★MotoGP2017 Ducati”サラダボックス”の中身はマスダンパー?ジャイロスコープ?

MotoGPのテクニカル・ディレクターであるコラード・チェッキネッリが、Ducatiの通称”サラダボックス”(※シートカウル下のブラックボックス テスト中にピッロ選手が「休憩時に食べるサラダを入れているんだよ(笑)」と言ったことで、ジャーナリスト達がサラダボックスと言い始めた)には何が入っていると思うか?という質問に対して、色々な可能性について語っています。マスダンパー、ジャイロスコープ、はたまたエレクトロニクスの収納場所にすぎないのでしょうか。。(非常に難解なインタビューなので、ところどこと怪しい訳があると思いますがご容赦下さい。)

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1月にDucatiのMotoGPバイクがミステリアスな通称”サラダボックス”を搭載するようになってから、その中に何が入っているのか様々な説が囁かれてきた。最も可能性があるのはエレクトロニクスの格納場所、マスダンパー、もしくはある種のジャイロスコープというものだ。MotoGPのテクニカル・ディレクターであるコラード・チェッキネッリと、もう2つの可能性(※これはインタビュー後編になるようです。)について話をした。この話の中で、Ducatiがデータ分析を専門とする企業であるMegaRideに関心を持っているという話も飛び出した

 

Q

「Ducatiのブラックボックスに何が格納されているのかは未だに謎ですが、ある種のマスダンパーなどが入っているのではないかと考えます。一般的にマスダンパーを搭載する狙いとは何でしょうか?」

コラード・チェッキネッリ

マスダンパーとはある種の慣性を生み出すものです。サスペンションを例に取ると、一般論ではサスペンションを縮めようとする力の反対の力を生み出すためにスプリングがあります。そしてこの動きのスピードを制御するのがダンパーです。このダンパリングに関する技術はオリフィスの間を流れるオイルによるものです。この原理に沿っていくとマスダンパーは加速する力の反対側の力を生み出します。ですからサスペンションを縮めようとする力に対してのスプリングがあり、動きのスピードに対してダンパーがあり、加速で生ずる動きに対してマスダンパーがあると考えられます。別の言い方をすると、サスペンション以外に車体の動きをコントロールする仕組みが登場したと言えます。

「これには非効率な方法、効率的な方法の2つがあります。非効率な方法の場合、重量増になることです。内部マスダンパーというのは賢いやり方だと思います。重量増とならずに慣性を発生させる事が出来ますからね。私が話しているのはあくまでDucatiがどうかという話ではなく一般論です。一般的にはフライホイールを回すことで限られた質量で大きな慣性を生み出す事が出来るわけです。ですから、サスペンションは何かしらのギア、もしくは梃子のような機構を利用したものに接続されていて、最小限の重量で、高速の回転によって大きな慣性を生み出す事が出来ます。原理的に想像すると、スイングアームがフライホイールを押し込む動きをし、フライホイールを回し、エネルギーを吸収するんです。」(※ちょっとこの辺り翻訳怪しいです。)

 

Q

「パフォーマンス面では、マスダンパーは、通常のスプリングとダンパーによるサスペンションシステムに比べてどのようなメリットがあるのですか?」

コラード・チェッキネッリ

加速の際にサスペンションの動きをよりコントロール出来るようになるでしょう。そして回転によって発生する慣性をチューニングすれば、ダンピングの動きに対して、特に効果的でしょうね。もしサスペンションが10hzで共振するとした場合、通常のスプリングやダンパーに関係なく、これに対してマスダンパーが効果を発揮するようにチューニングを施す事が出来ます。ですから、こうした特定の問題に対してマスダンパーが機能するように出来れば、自分が気に入ったスプリングやショックアブソーバーを使用出来る自由が生まれます。これはつまり、それ以外の問題のコントロールが(マスダンパーで)既に出来ているからなんです。しかしこの代償は大きく、このせいで重量増となり複雑さが増します。そのため一般的には使用されないんです。これはF1では、可変式のエアロダイナミクスのルールを破ると考えられ禁止されています。」

「彼らはマスダンパーがサスペンションの機能を向上させるために使用されているとは考えず、車の車体が路面に対してより安定していることで、より効果的なエアロダイナミクスを生み出すと考えているのです。大きな動きが発生しており、その最たる目的がエアロダイナミクスを助けることであるため、これは可変エアロダイナミクスデバイスであると考えられており、禁止されているのです。私が知る限り、F1ではマスダンパーはノーズ部分に取り付けられていました。ノーズが上下する際にマスダンパーはこの動きを抑えて、車体を安定させるんです。

 

Q

「MotoGPでも同様の理由で禁止されるのでしょうか?」

コラード・チェッキネッリ

「MotoGPでは考えていません。可変エアロダイナミックデバイスの禁止で既にボーダーラインが引かれていると考えます。MotoGPのエアロダイナミクスにおいて、ボディワークの路面に対するポジションというのは重要ではありません。ですから、マスダンパーは可変エアロダイナミックデバイスとは考えられないと思います。」

 

Q

「ということはマスダンパーを使用したい場合は、使用しても問題はない?

コラード・チェッキネッリ

そうですね。MotoGPでマスダンパーを使用する際に問題となるのは、装置が発生する効果に比べて機構が複雑化するだろうということです。もしシートカウルにマスダンパーを格納しようとしたら、ここは重量物を積むのにはあまり理想的な場所とは言えませんから、単に最悪の場所に重りを積むことになると思いますよ。もしかすると、何かしらサスペンションの動きに対してのメリットがあるのかもしれません。しかし、私にとっては大きなトレードオフのように思えます。」

 

Q

「こうした機構の重量はどのくらいになると思いますか?」

コラード・チェッキネッリ

「まったく検討もつきません。しっかりと機能させることを考えると、数100グラムから1キロではないでしょうか。唯一私が想像出来る方法としては、シート下ではなく、ショックアブソーバーロッドにネジが切ってあり、ショックアブソーバーと同軸にあるフライホイールを回すというものです。私にはこれが唯一の合理的な方法に思えます。スイングアームピボットからも遠くありませんから、この部分の重量が増加することに関してそこまで気を揉む必要がありませんし、リンク機構もいりません。」

「もしシート下にこうしたマスダンパーを設置するとしたら、何らかの伝達機構としてリンクなりなんなりが必要になりますが、私にはこれは非常にクレイジーに思えますし、複雑過ぎて採用しようとは思わないでしょう。ただ、実際のところはわかりません。さらに何らか電子的にこうした慣性を発生させるフライホイールなどというものは、統一ソフトウェアに加えてシャーシをコントロールする戦略という事で禁止されるでしょう。ですから、私はDucatiはこうしたマスダンパーを採用はしていないと思いますよ。ただ、もしかしたら彼らのほうが賢くて、何らかの方法で既に実現する方法を知っているのかもしれませんけどね。私個人的には、バイクにマスダンパーをつけるとしたら、ショックアブソーバーの上しか場所はありません。

 

Q

油圧式のマスダンパーを作り出すというのは可能だと思いますか?」

コラード・チェッキネッリ

ええ。そうしたマスダンパーをサスペンションに油圧を使って組み合わせることは可能でしょう。サスペンションをポンプとして使用し、どこかに取り付けたフライホイールを油圧で回すわけです。ただ、ものすごく複雑なシステムになると思いますね。」

 

Q

「MotoGPでそうした技術が実現出来たとして、その主な効果としてはタイヤのパフォーマンスを引き上げることになるでしょうか?

コラード・チェッキネッリ

それがゴールでしょうね。最も興味深いのは路面へかかる力をいかにコントロールするかということなんです。タイヤが路面に押し付けられる力というのは、ショックアブソーバーが上下動することで常に変動しているんです。ですからタイヤを路面に押し付ける力というのは平均的な値が存在しますが、これは常に変化します。最もクリティカルなのは、このタイヤを路面に押し付ける力が低い時です。これはつまりタイヤがトラクションを失うということなんです。マスダンパーを使用することで、タイヤを路面に押し付ける力の下限値を引き上げる事が出来れば、タイヤは路面にさらに接地するということになります。もし突然、タイヤのトラクションが必要としている値を下回ると、転倒もしくはエレクトロニクスがパワーをカットします。ですから、この力の下限値を引き上げるという事は、当然興味深い話題なのです。

 

Q

「タイヤパフォーマンスに関してイタリア企業のMegaRide(タイヤダイナミクスのデータに特化している)が、Ducatiとパートーナーシップを結ぶかもしれないと言われています。チームは統一ソフトウェアを利用する際に、システムに自分達で決定した数値を入力出来ます。しかし、統一ソフトウェアがどのように機能するかの変更は出来ないということですよね。」

コラード・チェッキネッリ

「MegaRideが何をしているかというのは把握していません。しかし彼らは何らかのパラメーターを統計分析して、統一ソフトウェアを使用する上で適正な値を見つけるかもしれません。彼らはタイヤの劣化に関する何かしらを見つけることが出来るかもしれませんし、統一ソフトウェアは変化する状況に適応する戦略というものはありませんから、”レース中盤からはこのマップに切り替えると、タイヤにとって最適になる”というような何かを発見するかもしれません。統一ソフトウェアの機能の仕方に関しての変更は出来ませんが、よりより値を見つける為に、データベースを扱う事が出来るでしょう。ただ、今話があったように、統一ソフトウェアには任意の値を入力する必要があります。」

「簡単な説明としてはリーンアングルによってどの程度のホイールスピンを許容するかという値を入力する必要があるんです。リーンアングルによって目標とするホイールスピンを実現するために、皆が同じ戦略を取りますが、そのホイールスピン量はそれぞれ異なります。こうした部分でチームは違いを生み出す事が出来るんです。どのような戦略を取るかではなくてね。」

 

Q

「ECUにバイクにどのように動いて欲しいかを伝えることは出来るが、ECUがどう動くかは皆にとっても同じなんでしょうか。」

コラード・チェッキネッリ

「そうですね。例えば、40°のリーンアングルで10%のスピンと入力します。他のチームは12%と入力していたとしましょう。ECUがこの10%と12%のインプットに対してどう働くかというのは全く同じなんです。このインプットの値が異なるだけなんです。ですから元の質問に戻りますと、MegaRideが統計分析を行うことで、チームによりよいインプットの値は何かという情報を提供出来るかもしれません。

 

Q

「Ducatiの話に戻ると、パドックの数名の人間は、サラダボックス内にジャイロスコープのようなものがあるのは確実としています。だとすると何の為でしょうか。」

コラード・チェッキネッリ

「全くわかりません。ジャイロスコープ、つまりリーン/ピッチアングルのセンサーだとすると、より複雑で精度の高いIMU(慣性計測装置)かもしれません。IMUはルール上禁止されていませんし。それでなければ全く検討がつきません。」

※IMUはMotoGPの統一ソフトウェアに関するルールで禁止されていない。とは言えチェッキネッリは禁止するべきと考えている。

なお、パート2はMotoGPのルール上の抜け穴で使用可能な2つのF1テクノロジーに迫る。

(Photo courtesy of michelin)

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