ムジェロで行われたTissotスプリントレースは、今年のMotoGPでも屈指の激戦となった。ポールポジションからスタートしたマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が、序盤のミスを挽回して見事な勝利を収め、自身の通算100回目のポール獲得を勝利で飾った。

2位には弟のアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)、3位にはフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が入った。

マルク・マルケスがまさかの出遅れ

スタート直前、ポールポジションのマルクはシグナルスタートに出遅れ、サン・ドナートへの加速で数ポジションを失った。ホールショットはバニャイアが獲得し、アレックスが2番手に浮上。

後方では、ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー)がファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ペルタミナ・エンデューロVR46)と接触して転倒。巻き込まれる形でヨハン・ザルコ(CASTROLホンダLCR)もクラッシュしたが、レースディレクションは審議の結果、処分なしとした。さらにペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー)は、1周目の最終コーナー(ターン15)で単独転倒しリタイアとなった。

兄弟と王者が繰り広げた壮絶バトル

2周目、マルクはすでに3位に浮上し、アレックスとフランチェスコ・バニャイアと並んで1コーナーへ突入。マルク・マルケス一時的にトップに立ったものの、アレックスを巻き込んでラインを外し、インから抜けたバニャイアが再び先頭へ。ターン2ではアレックスとバニャイアが肘をぶつけ合いながら競り合い、グレシーニのドゥカティが制した。しかしターン4ではマルクが再び前へ出る展開。

マルクがアレックスを攻略し首位へ

4周目、マルクが兄弟対決を制してトップへ浮上。この時点で2人はバニャイアに1秒差をつけていたが、差は簡単には広がらず、残り4周の段階では再び三つ巴の展開に。4位争いではマーベリック・ビニャーレス(レッドブルKTMテック3)が驚異的なペースでバニャイアに迫ったが、ギャップは0.3秒まで詰まったまま変動はなかった。

後方では、フェルミン・アルデゲル(BK8グレシーニ)がファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハ)をかわして最後のポイントを獲得した。

スプリントレース結果

順位ゼッケンライダー名メーカータイム
1位12マルク・マルケスDUCATI19’31.416
2位9アレックス・マルケスDUCATI19’32.857
3位7フランチェスコ・バニャイアDUCATI19’33.977
4位6マーべリック・ビニャーレスKTM19’34.515
5位5ファビオ・ディ・ジャンアントニオDUCATI19’35.555
6位4マルコ・ベッツェッキAPRILIA19’37.807
7位3フランコ・モルビデッリDUCATI19’39.047
8位2ラウル・フェルナンデスAPRILIA19’40.342
9位1フェルミン・アルデゲルDUCATI19’41.777
10位20ファビオ・クアルタラロYAMAHA19’42.512
11位23エネア・バスティアニーニKTM19’43.286
12位79小椋 藍APRILIA19’44.346
13位88ミゲル・オリヴェイラYAMAHA19’45.332
14位36ジョアン・ミルHONDA19’46.876
15位30中上 貴晶HONDA19’48.454
16位43ジャック・ミラーYAMAHA19’51.447
17位32ロレンソ・サヴァドーリAPRILIA19’52.145
18位42アレックス・リンスYAMAHA19’56.077
19位35ソムキャット・チャントラHONDA20’02.955

マルクが通算100回目のポールを勝利で締める

マルク・マルケスがムジェロでのスプリントを制し、イタリアでのファクトリーチーム初勝利を飾った。2位にはアレックス・マルケスが入り、兄弟で1-2フィニッシュ。これにより、バニャイアのムジェロ連勝記録はここでストップ。ビニャーレスは4位に終わったが、日曜の決勝に向けては好材料となる内容。ディ・ジャンアントニオが5位で続いた。

マルコ・ベツェッキ(アプリリア・レーシング)はアコスタとの接触によりウイングにダメージを負いながらも6位でフィニッシュ。フランコ・モルビデリは7位、ラウル・フェルナンデス(トラックハウス)はスプリント初ポイントを獲得する8位に入り、9位のアルデゲルが最後のポイントを獲得。クアルタラロはポイント圏外に沈んだ。