スペイン・ヘレスの事前テストでNTS勢が4カ月振りの走行Moto2世界選手権が今週末からいよいよ再開!!

2020年シーズンのMoto2世界選手権が、いよいよ今週末から再開します。3月上旬の開幕戦カタールGPが開催された後、世界中で猛威をふるうCovid-19(新型コロナウイルス感染症)の影響により、世界中の経済活動やスポーツなど、人やモノのあらゆる交流と活動はぴたりと動きを止めることになってしまいました。

二輪ロードレースの世界最高峰、MotoGPの各クラスもその例外ではなく、3月中旬以降のスケジュールはすべてキャンセルもしくは延期になりました。しかし、レース再開に向けて主催者らは各国政府や関係当局らと共に不断の努力で調整を続け、やがて時間の経過とともに欧州での蔓延状況も沈静化の傾向を見せ始めた6月に、改訂版カレンダーの一部が発表されました。

この改訂版2020年スケジュールで、開幕戦から約4ヶ月の休止期間を経て第2戦のスペインGPが7月19日、第3戦のアンダルシアGPが翌週の7月26日に、ともにヘレスサーキットで2週連続開催として行われることが決定しました。

今回のシーズン再開に先だち、7月15日(水)にはMotoGP、Moto2、Moto3の全クラスがヘレスで公式事前テストを実施。Moto2クラスを戦うNTS陣営のNTS RW Racing GPもこのテストに参加して、ボ・ベンスナイダーとジェスコ・ラフィンの両選手は精力的に走り込みを行いました。7月中旬のヘレスは温度条件が高く、開幕前にプレシーズンテストを実施した2月や、あるいは通常のレース開催時期である5月上旬とは比べものにならないほどの暑い一日でした。

「気温は40°C近くで、路面温度も55°Cまで上昇しました。いままでに経験したことがないような暑さで、今日はそのような外的条件とも戦う日になりました」NTS RW Racing GPのチームマネージャー、ヤルノ・ヤンセンはこのように水曜の走行を振り返りました。

「ラフィンは、路面温度が高くなりきる前の午前に1分44秒230の自己ベストタイムを記録。一方、ベンスナイダーは午後の暑さの中でもタイムを更新し、1分44秒095に到達しました。両選手のラップタイムにはまだ改善の余地があります。しかし、今日のテストを通じて収集したデータは貴重な武器になる」とヤンセンは考えています。これらのデータをもとに、いよいよこの金曜から始まる第2戦スペインGPの走行で、マシンセットアップの煮詰めとタイムアップを狙うための材料になるからです。

「今日のテストは、長い休止期間を経た後の準備運動のようなもの、といってもいいでしょう。この高い路面条件等に対応できるマシンセットアップの追究や、長い間バイクに乗れなかったライダーたちの順応など、今日は消化すべき多くのメニューがありました。さらに、今回のテスト以降、今シーズンのセッションではCovid-19の感染対策として、ピットで作業をする際にもマスクや透明な顔面防護カバーを着用している必要があります。コミュニケーションの面では、これはたしかに理想的とは言えないかもしれません。」

「しかし、なにものも健康と安全には変えることができません。また、パドックの皆が着用するため、我々だけが不利になるわけでもないので条件は同一で、飛沫感染を防ぐためには適切な措置といえるでしょう。今日のテストで集めたデータを木曜日一日かけてしっかりと分析し、金曜からのセッション開始に備えます。今年はこのような変則的な形になりましたが、我々NTS RW Racing GPはいつもと変わらぬファイティングスピリットと向上心で、選手とチーム全員が一丸となって最終戦まで全力で戦いぬきます。ようやく再開したシーズンに向け、これからも皆様の応援と変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます」

17日(金)にスタートする第2戦スペインGPのMoto2クラス走行セッションは、現地時間10時55分(日本時間午後5時55分)にフリープラクティス1回目がスタートします。
ボ・ベンスナイダー

ボ・ベンスナイダー選手(ゼッケン64)コメント

(26番手:走行タイム-1分44秒095)
「今日は久々の走行だったので厳しい面もあったけど、NTSのマシンに再び乗ることができたので楽しかったよ。今日はたくさんのメニューを消化したけれども、さらにまだやるべきことも山積みだ。フロントのフィーリングがまだ充分にしっくりこないけれども、今日のテストでしっかりと走りこんでデータを収集したので、金曜からの本番ではチームと力を合わせて大きく前進できる手応えがあるんだ」

ジェスコ・ラフィン選手(ゼッケン2)コメント

(28番手:走行タイム-1分44秒230)
「4ヶ月のブランクの後、再びバイクに乗ることができたので、本当にうれしかったよ!午前の走行では、まず、走り込みとフィーリングの獲得に集中した。とても気持ちよく走ることができた。午後はユーズドタイヤでレースを想定したテストを行った。その後に、新品タイヤを装着したときはブレーキのフィーリングがいまひとつだったので、チームが問題解決のために全力でがんばってくれた。この暑さや、マスクとフェイスカバー着用で思ったようには進まなかったけれども、金曜以降のセッションで一気に問題解決を目指したい」

生田目將弘(NTS代表コメント)

「大会関係者向けには合計60ページに及ぶ医療プロトコルが発布されていて、すべての項目は参加者自身の安全と、開催する地域での感染拡大防止に務めるためのものです。詳細かつ具体的な現地での行動規定が指示されて、それらに従い準じてピット内も通常時とは様子が違いますが、自分たちが製作したバイクがグランプリサーキットを再び走ることができる重みと喜びを噛みしめています。」

「本来は私もライダーとチームスタッフと共に現地で戦いたいところですが、自粛し日本から状況を見守っています。本日のヘレステストは20年型のNTSマシンにとってカタールGP以来、4カ月ぶりの走行でした。19年型から様々なアップデートを実施しているマシンなのでテスト項目としては多くの確認を改めて実施する時間に費やしました。事前に検討したテストメニューは概ね実施できましたので、いよいよ今週末のレース本番に向けて、テストモードからレースモードに気持ちも切り替えてファンやスポンサー、パートナー達とレースを再開できる喜びを共有できればと思っています。もちろん、そのうえチームとしてはレース結果をどん欲に追及していきたいと思っています。」

(Source: NTS)

(Photo courtesy of NTS)