大怪我からの復帰を果たすホルヘ・マルティンが、2026年もアプリリアと共にMotoGPを戦う決断を下した。肋骨12本の骨折、病院での長期療養、そしてチームとの激しい交渉を経て、自らの将来と真正面から向き合った末の選択だった。マシンのパフォーマンス向上と、マルコ・ベッツェッキの活躍に背中を押され、迷いのあった去就問題に終止符を打った今、マルティンは新たな覚悟でグリッドに戻ってくる。
ホルヘ・マルティン
「ここに戻ってこれて本当に嬉しいです。怪我から回復するまで数ヶ月、半年程度かかってきました。ようやくMotoGPバイクに乗ることが出来ます。また、2026年もアプリリアで参戦することが決定しました。怪我によって自分自身の将来だけでなく自分に対しても疑問を持つようになりました。」
「いろいろなことが重なってしアプリリアで数レース走るか、2026年の契約を行わない権利を行使するか悩んでいました。アプリリアは2026年の契約更新しない権利の行使は出来ないという立場でした。その時点では自分は新しいプロジェクトに移ろうと考えていたので、アプリリアとの衝突がありました。しかし将来のことを考えた時に、アプリリアと衝突を続けるよりは早めに自分の将来を確定させたいと考えたんです。マルコ・ベッツェッキは素晴らしいレースをしていますし、アプリリアにポテンシャルは十分にあると感じたんです。」
「今回はしっかりと準備が出来ていると思います。フィジカル面、メンタル面に関してはしっかり準備をしてきました。テストは非常に良かったですね。カタールで出来なかったポジションの調整を行っていました。カタールで試した時と比較するとバイクのポテンシャルは高いと感じました。マルコとアプリリアが行ってきた作業に関しては感謝しています。」
「ここ数ヶ月自分が行ってきたこと、考えてきたことは将来のためですから後悔していません。肋骨が12箇所折れた状態で、病院に寝たきりでいる気持ちは想像も出来ないでしょう。全ては自分の将来に良かれと思って行ってきたことですが、今はアプリリアと2026年も共に歩むことを決めました。」
「ホンダへの移籍も可能性としてはありましたが、他にもオプションはありました。アプリリアとの関係に関してはバトルもありましたが、共に目標に向かっていく間柄であれば衝突もあるものです。アプリリアと何もなかったとは言えません。大きな争いがあったことは事実です。しかし、これからはアプリリアと共に進んでいく時です。共に勝利に向かって進んでいきます。」
「アプリリアと契約を行った時、途中解約のオプションを含めていたわけですが、病院にいる間はバイクに乗れませんでしたから、自分自身でバイクの戦闘力を確かめたかったんです。ですからそのチャンスを求めていたんです。そのテストの結果どうするかという判断を今回したわけです。」
「正直プレスカンファレンスの場は不快なのでパドックにいたいので表情は固いですが、将来に向けて楽しみに感じています。もちろんこの先のレースは楽しみです。」
「アプリリアで2026年も走る決断をしたのは、レースに戻る前にこの件を片付けておきたかったことがあります。いろんなことを考えながら走ることは出来ませんから。それに自分のアプリリアの感触はモンメロ、マレーシア、カタールでした。その中では転倒に怪我と最悪な思い出しかありません。しかし直近のプライベートテストの内容や、バイクの性能を確認して考えが少し変わったというのはあります。」
「アプリリアとの関係がチームに影響を及ぼす可能性はありますが、チームとは常にコミュニケーション出来ます。自分の行っていることがおかしければチームは指摘出来ますし、その逆もそうです。自分からチームに謝罪をしようということは考えていません。自分は将来のキャリアのために必要なことをしただけという認識です。ただ、すでにチームとはコミュニケーションを取ってますし、マッシモ・リヴォラとも話をしています。」
「人生の中では想像もしない瞬間がありますが、自分の命が危うい瞬間にはあまり遭遇することはありません。カタールでの転倒は本当に酷かったんです。どこまで酷かったか、自分がそのことについてどう考えていたかについては父と彼女のみしか知りえません。」