サイトアイコン 気になるバイクニュース

★Moto2 2018【NTS独占インタビュー】 初の公式テスト後の感触をNTS生田目社長が語る

今期から世界グランプリMoto2を戦う株式会社エヌ・ティー・エス(福島県・以下、NTS)の生田目(なまため)將弘社長が、WGP初テスト後の感触と本音を語ってくれました。日本人として応援せずにはいられません。

 

Q

■世界グランプリ、レギュラーチームとしては初舞台となる先日のIRTA公式テストの率直な印象をお聞かせください。

NTS 生田目 將弘

プロジェクトを立ち上げてから今年で5年目。2016年、2017年と戦ったFIM CEVレプソル、ヨーロッパ選手権を含めMoto2クラスへの本格参入という意味では3年目。あっという間にここまで来てしまったというのが本音でしょうか。その上で、陰ながら支えてくれている協力者や社員に感謝の気持ちで一杯です。私たちNTSはお取引先様から試作用や実験用の精密金属製品の加工を受注しお納めしているサプライヤーなので、根本の考え方がレーシングチームでも無ければオートバイ用の自社製品の製造販売をしているメーカーでも無いので、何が目的なのと聞かれることは少なくありません。ただ目的として明確に切り分けるには余りにも多くの目的と要素がありますので一言で説明することにはいつも難しさを感じています(笑)。」

「ただ、目的というか、わかりやすい説明の一例として、“自分たちがプロであると自称している金属加工技術を使って社員達も何か社外に向けて発信してみたい!”というモチベーションの達成は徐々に社内の熱気という形で具体化してきていると思っていますし、また2011年に発生した東日本大震災を経て、福島県に拠点を置く企業として、世界に向けて福島の元気を発信したい、というのも一つです。他にも様々な理由というか、目的があります。これまでもワイルドカードという参戦枠でNTSは世界グランプリに何度か挑戦させて頂きましたが、選手を世界に送り出すという実績が作れたわけでもなく、世界の高い壁に当たりながらも我武者羅に頑張っただけで何となく自己満足的な経験だったような気がします。私たちがレーシングチームやメーカーであればワイルドカードの経験ももっと有効に活用できたのかもしれませんが、その意味では力不足、経験不足でしたね。世界グランプリに、レギュラーチームとして参戦することに今年は拘って、そして目指したのは、そうした経験からモチベーションが生まれていると言ってよいと思います。」

「初のIRTAテスト。はい、無事…、無事にと言えば無事に終わりました(笑)。今シーズン用に思い切って新投入したリア廻りにいくつか問題が出て、まさに今、開幕戦に向けて対策中です。具体的には応力集中による不具合なのですが、NTSのマシンはご存知の通りフレームもスイングアームも大物はアルミの削り出しなので、精密であるが故に、1個に問題があるとスペアを含む全部に問題があるということなんです(笑)。ただ、これは、“もしかしたら、そこに課題が出るな”と解析結果からもある程度想定していた箇所なので、やっぱりそうですかという感じで既に対策案も確定し動いています。そうした中で、アメリカ人のジョー・ロバーツ選手も南アフリカ人のスティーブン・オデンダール選手も、初テストの成果という意味ではとても有意義なもので、手応えも感じています。ライダーの経験値、そしてNTSマシンのセットアップの方向性と情報量という意味では過去8年以上に渡り世界グランプリを戦ってきた他の車体メーカーやチームとは開きがあることは悔しいながらも認めなければいけませんが、それでも自分たちの設計思想やモノづくりがそうしたハンディを乗り越えてでも一定の成績が納められると期待しています。現実的に今年はランキング15位以内が目標で、ポイントを1点でも多く獲得できるように集中したいと思っています。」

「オートバイですので、ライダーのポテンシャルをどのように引き出せる車体づくりが必要なのかがデジタルにばかり考えられない要素だと思うのですが、今回の初のIRTAテスト後のライダー2名のコメントはいずれもポジティブなもので、3日間で多くのセットアップを試すことが出来ました。レース本戦では試すことが出来ない思い切ったマシンセッティングを試す絶好の機会なので、その意味ではテストの順位やタイムはあまり気にしても仕方ないと自分に言い聞かせていましたし、実際にそうなのですが、それでも最終的に3日間のテスト結果としてトップ10位にジョー・ロバーツ選手の名前が世界グランプリの結果表に表示された紙を手にした時は、少年のように胸が躍りました。オデンダール選手も16位で大健闘。」

「これは私の個人的な意見ですので参考になるかどうかわかりませんが、まずは上位15位の壁があるように思います。またタイム差で言えばまずはトップから1.5秒以内という壁、その次にトップから1秒以内の遅れという壁、そしてそこからは5キロ程度のサーキットを一周走行して0.5秒以内の差にいるトップライダー達の間で繰り広げられる神がかったレベルでの戦いが待っていると思っていますし、ライダー本人たちはその難しさを誰よりも分かっています。真剣勝負とはよく言ったもので、まさにそういう聖域での戦いです。そこに到達してみたいと思うのは業界全員の共通の夢であり目標なんだろうと思います。その意味では、昨年までNTSでCEVを走ってくれた尾野弘樹選手は軽量級のMoto3で間違いなくその域に入ったことがある人間なんですよね。今年は全日本JGP-2のミクニレーシングさんから参戦しますので注目ですね。」

 

Q

「3月に迫った世界グランプリ開幕戦、カタールGPに向けては?」

NTS 生田目 將弘

「これまでと同様に走行データや分析、解析をもとに動く前にしっかりと考えて一個一個対策を練りながら頂点を目指していくということに尽きます。開幕戦ですが、レース結果としてトップ20位は絶対に割りたくない。出来れば15位のポイント獲得圏内に踏み込みたい、という感じです。ただし世界グランプリの常連、強豪が勢揃いのハイレベルな戦いなので、それすら簡単でないことは分かっています。とにかく自分たちなりに出来ることを、言い訳せずに必死に頑張ること。その一点です。必死に頑張ったら、その後に結果として自分たちが成長出来たと、ふと感じることが出来る日が来たら、それが身の丈に合ってますし最高だと思うんですよね。改めて、まずはポイント獲得を目指したいです。」

「昨日(2018年2月12日)から、二回目の公式テストが3日間、スペインのへレスサーキットで実施されています。このへレステストからは一回目のテストを見送ったトップチームを含む全チーム、全ライダーが参加していますので、より現実的な立ち位置が見えてくると思っていますし、一回目のテストで得られたデータを確認しながら、NTSマシンのポテンシャルを開幕戦に向けて引き出して欲しいと思っています。」

<NTS>

This website uses cookies.

This website uses cookies.

モバイルバージョンを終了