★MotoGP2017 コラード・チェッキネッリ「メーカー独自IMUがチートに使われている可能性がある」

MotoGPの技術ディレクターであるコラード・チェッキネッリは、可能であれば将来的に統合IMUを導入したいと語ります。これはメーカー独自のIMUが、統合ECUをより理想的に機能させるためにECUへの出力をドーピングしている可能性があるためということです。

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Q

「今年のMotoGPは再び激しい競争が展開されています。テクニカルルールに関しては満足ですか?」

MotoGP技術ディレクター コラード・チェッキネッリ

「ええ。個人的にはまた別のことをしたいと思っています。ただ非常に満足していますし、天候に恵まれなかったことが結果的に面白いショーを演出してくれたので、我々にとってラッキーでした。ですから昨年、今年はMotoGPはショーとして大きな進歩をしたと思います。ただ正直に言うと、ショーがこういう展開になったのは全て我々がやったことに基づいていてわけでもないんです。例えばタイヤだとかECUだとかは我々が関係する物事ですけど、天候であるとかライダーの数という素晴らしい要因は我々が関係していた物事ではありません。」

 

Q

「また別のことという話ですが、何か次のステップがあるのですか?」

コラード・チェッキネッリ

「これは次のステップとして考えているわけではありません。というのも、これは既に忘れさられていることだからです。ただ、私としては、RPMリミッター(最高回転数制限)と、小径ホイールによってコーナリングスピードを遅くするなどといったことに関して作業をしないとと思っているんです。これらは既に提案されていながら実現していないだけなんです。ですから、今の状態としては望んでいた状態というわけでもないんです。これらに関しては、我々が今懸念している物事ではないんです。」

 

Q

「MotoGPクラスのメーカー間で共通の最高回転数を設けるということに関しては、まだ時間が掛かりそうなんですか?」

コラード・チェッキネッリ

「まだ議論は始まっていません。ただ、現状のシナリオの1つである統合IMU(※慣性計測ユニット)を使用するというのは、そう馬鹿げた話ではないと思っています。慣性計測ユニットというのはジャイロスコープなどを搭載しているものです。これは現在のシチュエーションから考えて、より実践的で関連性があると思いますね。現時点で回転数制限を設けるのはまったく別の話です。しかしレギュレーションで統合IMUを使用するということは、今出来る現実的なステップと言えます。」

 

Q

「それが、このスポーツを盛り上げるうえでどのような意味合いがあるのでしょう?」

コラード・チェッキネッリ

「コスト面での違いは間違いなく大きいでしょう。これは生産数が増える事によるものです。これがメリットの1つ目です。しかし私にとってメインとなるメリットとしては技術格差が縮まるということです。いくつかのメーカーが統合IMUを使いたがらないのは、彼らの独自IMUのほうが性能が高いからでしょう。で、彼らがそう思っているのであれば、実際そうなんですよ。加えて、IMUはセンサーが詰まった箱で数学処理が出来るファームウェアが入っています。ですから演算処理が出来る可能性があり、それがチートに使われる可能性があります。」

 

Q

「それはどのように?」

コラード・チェッキネッリ

IMUは言ってみれば、ECUの一部なんですよ。(統合)ECUはIMUを備えているんですが、正確性が不十分なので使用されていないんです。これが外部IMUの使用を認めている唯一の理由です。概念上IMUは私にとってはECUの一部です。ですからECU同様に統合化されるべきなんです。というのも、IMUの中には”脳”があって、単純なセンサーではないんです。」

 

Q

「ということはチームはIMUをプログラムしている?」

コラード・チェッキネッリ

「そうです。IMUはリーンアングルを計測していると思っている人がいますが、それは正しくありません。IMUは傾き具合を計測し、それを元にリーンアングルを計算しているんです。リーンアングルを直接計測しているわけではないんですよ。」

「しかし、この計算の中で積分以上ことをしていたらどうでしょうか。例えば(※IMUが)傾き具合とタイヤ温度を計測していたとします。それを元にドーピングされたリーンアングルをECUに送ります。この時のリーンアングルは実際の数字ではなく、タイヤの温度によって変化するものとします。こうなってくると、これは状況に応じたトラクションコントロールになりますよね。

 

Q

「では、ECUに本来と異なるアウトプットを送るために、パフォーマンス上の理由でIMUを操作するという事が可能ということですね。」

コラード・チェッキネッリ

「ええ。IMUに本来の仕事をさせるためにプログラミングを行うことは避けられませんから。ですから、私もIMUとPCを繋いで何かをするなとは言えません。IMUを機能させるために必要な作業ですからね。そういうこともあって、私は何が行われているのか把握はしていません。そこにチートの可能性があります。」

「IMUは実際のところコンピューターでありCANラインに繋がっていますから、理論上はそうしたことが可能ですし、我々のコントロールの範疇を超えています。ECUが受け取るインプットが正しい数値ではなく、ドーピングされたアウトプットであったとしたら明らかにルール違反です。例えば、メーカー側が我々が統合ソフトウェアにおいてトラクションコントロールのかかり具合を決定するのに、どの程度リーンアングルを考慮するかという部分の計算を間違えていると思っているとします。」

「それで自分達でIMUをプログラミングして修正したリーンアングルを入力するわけです。これはセンサーではなくコンピューターですよ。IMUはECUの中の統合ソフトウェアよりも入力としては上流側にあります。IMUからの出力をドーピングしてやれば、統合ソフトウェアのロジックを変更するということになります。それがごく僅かだとしても、ロジックを変更していることには変わりません。」

 

Q

「統合IMUの導入への道のりはまだ長いのでしょうか?」

コラード・チェッキネッリ

「ええ。同意には至らないでしょう。理論上は今まで議論されてこなかった”オープン”なアイテムなんです。回転数制限について話し合った時には、IMUはこうした”オープン”なアイテムではありませんでした。統合IMUを使用するように我々が強制すればありがたいと思うメーカーもあるでしょうが、そういうことなら選手権を撤退すると脅してくるメーカーもあるでしょうね。」

(Photo courtesy of michelin)

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