★MotoGP2017 KTM CEOステファン・ピエラ「MotoGPには表彰台を獲得し、優勝するために参戦している」

KTM CEOのステファン・ピエラに対するManuel Pecinoさんのインタビュー記事をお届けします。もともとは「Sport Rider Magazine」の4月、5月号に掲載されていたインタビューですので、回答内容がMotoGP開幕前の内容となっている部分もありますが、KTMがどのような思いでMotoGPに参戦しているのかなどわかりやすいインタビュー記事となっています。

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KTM CEOのステファン・ピエラは非常に率直な人物だ。彼のインタビューの間の返答は曖昧さや誇張がなかった。答えにくい質問にも、日本のメーカートップがするように質問から逃げようとしたりしなかった。ピエラとのインタビューは「聞きたいことを聞いて下さい。それに答えますから。」という言葉に集約される。

日本メーカーが長年支配していたオフロードレースで幾多の成功を収めた後、KTMはこれからMotoGPに参戦する。オーストリアのメーカーは2017年にフルファクトリーチームを組織し、2人の経験あるライダー(ブラッドリー・スミスとポル・エスパルガロは両名ともテック3ヤマハのライダーだった)を起用し、RC16はCADデザインから完全に機能するプロトタイプが完成するまで、僅か3年という短期間で完成している。テストの結果は、KTMが非常に競争力が高いことを示しており、非常にレベルの高いMotoGPにおいても、戦力不足を感じさせない。

「我々は勝つためにここにいるんです。」という言葉はMotoGPでのゴールは?という質問へのピエラからのメインメッセージだ。KTMのレースでの活躍、そしてピエラの率直な人柄を考えると、こうした内容を何も考えなしにいうようなことはないだろう。

 

Q

「あなた個人的にMotoGPプロジェクトとは何を表すのでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「我々はMotoGPでの成功以外は全てを手にしています。我々は20年前にレースを開始しました。パリ・ダカールラリーから始まり、昨年はアメリカでスーパークロス選手権で優勝しています。時には12年間のハードワークと忍耐が必要です。そしてこれからはMotoGPというわけです。」

 

Q

「10年にわたり、日本メーカーがMotoGPを独占しています。KTMが成功するということに関しての現実味というとどの程度なのでしょう?」

ステファン・ピエラ

「もちろん本気ですよ!日本メーカーが使っている材料は私達と同じです。KTMは意思決定が速いですし、さらにリスクを取ります。過去をみても日本メーカーからは多くを学べます。我々は自分達の得意な形で日本メーカーを負かすことが出来ると証明してきました。それに日本メーカーに勝つのは楽しいんです。

 

Q

「ここには勝ちたいという日本メーカーはあるのでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「最も尊敬しており、私が敬愛しているのはヤマハです。もう1つ好きなブランドはカワサキ。しかし、勝利することで私に最も大きな喜びを与えてくれるのはホンダですね。

 

Q

「Moto3カテゴリーでは、バトルが続いておりエキサイティングな週末が続いています。」

ステファン・ピエラ

「Moto3では多くを学びました。MotoGPでドンジリにはなりません。そして、これがMoto3プロジェクトに参戦している理由でもあるんです。」

 

Q

「Moto2では誰かさんのエンジンを使用するにも関わらず、シャーシサプライヤーとしてMoto2に参戦したのはなぜですか?」

ステファン・ピエラ

「モーターサイクルのパフォーマンスを形づくるのはエンジンだけでなく、車体全てなんです。我々はパイプフレームを使用する唯一のメーカーです。そしてMoto3クラスでは、このコンセプトで成功を収めることが出来るのだと証明出来ています。同じ事をMotoGPでもやりたいのです。Moto2ではこうしたシャーシで、エンジンが共通のクラスで違いを生み出せるのだと証明したいんです。」

 

Q

「Ducatiはパイプフレームで唯一の世界タイトルを獲得しています。しかしアルミニウムフレームのビルダーは、アルミのほうが良いという理由を1000が語るでしょう。なぜパイプフレームでも行けると、ここまで自信があるのでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「この技術で10年間オフロードで優れた結果を残しています。現在はこの技術がより洗練されました。我々のパイプフレームは優れています。非常に洗練された合金鋼 、クロモリを使用しています。そして我々のSXモトクロスシャーシは、アルミフレームより軽いんです。これはつまり、高性能鋼は、アルミよりも軽量で柔軟性に優れたシャーシを作り出せるということなんです。ですから、我々がMotoGPに何が優れているのかということを見せつけることが出来ると思っています。」

 

Q

「明らかに、この技術はモーターサイクルの開発フェーズでは役に立ちます。トレリスフレームはカットするのも溶接するのも製造時間が短くて済みます。」

ステファン・ピエラ

「その通り。全てがアルミより早いです。柔軟性を変えたければ、いらない部分を切り落とす、もしくは足すことで特性を変えることが出来ます。」

 

Q

「500ccの世界選手権では、CAGIVAがヤマハの技術をコピーするということをしていましたが、これは役立ちませんでした。他と極端に違うということがチャンスになると思いますか?」

ステファン・ピエラ

エンジンの技術に関しては、我々がトップです。この部分ではホンダに引けを取らないと思っています。私達のグループ企業を考えれば、モータースポーツ界に色々な部品を供給している企業に気付くでしょう。それはF1からMotoGPまで多義に渡ります。MotoGPバイクのエンジンの内部パーツは全てKatzenbergのものです。シリンダーからコネクティングロッド、クランクシャフトまでね。ですから、4ストロークの世界に関しては我々は自分の実力を良く把握しています。」

 

Q

「これは、KTMはスズキやアプリリアのような、低パフォーマンスのエンジンに苦しむようなことはないということでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「これに関しては、我々には特別なエンジンビルダーであるカート・トリーブがいると言っておきましょう。彼はBMWに短期間いたことがありますが、それを除いて15年間我々と一緒に仕事をしています。彼は本当にユニークな人物です。我々の経験を考えると、エンジンのパフォーマンスに関しては全く心配していません。十分なパワーがエンジンにはあります。ただ、当然これを扱いやすいものにする必要があります。シャーシに関してはMoto3で多くを学び、さらに色々な事を組み合わせています。我々の問題解決能力は高いんです。長年かけて良いチームを組織してきましたし、これがマッティヒホーフェンにあるKTMのファクトリーの近くにいます。スペインに従業員は置いていませんし、イタリア、その他のどこに関してもそうです。我々は自分達の従業員をファクトリーの近くに置いています。複雑なプロジェクトですし、PanklやWPも関わっています。こうしたこともあって、我々はすぐに競争力を発揮出来ると確信しています。常にスズキを参考にしていると言っているんです。スズキが成し遂げたことは尊敬に値します。彼らのように短期間で物事を成し遂げること、これをKTMもやりたいのです。」

 

Q

「スズキのように短期間で成し遂げることが短期のゴールとすると、長期のゴールは何でしょうか?MotoGPで優勝することですか?」

ステファン・ピエラ

「もちろんです!MotoGPの場にオリンピック精神で、参加することが栄誉だとか喜びだとか言って参戦しているのではありません。我々は表彰台が獲得したいんです。そしてどこかのタイミングで勝利をしたいと思っています。」

 

Q

「最後のステップを踏むためにチャンピオンシップライダーを獲得する際に、KTMはそのような財政的なリソースがあるのでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「Ducatiはロレンソを1200から1400万ユーロ(※約15億〜18億円)で買いましたけど、最高のバイクであるにも関わらず優勝はしていません。というのも、雨が降ると彼は全く駄目だからです。我々はMoto3だとかMoto2の有能なライダーを育てて乗せることを考えています。これは我々がMoto2にも参戦している理由です。振り返ってみれば、本当に優秀なライダー達は小排気量カテゴリー時代は、どこかのタイミングでKTMで走っていたんです。ストーナー、マルケス、ビニャーレスなど全員がそうです。そして今はブラッド・ビンダーがそうです。彼にはKTMを去って欲しくありません。来年彼はMoto2で走ります。そして彼がこの調子で育っていけば、彼は自然とMotoGPに辿りつくでしょう。これは我々にとって数百万ユーロの節約になります。そういう話がなければ、彼は自分の価値ほどの契約金を得ることがないでしょう。金額に関してはバイクの開発のために変動しています。それにライダーを早い段階で決めることが出来たのはラッキーでした。ブラッドリー・スミスとの契約はかなり早い段階で決めました。彼はスピードと経験があります。そしてポル・エスパルガロも同様です。彼はファクトリーヤマハチームに入るところで、それが実現しなかった。彼はがっかりしていて、自然とKTMに来ることになったんです。彼の加入もあって、KTMは若くてパワフルなライダーを2人獲得出来ました。彼らと共に、日本メーカー的なやりかたで、注意深くステップ・バイ・ステップで前進していきます。」

 

Q

「KTMはそのレースバイクのレプリカ販売することで定評があります。RC16の市販バイクというのは考えているのですか?」

ステファン・ピエラ

かなり近いレプリカを販売したいと思っています。出来る限り低価格にしたいとも思っています。こうした理由からいくつかの部品は異なるものとなるでしょうが、原則としてエンジンは同じエンジンを搭載するつもりです。これは我々がラリーでやっていることと同じです。」

 

Q

「そのバイクは市販バイクになるのか、サーキットユースオンリーとなるのでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「サーキットユースオンリーです。安全が最も大事です。270馬力、260馬力あるバイクをストリートで乗るということは現実的ではありません。」

 

Q

「KTMはあなたが長年統合をしてきた企業グループの1企業ですが、現在はグループとしてはどのような規模なのでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「現在は我々は5000人ほどの従業員を3つの会社で雇用しています。まず1つ目はKTMで、2つ目がハスクバーナこれは近年我々を助けてくれています。現在は年間のハスクバーナの生産が30,000台を切ることはありません。Panklhaの収益がざっと2億ユーロで従業員は1,400人ほどです。そしてWPでは600人ほどの従業員が働いていて、1億4000万ユーロほどの収益があがっています。グループ全体では13億から14億ユーロを、5000人ほどの従業員で動かしている計算となり、そのうち70%がオーストリアにいます。全ての研究開発はヨーロッパで行われており、メインはオーストリアです。」

 

Q

「将来に関してはいかがでしょう?モーターサイクルの未来をどう見ますか?バイクはどのような方向に向かっていくのでしょうか?」

ステファン・ピエラ

「モーターサイクルレーシングは実に魅力的になるでしょう。こうした注目は車のレース界に飽きた人々によるものだと思います。F1や他の車のレースに未だに興味がある人がどれだけいるでしょうか?私が話しているのは、結果に対するドライバーの影響がどんどん薄れている競技です。モーターサイクルレーシングは、ライダーが結果、オーバーテイクにおける主要な要因であリ続けています。そして観戦チケットの価格も手に入りやすい価格となっています。ファミリーイベントとしての立ち位置を維持しており、子供たちと共に出かけてライダー達に近づくことが出来ます。彼らは今まで通りのレースを続けているんです。こういった姿をモトクロスに見ることが出来ます。しっかりと組織されてイベントは30,000人ほどの観客を集めます。そう、これはモトクロスの話なんです!」

「一方で2輪車は交通手段としての役目を取り戻して行くでしょう。50年代や60年代に戻るという話をしているのではありません。しかし、現代の車を購入できるほど裕福な若者がいるでしょうか?それに都市部では車を所有する意味が無いこともあります。実用的なスクーター、モーターサイクル、その他の2輪車があります。次の15年でA1ライセンスだけで乗れる電動自転車、電動モトクロス、1〜4キロワットのパワーを持った車両が主要となるでしょう。これらの車両が若者を引きつけるようになります。ですから私が公用で出かけている時に質問を頂いた場合、常に私はこのセグメントに関する話をするでしょう。」

(Photo courtesy of KTM)

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