★MotoGP2017 困難を極めるロレンソとDucatiの変革

ロレンソ選手の不調の原因、そして変化のためには何が必要なのか?という内容がわかりやすく解説されたManuel Pecinoさんの記事をご紹介します。タイムが出ないことに焦って転倒などしないよう気をつけて欲しいですね。

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DucatiデスモセディチGP17のポテンシャルを最大化しながらその乗り方を把握するというのは、ホルへ・ロレンソとDucatiチームが想像していた以上に困難なようだ。カタールGPでの11位という結果が、まだ多くの作業が必要だということを証明している。

特殊な環境で開催されたカタールGPは、ホルへ・ロレンソのDucatiへの適応が、未だに答えのないジレンマである事を示している。ロレンソはセパンのプレシーズンテストである程度良い方向性を見せていた。フィリップアイランドに続いて開催されたカタールでは、まだやるべき事が多いという事が明らかとなっていた。まだロサイルのパフォーマンスが数週間前であることを考えると、まだ物事は上手く行っているとは言えない。

バレンシア、セパン、フィリップアイランド、カタールという11日に及ぶ異なるサーキットでのテスト、そして1戦を終えた後、Ducatiのエンジニア達がこれらのテストで消化した1000周にも及ぶラップを通じて、まさにプレシーズンの目的そのものであったロレンソが快適に感じるベースを提供しようとしていることは明らかだ。

しかし、このベースがまだ出来あがっていない事もまた事実で、ロレンソはDucatiでまだ快適に走れてはいない。彼のパフォーマンス、バイク上でのボディランゲージがそれを語っており、彼自身もそう語っている。デスモセディチは彼がMotoGPで8年以上操縦してきたバイクとは全くの対極にあるバイクで、これが適応に時間がかかっている要因だ。ロレンソ自身、そしてプロジェクトに関わっている全員がこれを理解している。しかし皆が想像していたよりも難しいというのが実情だ。

4つの異なる場所でのテストと1戦を終えて、ロレンソのバイクへの適応を阻んでいるものは、特定のセッティングではなくライダー自身だろう。
最初は技術的なものによるものだったろう。例えばバイクを理解出来ないといった内容がそうだ。しかし、ライダーが答えを見つけようとして答えが見つからない時、こうした技術的な問題は心理的な障壁となる。

ロレンソとDucatiにとって1つこの状況で良いことは、アンドレア・ドヴィツィオーゾのパフォーマンスだ。(彼はカタールGPで2位を獲得している。)これがベンチマークとして機能する。つまりデスモセディチを競争力が高い状態でライディングすることは可能ということなのだ。このバイクは明らかに勝利出来るパフォーマンスがあり、単純にこのバイクが必要とする乗り方でライディング出来るライダーが必要ということなのだ。

ドヴィツィオーゾがDucatiのパフォーマンスを引き出すには長い時間がかかったこともまた事実だ。彼はレプソルホンダからDucatiに移籍した。しかし、ロレンソのスタートポイントは違う。ロレンソの場合は既に世界チャンピオンとして勝利を収めているという状況からDucatiに移籍しており、彼は自分の状況に関して明確なマインドセットがあり、彼がどうあるべきかという考えを持っている。その他大勢ではなく、チャンピオンライダーとしてやってきたというのは大きく状況が異なる。前者の場合は良いライディングが出来る事を証明するだけで良いが、後者の場合はレースで勝利、チャンピオンシップで優勝することを義務付けられている。ドヴィツィオーゾはチームにプレッシャーなしの状態で加入したが、ロレンソはDucatiに2度目の世界タイトルをもたらすために加入しており、当然それは速いほうが良い。


(Photo courtesy of Ducati)

ロレンソもこうした期待を満たすには、彼のライディングスタイルを大きく変える必要があることを理解している。ロレンソにはそうするしか選択肢はない。彼はいくつかのサーキットでは良い結果を残すだろうが、Ducatiのパフォーマンスを発揮するための鍵を見つけない限りは、その他の多くのサーキットでは苦戦するだろう。

これに必要な変身は簡単ではない。ロレンソは彼に3度のMotoGPタイトルをもたらしたライディングスタイルを変えなければならない(そしてそれ以前には250ccで2連続のタイトルを獲得している。)そう考えると、彼の思いは複雑だろう。彼の身になって考えると、過去に自分自身に優勝をもたらし、結果的にDucatiが再びトップに立つために自分を選ぶに至ったものが、もはや約に立たないということなのだ。これを認めるのは簡単ではなかろう。そしてこうした変化を受け入れるのはモチベーションにも影響するだろう。

ロレンソはDucatiの強みを引き出すために、彼のライディングスタイルを変える必要がある。そしてその強みとは強烈なブレーキング、そして圧倒的な加速性能だ。皮肉にも両方とも彼のライディングスタイルの強みではない。彼のスタイルは正確なコーナリングエントリーによってコーナリングスピードを強調し、大きく弧を描いた旋回ラインを使用し、スロットルを早めから開けていくものだ。彼が新しいこのバイクの強みを活かすには、ブレーキングでさらに奥まで突っ込み強くブレーキングをする必要がある。そしてバイクが最大のリーンアングルである時間を最短にし、可能な限り素早く旋回を完了させ、Ducatiのエンジンパワーを最大限活かすということになる。

もしロレンソが彼の心の中の壁を突破することが出来れば、彼の進歩は素早く訪れるだろう。何と言っても彼は3度のMotoGPチャンピオンなのだ。彼は最初の0.5秒は容易に削り、そこから詳細を詰めていくことで、今までのように彼とトップとの差を0.1秒ずつ削っていくだろう。
しかしロレンソは早急に彼の助けとなるサーキットが必要だ。つまり彼が快適に速く走れる方法を見つける事が出来るサーキットだ。それがロレンソにデスモセディチを操る自信を与える。そのために彼はグリップの高いサーキットを必要とする。そしてそう考えると、この先の2戦は理想的なトラックとは言えない。

テルマス・デ・リオ・オンドは年間の中でもほとんど使用されていないため、そのグリップレベルはベストとは言えない。路面は汚れており、レーシングラインには僅かなゴムしか乗っていないのだ。そしてまた、ロレンソも過去2年間ここで良いレースをしているわけではない。

ヘレスに関しては曲率の高いコーナーとそのアスファルトは毎年滑りやすくなっている。おそらくDucatiにとってシーズン中で最悪のサーキットとなる可能性が高い。このサーキットでロレンソとドヴィツィオーゾがカタールGPの後にテストを行ったのは偶然ではない。そのため、次のレースでは心に安静を保ち、精神的な強さがロレンソに求められ、同時にチームワークも求められる。彼の次のハードルは今週末のアルゼンチンだ。

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