
マンダリカで開催されたインドネシアMotoGPグランプリの決勝レースで、ホルヘ・マルティンがジャンプスタートを犯したのではないかとする動画がSNSで拡散し、物議を醸した。しかし、MotoGPのスポーティング・レギュレーションを確認すると、マルティンへの罰則は規定上あり得ないことが分かる。
問題の動画は、マルティンの親友であるアレイシ・エスパルガロの妻、ラウラ・モンテロがインスタグラムに投稿したものだ。アレイシはケガで欠場したジョアン・ミルの代役としてホンダでマンダリカに戻ってきたが、数か月前に負った重傷の影響で日曜の決勝には出場できなかった。それでもスタート時を含めてマルティンのそばに寄り添い、その様子をラウラが撮影した。動画を見ると、マルティンは通常のMotoGPのスタートとは異なり、完全に静止しているわけではなく、最後の瞬間まで車体を動かしていることが確認できる。ただし、動画にはスタートシグナルのライトが映っておらず、消灯のタイミングが判断できないため、違反かどうかを断定することはできない。
MotoGPのスポーティング・レギュレーションには、この件に関連する2つの条文がある。まず第1.18.13条は、グリッド上のスターティングボックスでライダーとマシンが占めるべき位置について定めている。「ウォームアップラップ後にグリッドに戻ったライダーは、グリッドポジションを示すサイドラインの間で、フロントホイールをフロントラインの手前かつライン上に収めて停車し、エンジンをかけたまま待機しなければならない。フロントタイヤは、ペイントされたラインの外側の路面に接触してはならない」と規定されている。つまり、スターティングボックスの白線を明確に越えることは禁止されているが、ラインに触れること自体は許容されており、ポジションのオーバーシュートとはみなされない。
スタート前の動きについては第1.18.14条が適用される。「レッドライトが消灯した時点でマシンは静止していなければならない。スタートの先取りとは、レッドライト消灯時にマシンが前進することと定義される」とある。さらに「レッドライト点灯中に軽微な動きがあり、その後停止した場合、アドバンテージを得たかどうかの判断は、指定された審判員のみが行うものとする」とも規定されている。マルティンはレッドライト消灯の直前まで車体を動かしながら、消灯の瞬間に停止させていた可能性がある。仮に停止できていなかった場合は、スチュワードによる解釈の問題となるが、その際の焦点は「アドバンテージを得たかどうか」だ。
この点については、マルティンが5番グリッドからスタートして第1コーナーではフェルミン・アルデゲルに抜かれて6位に後退しており、スタートでポジションを上げていないことで、アドバンテージを得たとは解釈できないということになるだろう。

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