MotoGPのスポーティングディレクターを務めるカルロス・エスペレータが、リバティ・メディアによる買収後のチャンピオンシップの変化、2027年新技術規則、アデレードでの市街地レース計画など、MotoGPの現在と将来像について幅広く語った。

カルロス・エスペレータ
「グローバルな展開について話すと、すぐにレース数のことを思い浮かべる方が多いですが、ビジネスはそれよりずっと広いものです。今年はヨーロッパで14戦、ヨーロッパ外で8戦を開催しています。来年は9戦と13戦になり、近いうちに50対50のバランスに落ち着くと思います。」
「南欧・中欧に偏っているのは事実ですが、それらのグランプリの多くは非常に成功しています。ですから、長年にわたって多くのファンを集めてきた歴史的なイベントや主要レースには引き続き忠実であり続けると、ファンの皆さんに安心していただきたいのです。」
「50対50のバランスには2〜3年以内に達すると見ています。ただ、大切なのはレース数だけではなく、世界各地でどのようにファン層を築いていくかです。イギリス、アメリカ、東南アジアでの観客拡大に注力しています。一度レースを開催してその市場から姿を消してしまうと、継続的なファンを育てることは非常に難しい。年間を通じてプレゼンスを維持することが重要です。」
「5〜6年前と比べて最大の変化は、組織内部の意識の変わり方です。パンデミック直前から現在にかけて、組織として大きな進化を遂げました。今年は特に採用と経営幹部の強化に力を入れ、よりインターナショナルな体制にしています。異なるバックグラウンド、文化、国籍を持つ人材をMotoGPに迎え入れたい——グローバルなコンテンツとしてのMotoGPにふさわしい形で、というメッセージを明確に打ち出しています。」
「新しいオーナーであるリバティ・メディアのもとでは、プレミアムなコンテンツをどう構築するか、3年・5年先を見据えてMotoGPをどう発展させるかという視点で物事を考えるようになりました。これは以前のオーナーシップとは大きく異なるアプローチです。今は長期的な視点で物事を見ています。基盤を作ることを急いでいますが、すべての決断において『これはMotoGPに長期的に何をもたらすか?』という問いを立てています。」
「これまでは純粋な競技面——安全性の向上、レースの面白さ、テレビ制作、チームや技術規則——に重点を置いてきました。世界最高のモータースポーツであり続けるために、それは今後も最優先事項です。ただ、商業・マーケティング・プロモーション面の取り組み、そしてMotoGPをグローバルに発展させるビジョンとの連携が、日々の業務の中でますます重要になってきています。」
「2027年について聞かれるたびに、まず現在のシーズンについて触れるようにしています。クアランプールで『今年は多くの人にとって長い一年になり、9月までにすべてが決まってしまうのでは』と質問がありましたが、『2月に予想したことは、MotoGPでは決してそのとおりにはならない』とお答えしました。8ヶ月が経った今、間違いなく非常に白熱したシーズンになっています。予想外の主役が、チームも、メーカーも、ライダーも含めて登場しており、大変喜ばしいことです。」
「2027年については、技術規則の変更に加え、タイヤサプライヤーの変更というメーカーの設計やライダーの乗り方を揺るがす要素もあります。白紙から作り直さなければならない部分も出てくるでしょう。すべてがひっくり返るとは思いませんが、現在トップにいるライダーやチームはおそらくそのままトップにいるでしょう。それでも、多くの人の記憶に残る新時代になると思います。」
「ライドハイトデバイスやローンチシステムがなくなったバイクが一堂に揃う姿は、ライダーの操り方にとっても、ファンの楽しみ方にとっても、大きな変化をもたらします。商業面では多くの人材を採用し、組織を再編しています。それらすべてが合わさって、新たな節目となります。ただ、商業・プロモーション面では時間がかかります。新しく加わった人たちはこのスポーツを学ばなければなりません。MotoGPに携わる人間は誰もが、このスポーツが何であるか、ファンにとって何を意味するかを理解し、その本質を大切にしながら前進することが不可欠です。MotoGPの個性を変えたいわけではなく、グローバルなプレゼンスを高めたいのです。」
「チームやメーカーとの新しい商業合意については、正直なところ、極めて困難だったとは言えません。リバティ・メディアによる買収を受けて、実際に投資を行っているメーカーと、競技の根幹を担うチームが、MotoGPのビジョンや戦略、リバティ・メディアとMotoGPグループが描く発展の姿、投資の方針、技術的なガバナンスの考え方を理解したいと思うのは当然のことです。」
「世界最高のメーカー5社がパドックにいるのは幸運なことです。バイクを知っている人なら誰もが知る5つの名前です。それぞれが異なる個性を持っていることは、自分たちにとっても皆さんにとっても素晴らしいことです。ただ、規模、組織、目標、技術、予算はそれぞれ異なります。それらをまとめ、前進するための共通のビジョンに沿わせることが重要でした。全員の間に共通の利益、ビジョン、野心があります。それがこのスポーツの持つ可能性です。」
「リバティ・メディアと、意思決定の場に加わった人たちは、成功に対して設定する野心の水準を引き上げました。通常のKPI(重要業績評価指標)に加え、ブランドとしての自己認識、プレゼンス、外部からの評価といった非財務的・間接的な指標が、リバティにとっても自分たちにとっても非常に重要になっています。以前のMotoGPにはなかった期待値と洗練さが、確実に生まれています。」
「商業的な指標がスポーツ的な指標と同等に重要になるのは、新しい開催地の選定においてだけだと思います。レースや開催地だけが、メディアパートナーとの契約などとは異なり、スポーツ的な意味合いを持つ合意だからです。純粋な財務面は以前より少し比重が下がり、長期的にMotoGPに何をもたらすか、どれだけのファンを獲得できるか、ブランドのグローバルなプレゼンスと評価への影響が、より重視されるようになっています。」
「スポーツ面では白黒はっきりしています。安全基準とあらゆる目標を満たしているか?それは選択の余地のない絶対条件です。安全性においても、レースの見応えにおいても、技術規則に関するあらゆる決定においても、非常に高い水準を維持するために素晴らしい仕事をしてきました。すべての決断は常に競技の向上を目指したものです。」
「アデレードは、おそらく過去10年で最も野心的なプロジェクトだと自分も思います。MotoGPの新時代の幕開けを告げるものになるでしょう。ただ、アデレードのようなプロジェクトを年に10回やるつもりはありません。これが可能だということを世界中の人々に示す、目を開かせるような存在になると思います。」
「南オーストラリア州モータースポーツ委員会、州政府、アデレード市と緊密に連携してここまで来ました。サーキットのレイアウトについても、既存の制約の中で最良のコースを設計するという観点から多大な労力を注いできました。安全性は絶対条件であり、それを確保した上で、影響を最小限に抑えつつレースの質を高める方法を検討しました。FIMとともに過去10年間で積み上げてきた成果を誇りに思います。今持っているツールは、15〜20年前とは全く異なります。レースは来年のカレンダーに組み込まれており、レイアウトは近日中に発表される予定で、イベントは年後半に開催されます。」

中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近DucatiモンスターS4Rに乗り換えました。