★MotoGP2017ホルへ・ロレンソ「Ducatiの乗り方を理解した後は、他の誰よりも前に行ける」

ロレンソ選手がヤマハとDucatiのライディングの違いについて解説したロングインタビューがありました。ヤマハ時代はリアブレーキを全く使っていなかったというのは驚きです。Ducatiの乗り方を理解した後は、Ducatiのどのライダーよりも速く走れるだろうという言葉は力強いです。

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今シーズンのスタートは、明らかにホルへ・ロレンソとDucatiが望んだようなものではなかった。何かしらの成果が上がらなかっただけでなく、物事がむしろ後ろ向きに進んでいるような印象を与えた。そこには多くのプレッシャーがあった。アメリカGPでの失敗の後、普段は温厚なアンドレア・ドヴィツィオーゾからも厳しいコメントが飛び出した。それはDucatiボックス内の団結力の不足に関するもので、これがDucatiが瀬戸際であることを表していた。皮肉にもこうした嵐の中で、自分についてじっくりと考えている男は、普段最も結果を求める人間であるホルへ・ロレンソだった。

 

Q

「あなたは通常は非常に知的なライダーです。あなたが今まで通ってきたような感情を掻き立てられるような状況を、どのようにコントロールするのでしょう?誰かと話したり、誰かに助けを求めたりするんですか?」

ホルへ・ロレンソ

「いいえ。実際のところは全て自分で対処するようにしているんです。心理学者を雇ったりはしてません。このスポーツについては十分な経験がありますから。確かに時には色々な理由で物事が思ったようにいかないことはあります。現時点で言えばその理由は明らかです。バイクの変化が想定していたよりも困難なものだったというだけです。」

 

Q

「何度も言うのも失礼だと思いますが、苦しい時にその状況を共有する人がいないというのは簡単なことではないと思います。普通は誰もが自分を支えてくれる人がいるものです。誰かプロフェショナルな人か、誰か親しい人か。。特にエリートのアスリートともなればなおさらです。こうした人があなたの人生にいないというのは驚きです。」

ホルへ・ロレンソ

自分の場合は、自分自身の問題について集中すること、そして忘れる必要がある時には忘れる事が出来るんです。問題について考えるべきでは無い時は別の物事について考えることが出来ますし、問題を分析する必要がある時に分析することが出来るんです。パズルのピースが適切な場所に収まるまで考えるだけですし、そこからようやく物事が動き出すんです。自分が最終的に望む姿に徐々に近づくまでは、突然全てが全て思い通りに行くなんて事がないのはわかっていますが、一度に0.1秒ずつ改善すること、0.05秒から0.1秒改善することから結果が出てくるんです。」

 

Q

「2年前、2015年にも非常に厳しいチャンピオンシップのスタートを迎えていました。そしてヘレスで優勝しました。そしてその後に以前のレースとの違いは「直感で乗ることにした」というものでした。この2つの状況を比較することは出来ますか?物事が過ぎるままにまかせ、あまり考えないという同じ方法で、現在の問題の解決策を見つける事が出来ますか?」

ホルへ・ロレンソ

「自分の本能は、自分にヤマハのようにバイクをライディングさせようとします。ヤマハのバイクだとプッシュし過ぎると遅くなるんです。これは何度も同じケースを見てきました。例えばスピーズは最初は上手くやっていましたが、その後苦戦しました。ポル・エスパルガロも非常にアグレッシブなライダーで、そのアグレッシブさによって自ら速く走る事を妨げていました。ヤマハで良い結果を残してきたライダー達は技巧派なんですよ。エドワーズ、ヴァレンティーノ、自分など。ヤマハのバイクで必要なのは最初は少しスローダウンして走ることです。バイクがアグレッシブなブレーキングやレイトブレーキングを許容しないんですよ。ブレーキは早めにリリースしてスロットルを早めに開ける。Ducatiでは全くの逆です。レイトブレーキングをすること、ブレーキを強烈にかけること、荷重移動を多めにとることなど、自分に言い聞かせる必要があります。

「また、リアブレーキも使用しないといけません。自分はヤマハにいる時はリアブレーキは使ったことはありませんでした。リアホイールをスライドさせながらリアブレーキを使うんです。これはヤマハとは対照的ですね。そしてバイクをさらに多めにスピンさせること。スロットルをアグレッシブに開けてコーナーの中でバイクを少しスライドさせる必要があるんです。ヤマハではこうした走り方はあまり意味がありません。全く違う世界ですよ。これは今まで非常に攻撃的なサッカーをしていて、突然イタリアでプレイすることになり、そこのプレイスタイルは守備がメインだというような感じですね。」

 

Q

「ブレーキング、コーナリング、加速。このコーナーを構成する3つのフェーズにおいて、あなたはコーナリングと加速という部分で抜きん出ていました。Ducatiでは対象的にコーナリングを犠牲にしてブレーキングを改善する必要があるように思えます。これは正しいですか?」

ホルへ・ロレンソ

「場合によります。バウティスタを見ると彼はコーナリングも得意ですが、ドヴィツィオーゾも見ると彼はブレーキングが強みでコーナリングはそうでもありません。ですからブレーキングとスロットル操作でよりアグレッシブであること、リアブレーキを主に使用することなんです。コーナーで流れるような形で進入速度を高めることであって、コーナーリングスピードを高めることではないんです。結局コーナリングが上手い選手の場合は、コーナリングスピードは数km/h速いものですから。自分はヤマハ時代のようなレベルのコーナリングは出来ないでしょう。自分の今のコーナリングは5km/hは遅いでしょうね。ただこれを別の部分、加速などで埋め合わせしていきます。エンジンパワーと優秀なアンチウイリーを武器として使っていかねばなりません。別の言い方をすると、ブレーキング時の高い安定性は自分にレイトブレーキングを可能にしています。ブレーキングを遅らせること、より良い加速をすることで、コーナーの中で失っている部分を取り戻す必要があります。

 

Q

「ヤマハから最近Ducatiにやってきたライダーを評価すると、ロッシ、ドヴィツィオーゾ、そしてカル・クラッチローがいますが、彼らは皆Ducatiへの適応に苦戦しました。彼らとの比較について気にしていますか?」

ホルへ・ロレンソ

「ロッシと自分の結果を比較するのは誤解に繋がります。2010年は強いバイクが4台ありましたから。そしてそれ以外のバイクは数年遅れたものであったと言えるでしょう。トップから45秒遅れでゴールすると5位、6位という状態でした。今そうした差でゴールするとなると、15位でゴールすることになります。非常に競争力の高いバイクが何台もいるんです。今のDucatiのほうがロッシが乗っていたDucatiより競争力が高いことは明らかですが、対象的に強いメーカー、強いバイクが多いのも事実です。」

 

Q

「全てのDucatiに乗るライダー達が、デスモセディチは非常にフィジカルなバイクだと言います。この言葉が意味するところを具体的に説明してもらえますか?なぜDucatiのタイヤはより消耗するのでしょうか?何がよりライダーに要求されるものなのでしょう?」

ホルへ・ロレンソ

現状のバイクに関してはブレーキをかけても止まらないんですよ。ですからDucatiのライダーたちはリアブレーキも多用するんです。ですから腕はそこまでは疲れないんです。エンジンは非常にナーバスです。特にハイスピードではどう感じます。実際いくつかのコーナーではバイクの挙動を落ち着かせるためにもリアブレーキを使用する必要があります。ですからブレーキング中と高速での加速中に、バイクは非常にフィジカルの強さを要求します。直線ではバイクはより安定しています。動きが少なくなりますし、少しリラックス出来ます。ただ基本的には疲れるバイクですし、心拍は早くなります。」

 

Q

「このバイクに乗ることで通常のフィジカル面での準備を変更する必要はありましたか?」

ホルへ・ロレンソ

「ええ、今はより筋肉量が増えています。」

 

Q

「メンタル面では、今まであなたに5度のタイトルをもたらしたライディングスタイルを変更するというのは受け入れがたいと思います。特にMotoGPで3度タイトルをもたらしたライディングスタイルがもはや通用しないわけですが、これを受け入れるのは難しいでしょう。」

ホルへ・ロレンソ

「この状況を非常にチャレンジングなもの、ケーシー・ストーナーのみがなし得たものだと捉えています。あの当時のバイクはより難しい状況だったと思います。2007年のヤマハとホンダに対してのパワーのアドバンテージは大きなものでは無かったと思いますしね。彼はまたブリヂストンタイヤを履いていました。特にフロントに関してはミシュランと大きな違いがありました。2008年に彼はいくつかのレースで優勝し、2009年も同様でした。そして2010年もそうですね。ただ2007年とは違ったんですよね。2007年はストーナーだけがコンスタントに勝利し、Ducatiで唯一タイトルを獲得しました。」

現時点ではバウティスタがバイクに非常に上手く適合しており、ドヴィツィオーゾも自分よりも速いです。ペトルッチ、レディング、残りのDucatiライダーもそうでしょう。ただ思うに、自分がコツを掴んだ後はこうしたライダー達よりも高いレベルに行けると思うんですよ。これが現状なんですが、結局のところDucatiもそう思って自分と契約したわけですしね。ただ実際のところ、自分が今までのキャリアで全てのバイクを理解出来たように、いかにこのバイクで速く走るかを理解出来た後は、他のライダー達よりも前に行けると思っています。

 

Q

「今まで話してくれたことの中でいかに作業をしていくかはわかったのですが、これからは理論を実践する必要があります。」

ホルへ・ロレンソ

「理論を実践するのは最も難しいんですよ(笑)誰もが非常に勇敢に話をすることは出来ます。でもその後実践に移す必要があるんです。」

 

Q

「クルーチーフのクリスチャン・ガバッリーニとの関係はいかがですか?これはまた新たな仕事ですね。」

ホルへ・ロレンソ

「素晴らしいですね。自分が知る中で最も落ち着いていて多くの自信を与えてくれます。彼は素晴らしいプロフェショナルな人物で良い人物です。」

 

Q

「日本ガレージと比べると、イタリア人チームの中で働くのはかなり違うのではないですか?仕事の仕方に関してキャラクター面、メンタル面では大きな違いはありますか?」

ホルへ・ロレンソ

「Ducatiでは何かを試す時間は少ないですね。何かをテストするのにそこまで距離を走らないんです。これは作業スピードの面ではいいですね。ただ、その中で、より故障などが起きる可能性もありますから、そういう点では悪いと言えます。」

 

Q

「その他には慣れなければいけない事はありますか?」

ホルへ・ロレンソ

「ええ。ただダッリーニャがいることで、全てがより組織化されています。」

 

Q

「ドヴィツィオーゾがカタールとアルゼンチンで良い結果だったというのは良いサインですよね?このバイクにポテンシャルがあるということを示していると思いますが。」

ホルへ・ロレンソ

「ええ。ドヴィはカタールでもう少しで優勝するところでした。これはバウティスタに関してもアルゼンチンでビニャーレスから6秒落ちですからね。25周で6秒ですから1周ごとに0.2から0.3秒落ちです。これはそれほど悪くないですよ。ヤマハから0.2秒以上遅れているわけではありませんから。」

 

Q

「マルケスにビニャーレスがヤマハであなたがしていなかった事は何かと聞いたんですが、マルケスはビニャーレスはブレーキングが深いままにコーナリングスピードを失っていないと話しています。これは気づいていましたか?」

ホルへ・ロレンソ

「ブリヂストンでは自分も高いレベルに到達していたんですが、ミシュランだとコンスタントさが無かったんです。これはミシュランが用意するタイヤとトラックコンディションに大きく左右されました。ブリヂストンの頃のようなブレーキングは出来ませんでしたね。ビニャーレスは対象的にどのサーキットでもコンスタントですし、これは彼がリアブレーキの使い方を理解しているからでしょう。自分はヤマハではリアブレーキは使いませんでした。Ducatiほどには重要でなかったんです。でもビニャーレスはリアブレーキを使うことでフロントにそこまで荷重を与えないようにしています。フロントブレーキだけでブレーキングするのは実に効果的なんですが、ウェット路面上では両輪でブレーキ出来るのが効果的ですよね。ヤマハ時代にもこのテクニックを理解して使いたかったですね。そうすればもっと遅くにブレーキング出来たでしょうし、ブレーキングで常にハンデを負わずに済んだでしょうから。明らかに昨年はそれで負けていました。」

「マーヴェリックにとっては今は良い形でスタートする事が必要です。そうしないと最初の数周で先頭のペースに追いつくのに支払う代償が多いですから。ただ彼は素晴らしいライダーだと思います。特にこのリアブレーキのテクニックに関してね。そして彼は昨年の自分よりも完成されていると思います。」

 

Q

「ヴァレンティーノに関しては他の誰よりも良く知っていると思いますが、アルゼンチンのように、なぜ彼は練習走行よりもレースで0.7秒も速く走れてしまうんでしょう?」

ホルへ・ロレンソ

「(笑)わからないですよ。これは彼しか答えは知らないでしょうね。」

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