★MotoGP2017 ウィルコ・ズィーレンベルグが語るビニャーレス

ロレンソ選手と長年共にヤマハで戦い、現在はビニャーレス選手と仕事をしているウィルコ・ズィーレンベルグのインタビューがありましたのでご紹介します。この人ならではのロレンソ選手とビニャーレス選手のライディングスタイルの違いの解説などが興味深いインタビューとなっています。

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元250ccクラスの優勝ライダーであり、カル・クラッチローがワールドスーパースポーツでタイトルを獲得した際のチームマネージャーであるウィルコ・ズィーレンベルグは、MotoGP3冠王者のホルへ・ロレンソと2010年から2016年を共に過ごした。現在彼は、今シーズン3勝しているマーべリック・ビニャーレスのライダーパフォーマンスアナリストだ。

 

Q

「ウィルコ、ホルへ・ロレンソと長年仕事をしてきました。マーベリックは一緒に働くのに、そして人としてどうですか?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「マーベリックは非常にプロフェッショナルでモチベーションに溢れた人間です。彼は本当に集中力が高い選手だと思います。基本的にはホルヘと似ています。バイザーを一度閉じれば完全に集中出来るんですよ。彼にはワールドチャンピオンになるという目標があります。まったくもって明確ですし、彼が本当にワールドチャンピオンになるのは間違いないでしょう。問題はいつかということだけです。ただ、彼はこれからのMotoGPにおけるキーパーソンになるでしょう。彼は本当に成熟しています。彼に”ここにこの時間にいてくれ”と言えばそうしてくれますし、しっかりと話を聞いてくれ、本当に学習しステップアップすることに貪欲です。我々はこのバイクに対して多くの経験があります。今年のような暑くてグリップが低いコンディションに関しては別としてですが。練習走行ごとにバイクをステップ・バイ・ステップで改善することが出来ていますし、それが彼に自信を与えているんです。世界チャンピオンになるには、週末ごとに苦戦するようではだめです。それではレースに勝てません。」

 

Q

「バイクをライディングすることに関して、マーベリックの大きな強みである部分というのはあるのでしょうか?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「ホルヘと比較するなら、ホルヘは非常にスムーズで、フロントタイヤに対しての操作が穏やかで優しいんです。マーベリックはフロントタイヤをアグレッシブに使用します。ただミシュランタイヤに関しては、マーベリックのほうが僅かに上手くタイヤを機能させています。彼はバイクを止めるのが上手いので、それもあってブレーキを少し遅めに、深くコーナーに進入した状態でかけることが出来ます。また、ホルヘと比較して体をよりフロント側に入れていると言えます。ホルヘはブレーキしてすぐに高いコーナリングスピードを実現するために、(車体フロント側から)体を車体側に戻すんですが、マーベリックはバイクを早く旋回させたがるため、より体をフロント側に置き、より良く旋回して早めに立ち上がります。それと彼はリアブレーキを上手く使っています。これは左コーナーでも右コーナーでも同じです。」

「ですからベースセットアップもホルヘのそれとは少し異なってきます。ホルヘの時はマーベリックで使用しているようなセットアップが使えなかったため、バイクを止めるという事に関して苦戦する事もありました。ホルヘはブレーキをハードに遅くかけるという事がありませんでしたから。ですからスプリングだとかセットアップに関してはマーベリックの場合は異なりますし、面白いですよ。ホルヘの時はブレーキングに関して色々と苦戦していました。ただ、マーベリックの場合はバイクもしっかりとブレーキング出来ており、かつレイトブレーキングが出来ています。過去数年ホルへと一緒にやってきて抱えていた細かい様々な問題を、こうして解決出来ているのは面白いですね。これはマーベリックのライディングスタイルによるものです。」

 

Q

「マーベリックのスタイルはロッシとは似ているんでしょうか?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「いいえ。彼のスタイルはバレとも異なります。彼は強靭な体を持っていますから、バイクの向きを変えるのに体の力をかなり使っているんです。とは言え、これもまたバレとは異なるスタイルです。バレは背が高く痩せています。体のサイズが異なるんです。彼らはバイクに関して異なる内容について不満を述べますが、これはライディングスタイルが異なるからです。マーベリックは非常にフィジカルが強いんです。たとえ最後の5周であっても彼はエネルギーをしっかりと持っています。これはレースウィークに関しても同じことが言えます。彼は常に朝早く起きていますし、単純に彼は非常にエネルギッシュだということなんです。これはトレーニングだけによるものではなく、彼のDNAによるところもあるでしょうね。」

 

Q

「今シーズンは昨年よりもさらに予想が難しいシーズンになっていますね。」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「確かに予想が難しいですね。ドヴィが2戦連勝するなんていうのも奇妙なことです。彼はチャンピオンシップで10年間走っていますが、マルク、バレ、ホルヘ、マーベリックを倒すのは簡単なことではありません。しかし彼は2戦連続でこれを成し遂げ、バルセロナでは実に簡単そうにやってのけました。残りのシーズンがどうなるか楽しみです。あまりにも自分達が苦戦するようであれば、再び戦いを挑んで行く必要がありますし、これは自分達が今やっていることでもあります。自分達が抱えている問題について対応する必要があるんです。冬の間にバイクの準備が出来ますが、これは特定のトラックにおいてということになります。いつも何かしら問題が出てくるトラックというのは冬の間にテスト出来なかったトラックなんです。ですからそれに対して対処をする必要があるんですが、自分達の長所を失わないようにしないといけません。我々は既に3勝しています。これは悪くはありません。とにかく今年は妙なチャンピオンシップですね。」

 

Q

「今年のヤマハに関して強みと言えるのはどこでしょうか?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「昨年と比較して改善をしようと努力してきたのは、レース後半でのリアグリップなんです。改善はしているんですが、トラック自体のグリップが高い必要があります。また、ミシュランがトラックにしっかりと合ったタイヤを持ち込んでくれるかどうかということも重要になります。ミシュランのタイヤは最高のパフォーマンスを発揮する温度域が非常に狭いですから。少し暑すぎたり寒すぎたりすると駄目なんです。」

 

Q

「温度域が狭いというのは、コンパウンドごとに対応する温度域のギャップがあるということでしょうか?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「そういうわけではありません。ハードタイヤはハードでスピンを開始するのが早すぎ、それが止まらないんです。ですから長持ちするんですが、グリップはしないんです。」

 

Q

「どのようにライダー達はそれに適応しているんでしょう?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「彼らも努力しています。マーべリックがバルセロナで話したようにね。彼は”レースの中であらゆる手を尽くしました。リーンをあまりさせない、バイクを早めに起こす、バイクを起こさないなどね。”と話しており、ラップタイム改善についていろいろな手を尽くしたんです。しかしスロットルに触れた途端リアのスライドが始まってしまい、これを避けるのが難しい状態でした。これが現状の主な問題と言えるでしょう。」

 

Q

「適応するという事に関しては、ホルヘはDucatiを乗れるようになってきていると思いますか?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「彼にとっては簡単ではないでしょう。彼の高いスキルはコーナリングスピードですし、ブレーキも早めに始まり早めに終えますからね。Ducatiはあまり曲がりませんし。ただDucatiならではの強みもあります。そうでなければ2戦連勝は出来ません。思うにDucatiはもう少しホルヘに歩み寄る必要があるでしょうし、ホルヘもDucatiにもう少し歩み寄る必要があるでしょう。彼はいかにハードに深くブレーキングするかを学ぶ必要があり、コーナリングスピードを少し落とすことを学ぶ必要があります。ただ、これに関しては彼の強みでもあり、同じような走りが出来るライダーは他にいません。」

 

Q

「ホルヘとDucatiは変わり始めていると実感出来ますか?」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「ええ。特に電子制御の部分に関しては改善が進んでいると思います。というのもバイクの動きが少ないですから。とは言え、ホルヘはあまりバイクを振り回さないタイプですけどね。これもまた彼の強みでもあり、スロットルの操作も実に繊細です。しかし予想に関しては難しいです。このタイヤの状況もありますから。彼はバルセロナでハードタイヤを使用しましたが通常彼はハードタイヤを使用することはないんです。ただ、これに関しては非常に上手い具合に機能していました。ドヴィですらミディアムタイヤを履いて優勝しました。ホルヘは速さを発揮するのが遅くなりましたが、そうでなければ再び表彰台に立っていたでしょう。」

 

Q

「最後に、マルケスはアシンメトリックフロントタイヤがブレーキングの問題を引き起こしていると語っていました。」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「可能性はあるでしょう。ブリヂストンでも同じでした。2つの異なるコンパウンドのジョイント部分でライディングすると、まるでタイヤがどちらのコンパウンドを使用するかを決めなくてはならないような状況になるんです。ブレーキングをせずに2つの異なるコンパウンドを使用する時は良いんですが、コーナリングをする時にブレーキングをしている状況で2つのコンパウンドをまたぐ必要が出ることがあります。(※トレイルブレーキングをする際などがこれにあたるでしょう。)このジョイント部分というのは常にタイヤの中心ではないんです。いつも少し右か左なんです。ミシュラン側もこの問題については改善をしようとしているんです。」

 

Q

「ウィルコありがとうございました。」

ウィルコ・ズィーレンベルグ

「どういたしまして。」

(Photo courtesy of michelin)

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