ミシュランのフランスGPの後に出された決勝レースリリースをご紹介します。ドライでの練習走行の時間が短かった事を考えると、多くの記録が生まれた素晴らしいレースだったと言えるでしょう。

ミシュランはル・マンで開催された狂乱のフランスGPにおいて、マーべリック・ビニャーレスが優勝し、フランスがホームのヨハン・ザルコが、地元ファンの前で2位を獲得するのを見届けました。

ポールポジションを獲得したビニャーレスはホールショットを決めてレースをリードします。しかしそれをザルコが交わし、フランスの観客はこれに熱狂します。ザルコはMICHELIN Power Slickを前後に履き、ライバルを僅かにリード。
ビニャーレスはけして諦めずにザルコとの差を詰め、ザルコが7周目を迎える前にザルコを抜き去ります。この頃にはバレンティーノ・ロッシがバトルに加わり、同じくザルコを抜いてチームメイトの1秒後につけます。

今度はロッシがトップのライダーを追う展開となりビニャーレスを26周目に抜きます。しかしビニャーレスはこれに対抗し、これによってロッシは彼らしからぬミスをすることになり、最終ラップに転倒。ビニャーレスは優勝と同時にヤマハにとってのグランプリレース500勝を達成、またチャンピオンシップにおいてトップに返り咲きました。

ザルコは、ロッシの転倒によって彼自身最高のMotoGPにおけるリザルトである2位、そして独立チーム最高位を獲得しました。これにより、ザルコはフランス人ライダーとして2009年以来初めてMotGPクラスで表彰台を獲得したライダーとなり、母国フランスで表彰台を獲得したライダーとしては1988年以来初めてこれを達成したライダーとなりました。

3位を獲得したのはダニ・ペドロサ。13位から3位を獲得しています。アンドレア・ドヴィツィオーゾがカル・クラッチローとのバトルを制して4位を獲得。ホルへ・ロレンソは6位でレースを終えています。なおジョナス・フォルガーが7位を獲得し、ジャック・ミラーが8位を獲得しました。もう1人のフランス人ライダーであるロリス・バズは9位、アンドレア・イアンノーネが10位を獲得しています。

レースが進むごとに、ビニャーレス、ロッシ、ペドロサの3名が今までのラップレコードを破り、またしてもミシュランの異なる前後コンパウンドが有効に機能した事を表しています。ビニャーレスとロッシは前後にミディアムのスリックを履き、ペドロサはフロントにミディアム、リアにソフトを履きました。ザルコも異なるコンパウンドを選択、クラッチローはフロントにハード、リアにミディアムを選択。これにより6種類の組み合わせのうち5種類がレースで使用されました。

今日のレースはミシュランにとっても記録的なレースウィークとなりました。12周目からラップレコードが立て続けに更新され、ビニャーレスが最初にラップレコードを更新した後、ロッシ、ペドロサがこれに続き、この3名が合計8回に渡りラップレコードを更新しました。最終的にビニャーレスが最も速いタイムとなる1分32秒309を最終ラップに記録、レースタイムとなる43分29秒793も新たな記録となりました。これは以前のレースタイムを16秒以上上回るタイムとなります。

28周で争われたレースは104,000人のファンが見守り、ドライで晴れたレースは、冷たくウェットコンディションで行われた前2日とは対象的なものでした。これは全てのライダーにとってはドライのセットアップタイムが少なかった事を意味しており、ミシュランのスリックタイヤが、ル・マンの新しい路面と合わさって素晴らしいバトルをフィールド上で生み出すこととなりました。

残念ながら、こうしたレースウィークの出来事は、ミシュランタイヤを履いてMotoGP世界選手権でチャンピオンを獲得したニッキー・ヘイデンが、ミサノサーキット近くで自転車を運転中に車に轢かれたというニュースで大きく扱われることはありませんでした。ヘイデンは複数の外傷を負ってBufalini病院に入院しています。ミシュランはニッキーと彼の家族に祈りを捧げるとともに、彼の回復を祈っています。(※記事自体のリリースはニッキーが亡くなる前でした。)

ミシュランとMotoGPパドックは、6月4日に開催されるMotoGP世界選手権第6戦の舞台、タイヤによる要求の高いイタリアのムジェロサーキットに向かいます。

マーべリック・ビニャーレス

「今日はいい気分です。これは良い気分でレースが出来なかった2戦の後であることを考えると大事なことです。今日はバイクの感触は良く、ウォームアップで良い仕事が出来ました。タイヤに良い仕事をさせる事が出来ましたし、パスカル、ミシュランと共に素晴らしい結果を獲得することが出来ました。ラップ、そしてレースレコードも記録出来ましたし、今日は素晴らしいフィーリングです。」

テクニカルディレクター ニコラ・グベール

「まず、ミシュラン、そして私自身から、ニッキー・ヘイデンと彼のご家族に、ニッキーが怪我から回復出来るように祈りたいと思います。ニッキーは模範的なスポーツマンで、トラックの外でも素晴らしい人物です。彼はシングルタイヤルールが導入される前の、ミシュランの最後の世界チャンピオンであり、ミシュランの中でも特別な存在です。ですから、良いニュースが早く届く事を願っています。」

「今週はウェット、そして冷たい天候の前半2日もあり、複雑な週末でした。ですから、チームにとってもバイクのセットアップを進め、タイヤから情報、フィードバックを得るチャンスは少なかったでしょう。とは言え、この天候は我々に貴重な雨天のデータを与えてくれ、タイヤもウェット、ドライ両方で良く機能し、ラップタイムの向上も見られました。ドライコンディションでの走行時間が限られていましたので、レース前には今日の午後のような興奮が得られるとは思っていませんでした。」

「今月初めにここでテストを行った際に新しいアスファルトに高いグリップがあるという事がわかっていましたが、レースでもこれが証明されました。タイヤはグリップを発揮し、ラップレコードが何度も更新されました。また、ラップレコードが最終ラップに記録され、タイヤの高い耐久性を示していると言えるでしょう。」

「個別のラップタイム自体も素晴らしいですが、レースレコードで見てみるとさらに素晴らしいです。レースもまたエキサイティングなもので、最後まで誰が優勝するかわからない展開でしたから、ファンにとっても素晴らしいレースだったでしょう。マーヴェリックには彼の勝利と、ザルコにはフランスに誇りを取り戻したという事で賛辞を贈りたいと思います。」

(Photo courtesy of michelin)

<ミシュランタイヤ プレスリリース>