ブレンボさんから今週末にアメリカはラグナセカで開催されるスーパーバイク第8戦のブレーキングに関する詳細説明をいただきましたのでご紹介させていただきます。有名なコークスクリューがあることから、多くの人が知るサーキットだと思いますが、ブレーキシステムにかかる負荷に関しては、さほど高くないとのこと。
カリフォルニアにおける、Ducatiとカワサキのブレーキングシステムについての詳細分析
ワールドスーパーバイクチャンピオンシップ第8戦が、7月7日から9日かけてアメリカのマツダレースウェイ・ラグナセカで開催されます。モントレー半島、サンフランシスコから150kmに位置するこのサーキットは、1957年11月9日にフェラーリの500TRが勝利してサーキットとしての産声を上げました。トラックはその誕生から6回姿を変えましたが、1996年を最後にその姿は変わっていません。このサーキットは連続する様々なスロープが特徴的なサーキットで、良く知られるコークスクリューはきつい左コーナーと共に、僅か137mの間に18mもの高低差が発生します。これはモーターサイクルに乗って5階建てのビルから飛び降りるのに相当します。
このトラックは極めて風が強く、ロングストレートが無いことから、ワールドスーパーバイク世界選手権の他の12のサーキットと異なり、スーパーバイク車両は270km/h以上のスピードに到達することが出来ません。結果的に、ブレーキングはこのトラックにおいて唯一4秒間のブレーキが必要とされる2コーナーを除いて穏やかなものとなります。17人のワールドスーパーバイクライダー達と密接に作業をしているブレンボの技術者によると、マツダレースウェイ・ラグナセカのブレーキへの要求度は中程度とのことです。1~5の格付けではレベル3とされており、これはこの先の2ラウンドであるユーロスピードウェイ・ラウジッツ、ポルティマオと同様です。
レース中のブレーキングシステムへの負荷
世界選手権が開催されるサーキットとしては短いサーキットであることから、(3,610m)ブレーキはラップごとに10回使用されます。これは5,077mのアラゴンと同様です。ラグナセカは世界選手権が開催されるトラックとしてはラップタイムも短く、ラップごとのブレーキングにおける秒数は29秒間となっています。ブレーキングシステムが使用されるのは、1ラップの中の35%となっており、これも同様にシーズン中で最も短いものです。奇妙なことに、このパーセンテージはアメリカにおけるMotoGP開催場所であるサーキット・オブ・ジ・アメリカズの38%と近い数字となっています。
マツダレースウェイ・ラグナセカの10箇所のブレーキングセクションの半分の制動区間は100m以下となっており、200mを超えるところは1箇所しかありません。平均減速度は世界選手権の中で最も低い1,01gとなっており、3箇所のブレーキング区間は0.8gしかないこともあり、減速度は僅かに1Gを超えるに留まっています。このサーキットでライダーがスタートからフィニッシュラインまでにかける力は1,000キロを超えます。これ60頭のコヨーテとおなじ重量となります。
最も難易度の高いブレーキングセクション
マツダレースウェイ・ラグナセカの10箇所のブレーキングエリアで、ブレーキへの要求度が高いポイントは1箇所のみ。6箇所が中程度、3箇所が軽度とされています。最もブレーキングに対して要求度が高いのはアンドレッティ・ヘアピン(ターン2)で、ここはサーキットにおいて最高速度が出ることに加えて、軽度の下り勾配となっています。スーパーバイクはここで256km/hに達し、ブレーキを5.1秒間使用して75km/hまで減速します。ライダー達はこれを僅か207mで行う必要があり、これはゴールデンゲートブリッジタワーの高さをやや下回る高さとなります。
MotoGP車両はカーボンブレーキのおかげもあって短い距離で制動が可能です。しかし、スーパーバイクはカーボン比率僅か2%のスティールディスクを使用しています。ライダー達はブレーキレバーに5.7kgの圧力を与え、1.3gの減速Gを体に受けます。この瞬間のブレンボのブレーキフルードが受ける圧力は12.2barとなります。ターン5のブレーキングセクションは非常に長く、167mの中で232km/hから105km/hへと減速することとなります。
ブレーキフルードが受ける圧力は9.3barとなり、10.5barの圧力となり、進入速度(228km/h)と脱出速度(126km/h)が高くなるターン7より僅かに低い数値となります。コークスクリューに関しては特別に触れておく必要があるでしょう。ケーシー・ストーナーがバレンティーノ・ロッシからオーバーテイクを受け、バレンティーノ・ロッシがマルク・マルケスからオーバーテイクを受けたことで有名な箇所となります。スーパーバイクは、このコーナーに123km/hで進入し、61mの中で76km/hまで2.3秒間で減速します。この際にブレーキレバーが受ける圧力は3kgとなります。
ブレンボの実績
2003年にマツダレースウェイ・ラグナセカにスーパーバイクが戻ってきて以来、ブレンボを装備したバイクが負けたことはありません。カワサキが4勝、アプリリアとDucatiがそれぞれ2勝しています。最も優勝数が多いのはトム・サイクスで、その勝利数は3勝となっています。Ducatiは合計で12回優勝していますが、2年連続で優勝を遂げたライダーは、2001年のベン・ボストロム、2015年のチャズ・デイビーズの僅か2人しかいません。
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