5位を獲得しました。ドヴィツィオーゾが6位、ティト・ラバトが7位、アンドレア・イアンノーネは8位、ハフィズ・シャーリンは彼のルーキーシーズンにおいて最高位となる9位、ダニロ・ペトルッチが10位となっています。

ミシュランは次回北米に移動し、テキサス州のオースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズにおいて第3戦を4月22日に迎えます。COTAは悪名高いバンプを最近スムーズにする作業を終えたところですが、ライダー、チーム、ミシュランにとっては、この作業内容の仕上がりは未知となります。

カル・クラッチロー

「自分達は極めて上手い形で状況をコントロール出来たと思います。今回はミシュランにとっても全てのライダーにとっても難しいコンディションでした。タイヤチョイスに関してはミシュランのアドバイスに従いましたが、彼らは正しい選択をしてくれました。ただフロントタイヤの選択に関してはもう1つ固いタイプを選択したほうが良かったように思います。しかしレースの序盤ではあまりリスクを冒したくなかったんです。それでミディアムを選択しました。全体的にはハッピーです。リアタイヤは完璧に機能してくれました。トラックコンディションを考えてもそうですね。トラックは非常に汚れていて、濡れている部分に乗ったりということも何度もありました。タイヤにとってはあまり良い条件ではなかったのですが、レースの最後まで競争力を維持することが出来、ラップタイムも悪くありませんでした。ですから全体的に非常に満足ですよ。」

ミシュラン・モータースポーツ 2 輪マネージャー:ピエロ・タラマッソ

「なんとも素晴らしいレースでしたが、私達にとって最も嬉しかったのはタイヤのパフォーマンスです。新しい路面に関してはドライでの走行時間が限られていたこともあり、あまりデータがありませんでした。しかし我々のテクニシャン達の経験から、ライダー達に彼らにとってベストのタイヤに関してのアドバイスをすることが出来ました。これによって素晴らしいレースが展開され、トップ4台のうち3台がサテライトバイクという結果となり、4つの異なるメーカーがトップ4に並びました。これは全てのバイクとライダーが使用出来るタイヤを作るという我々の目標を満たすものです。」

「こうしたコンディションもあって、レースウィークエンドは厳しいものでした。マルクはFP1でこのトラックでの最速タイムを記録しましたが、その後は天候によってドライセッションが限られてしまいました。とは言え、ジャックはスリックタイヤを勇敢にも路面が濡れた状態で使用し、これによってテルマスにおけるウェットコンディションとしての最速タイムを記録することが出来ました。これは我々のタイヤがあらゆるコンディションにおいてグリップを発揮しているということの証明でしょう。」

「全体的には非常に満足しています。今まではこのトラックで良いパフォーマンスを発揮することが出来ていませんでしたので、今回はタイヤのパフォーマンスを向上させるためにここにやってきました。そしてその目標を達成することが出来たと思います。この後はオースティンという、またしてもタフなチャレンジに直面することになります。彼らが最近行った作業の後に路面がどういった状況なのかを見ていく形になるでしょう。」


(Photo courtesy of michelin)

<ミシュラン プレスリリース>