★MotoGP2017アメリカGP マーヴェリックの速さの秘密は何か?

マット・オクスレイさんによるビニャーレス選手の強さの秘密に迫った記事をご紹介します。マーヴェリックという名前の由来も面白いですね。

世界で最初の”マーヴェリック”の故郷、テキサスに向かって波に乗る若きスター

マーヴェリック・ビニャーレスは黄金時代を謳歌している。これは明らかなことだ。前Moto3チャンピオンは69年目のグランプリレースシーズンで単に2勝しただけでなく、彼自身のやり方で追い上げる形のレースで圧倒的な2勝を達成した。

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彼の才能と大胆さは彼が2011年に125ccクラスにやってきた時から現われていた。その時の世界チャンピオンは、グランプリレースへの4度目の挑戦の最終コーナーでタイトルを獲得。2年後、ビニャーレスも彼自身の初のタイトルを最終コーナーで決める。

ビニャーレスは必要な時にアグレッシブに走る事が出来る。しかし彼は冷静で落ち着いた頭脳を持っている。であるから、彼は125cc、Moto3、Moto2、MotoGPあらゆる段階で学ぶことが出来るのだ。彼のMotoGP最初の2年間は、彼の学習プロセスにおいて非常に重要であった。これは彼がパフォーマンスで劣るバイクで最高のバイク達に挑む必要があったためだ。

少し性能が劣るバイクに乗る場合、その違いを埋めるためにライダー自身が無理をする必要がある。つまりブレーキを僅かに遅くし、コーナー進入でのリスクを僅かに多く取り、スロットルを僅かに速く開ける、常に差を詰めることに集中している必要がある。これは限界でのライディングを学ぶ上で最適な学習方法だ。そして限界でライディングすればするほど、限界に慣れていく。

ここで1000分の1秒、ここで1000分の1秒と詰めていくと、”いかに〜の状況を避けるか”、”いかに〜の状況に慣れるか”といった新たなスキルを学ぶ事になる。そして良いバイクを手に入れる事が出来た日に、こうしたスキル全てを使う事が出来、突然レースで勝利を重ねるのだ。それはあまりにも簡単に達成しているように見えるが、これがビニャーレスの現状だ。

ビニャーレスがスズキのMotoGPチームで走っていた時に、3つの他メーカーが彼の成長を大きく助けた。GSX-RRは素晴らしい性能を発揮するとは期待されていなかったため、ビニャーレスはあまり結果を気にする事無く彼のライディングを進化させる事が出来た。GSX-RRは非常にユーザーフレンドリーなバイクであったため、彼に自分のライディングを最大限のところまでプッシュすることを許容した。ビニャーレスはあまり転倒しないライダーで、彼はグラベルを滑って行ったり、エアフェンスと激突することによって学べることは少ないと理解していた。そうして、ビニャーレスは2015年と2016年に可能な限りの学習を進めることが出来たのだ。

そして2017年にヤマハで仕事を得ることが出来たのは彼にとってラッキーだった。昨年ヤマハはミシュランへの適合に苦労しており、フロントにはグリップの問題が、リアには耐久性の問題があった。今年のYZR-M1はリアタイヤにより気を配っているように見え、2017年のフロントスリックは昨年よりもバイクとの相性が良いようだ。

であるからして、ビニャーレスも、そして何よりヤマハが喜んでいる。特に、ビニャーレスがヤマハにやって来たことで、長年ヤマハガレージに漂っていた今にも爆発しそうなテンションが解消されたのだ。「マーヴェリックはまるで新鮮な風のようです。」とはプレシーズンテストでチームのトップのスタッフが筆者に語った言葉だ。

もちろんビニャーレスはヤマハのエンジニア達に新たな挑戦をもたらした。これはホルへ・ロレンソの特徴的なライディングテクニックに9年間付き合わなければならなかったエンジニアにとっての話だ。

「マーヴェリックのスタイルはホルへのそれとは完全に異なります。ですから我々にとっても目から鱗です。」とヤマハのライダーコーチのウィルコ・ズィーレンベルグが語る。「ホルヘは常に寸分たがわぬほど正確であることを要求しました。我々も何をするべきで何をするべきでないか理解していましたし、彼がどんなものを使用出来て、どんなものが使用出来ないかもわかっていました。ですから我々は彼のやり方に完全に縛られていたんです。今は異なる内容の事を試す事が出来ます。」

マーヴェリックはホルへよりもボディウェイトをフロントに多めにかけるんです。これがバイクの旋回性を高め、バイクがよく止まるようになり、フロントに熱を入れやすくなります。これはホルへが常に問題を抱えていた部分です。つまり我々はホルヘが通常望んでいたソフトタイヤではなく、より普通のタイヤが使用出来るようになったということです。ホルヘはよくハードタイヤを機能させることに苦戦していたので、これは我々にとっては助かりますね。」

マーヴェリックはバイクの止め方がアグレッシブなので、バイクの荷重移動が急激にならないように注意しています。彼のブレーキングは非常にアグレッシブなので、しっかりとそのブレーキングをサポートするため、ホルへの時とは異なるセッティングを使用しています。彼はフロントブレーキだけでなくリアブレーキも使いますし、少しマシンも横向きになります。」

ビニャーレスが使用するテクニックはヤマハの最近の優勝ライダー達とは異なる。ロレンソはM1を直線上で完全に止め、マシンからの動きがない状態でバイクをコーナーに飛び込ませる。そして素晴らしいコーナリングスピードを実現するために非常にワイドなラインを使用する。ロッシはより伝統的なテクニックを用いる。つまりブレーキングではよりアグレッシブで、コーナー進入でトレールブレーキングを使用する。

ビニャーレスは、ある程度ロレンソのようにほとんどのブレーキングを直線上で行いコーナーに飛び込む。しかし、フロントへの荷重はロレンソより多い。直線上のブレーキングで、彼はロッシより、そしてロレンソよりもかなり強めにリアブレーキを使用する。ここでマシンからの動きがあるため、彼のブレーキングはマルク・マルケスのそれにある程度似ている。

別の言い方をすると、彼のライディングは様々なテクニックのコンビネーションで、これは彼がスズキへの奉公時代に身に着けたもので、非常に負かすのが難しいコンビネーションでもある。

今週末テキサスのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで開催されるアメリカGPは、2017年のチャンピオンシップにおいて極めて重要な1戦となる可能性がある。マルケスはここでは一度も負けた事がなく、もしここでビニャーレスが勝利した場合、これは非常に大きな出来事となる。そしてビニャーレスは2014年にMoto2クラスで優勝しているため、優勝の可能性はある。一方このサーキットはM1にとって良いサーキットだった事は一度もない。レイアウトはクイックな向き変えとストップ&ゴーのコーナーで構成されているため、どちらかというとRCV向けのサーキットと言える。

COTAはある意味ビニャーレスにとって帰郷とも言える。というのも世界で初めてのmaverickはテキサスの人間だったからだ。19世紀の農場主、弁護士、政治家であったサミュエル・マーヴェリックは、彼の牛達に焼印を押す暇がないほど忙しく、彼の仲間の牧場主達は、彼の焼印を押されていない牛達をマーヴェリックスと呼んだ。最終的にマーヴェリックというのは、独自のやり方をする人々、そう、映画「Top Gun」に出てくるピート・”マーヴェリック”・ミッチェルのような人間を指す言葉となり、これにインスピレーションを受けたアンヘル・ビニャーレスは、彼の息子をマーヴェリックと名付けた。

サミュエル・マーヴェリックはメキシコ人の支配者からの独立運動である1830年台のテキサス革命で中心的な役割を果たした。彼は1836年のテキサス独立宣言の調印者であった。今週末は地元の人間にとってビニャーレスを暖かく迎えるには十分な理由がある週末と言えるだろう。

(Photo courtesy of michelin)

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