ドイツGPで見せた冷静と情熱の走り
ドイツGPで見せたマルク・マルケスの走りは、冷静さと情熱のせめぎ合いだった。序盤、タイヤの温度に苦しみターン1でミスを犯すも、レースを諦めずに続行。冷えたタイヤでの滑りやポジション喪失を乗り越え、タイヤが温まり始めるとともにバイクの挙動を把握し猛追を開始した。2位でも十分という意識の中、マルコ・ベッツェッキを抜くリスクを取り優勝を掴んだ背景には、テレビ越しに観戦していたジジの誕生日への思いもあったようだ。昨年の弱点だった土曜日を、得意な一日に変えたマルケスの進化が光ったレースだった。
序盤のミスと苦戦を語るマルケスのコメント
「ターン1のミスでレースが複雑になりました。特に最初の3周ほどはタイヤの温度に気を使う必要があって苦戦しました。このタイヤ温度もあってターン1でミスがあったんですよね。タイヤがロック、バイクが動き回ったことで無理にターンしなかったんです。ポジションを複数失いましたがレースは続行ができました。これこそが最も重要でしたね。最初は苦戦したので、このレースは4位から6位だなと思っていました。」
タイヤの温まりとともに始まる追い上げ
「しかしタイヤが温まった後になってからバイクの荷重移動もわかりやすくなっていきました。そこからアタックを開始しました。2位の段階でも十分良かったんですが、直感的に今日は勝負すべきだと思ったんです。ファビオを抜いた後にターン2で滑りましたが、危うかったですね。あれで転倒を覚悟しましたがそうはなりませんでした。今日はチャンピオンシップを考えるべきレースだったので2位でも良かったんです。」
ジジの誕生日とマシンの進化
「ただ、コントロールをしようと思いつつも直感には従ってレースを行いますからね。今回現地には来ていないジジはTVで見ながら楽しんだでしょう。今日は彼の誕生日ですから、この勝利は彼に捧げます。昨年は土曜日が弱点でしたが、今年は自分の得意な曜日になりました。今年のバイクはスプリントで強いというのもあります。昨年の23年型はスプリントでプッシュをするとフロントが暴れる特性がありました。GP25は素晴らしいですね。」