もてぎでタイトルを獲得したマルク・マルケス。今年はライバルを寄せ付けないコンスタントさが特徴のシーズンでしたが、このコンスタントさはドヴィツィオーゾから学んだものだと語ります。これで7度目のタイトル獲得となり、本人はタイトル数は意識していないと言いますが、現役のうちにバレンティーノ・ロッシのタイトル獲得数9を超えることはほぼ確実でしょう。

マルク・マルケス

「アラゴンの後にタイトルを獲得できそうな気になってしまったんですが、そういったメンタルは良くないと思い、最初のタイトル獲得の可能性がある日本でチャンピオンになろうと、自分に対してさらなるモチベーションを持てるように仕向けたんです。もてぎで優勝を目指していたんですが、週末は良い形ではスタートせず、FP4でようやく優勝できそうな感覚が持てました。予選はあまり良くなかったんですが、ウォームアップで再び良いフィーリングを実感しミーティングを行いました。エミリオ、アルベルト、サンティといつものようにミーティングを行い、現実的に可能な順位を考えていきました。そして結論として今週末に優勝出来る可能性があると考えました。そしてスタートから集中して1周目に本当に集中することにしました。1周目が何よりも重要ですから。」

「そして出来る限り速いペースで他のライダーを抜いて、今週末最大のライバルであるドヴィツィオーゾの後ろにつくことにしました。そしてしっかりとレースをコントロールしてドヴィツィオーゾの後ろで走ろうと努めました。カルが言うようにドヴィツィオーゾは時にプッシュし、時にペースを落とすという妙な走り方をしますが、終盤には自分のほうが良いペースがありました。そして自分も残り4周にとにかく全力を尽くしたんです。」

「ドヴィツィオーゾの走り方に関しては、なぜそういう走り方をするのかはわかりません。燃料消費を気にしているのかタイヤなのか、それか戦略なのかもしれません。それぞれに戦略はあると思うんですが、今回に関してはタイヤ消費は問題ではありませんでした。ですから今回に関しては燃費、もしくは戦略だったのかもしれません。来年に向けて理解していきたいですね。」

今年の表彰台連続という結果は、昨シーズンにドヴィツィオーゾから学んだこと、そしてプレシーズンに準備を進めたものです。彼は状況のコントロールが非常に上手いんです。今年はHRC、そしてスタッフの皆も本当に頑張ってくれました。自分がさらに尽くすと、バイクもそれに答えてくれるということがあり、今シーズンはこうしたことの連続でレベルアップしていったんです。」

「今シーズンはムジェロは苦戦しました。唯一のミスはこのムジェロだけでしたが、それ以外はコンスタントに走行することが出来ました。このコンスタントさがタイトル獲得の鍵でした。今シーズン中盤以降にポイント上のリードが出来てからは余裕をも持ったレースが出来ましたけど、これは自分のやり方ではありません。自分はレースを楽しみたいんですが、残りのレースに関しては優勝争いすることを楽しみたいですね。」

「開幕戦の後にDucatiこそがチーム、そしてバイクとしてもタイトル争いをする存在だと感じましたけど、大事なポイントとなったのはヘレスとルマンですね。ここで2連続で優勝し、ドヴィツィオーゾ、ロレンソは転倒があったりでノーポイントがありました。そこで自分はアドバンテージを広げることが出来たんです。こうしてアドバンテージがあると何もかもが楽になるんです。」

「毎年、毎シーズンプレッシャーがあり、タイトル獲得に向けたモチベーションがあります。こういう形で引退までレースをしたいと思います。この後は今夜も、オーストラリアでも、マレーシア、セルベラでも、バレンシアでもお祝いをしたいと思います。そして2019年は再び全力で迎えたいですね。実はウォームアップの後にホンダの社長が来て、ここでタイトルを決めてくれと言われて「はい。」と答えたんですが、自分の場合はこうしてプレッシャーがかかると良い走りが出来て集中出来るんですよ。」

「昨年のタイトル獲得はアドバンテージがなかったですし、プレッシャーも大きくてストレスがかかっていました。それにバレンシア、最終戦でタイトルを獲得した時のアドレナリンは凄かったですし、いつも言っているように最終戦はまったく別物なんです。昨年のDucatiは後半戦に素晴らしい成績を残しましたが、今年は開幕戦から強かったですね。」

良いバイクがあるとライダー自身のスキルもアップします。今年はより自分も成熟したように感じ、バイク自体も良いと感じていました。昨年はバイクに対してあまり良いフィーリングがなくて何度も転倒しました。今年は違う形でバイクを操ることが出来、コンスタントを発揮して、毎週末に異なるトラックで戦闘力を発揮することが出来ました。良いバイクがなくても、良いチームがなくても勝てません。バイクがライダーを助ける、ライダーがバイクの弱点をカバーするという言い方をしますが、チームがバイクとライダーを助けてくれることもあるんです。こういったバランスを見つけることは本当に難しいんです。」

「昨年も転倒の仕方、転倒しないようにライディングを改善したいと話していますけど、今週末の転倒に関してもバイクが寝た状態からスロットルに触れた瞬間にフロントから転倒しているんです。こうした転倒に関して改善していく必要があります。ライディングの仕方は変えませんが、フロントタイヤからのフィードバックをより感じられるようにしたいと思っています。

「自分はタイトルの数に関しては気にしていないんですが、この先のホンダとの契約期間の中では、当然タイトル獲得を狙っていきますし、プレシーズンテストもタイトル獲得を目指して作業をしていきます。全てのトップライダーはタイトル獲得のためにレースをしているんです。2位でも良いシーズンだったと言えますが、目標が達成されたとは言えません。現役を続ける限りは、タイトル獲得数を伸ばし続けたいですね。

(Source: HRC)

(Photo courtesy of michelin)