



ドゥカティは2026年6月9日、同社初の現代的エンデューロマシンとなるDesmo450 EDSを発表した。デスモドロミックバルブ機構を採用する唯一の同クラスモデルとして開発され、2026年7月から欧州の一部ディーラーで販売を開始する。
Desmo450 EDSは、モトクロスマシンのDesmo450 MXをベースにエンデューロ専用設計へと進化させたモデルだ。長距離走行や多様な路面状況への対応を目的に、シャシーやエンジン、電子制御システムを全面的に見直した。
21インチフロントホイールと18インチリアホイールを採用し、タイヤにはMetzeler Six Days Extremeを装着。新設計の8.5リットル燃料タンクはアルミ製ペリメーターフレーム内に配置され、航続距離を向上させながら優れたライディングポジションを実現する。透明タンクを採用したことで、ライダーは燃料残量を一目で確認できる。
デスモドロミックバルブ機構を備える単気筒エンジンは、トルク特性とスムーズな出力特性を重視して再設計された。電動ファン付き冷却システムにより、過酷なエンデューロ環境でも安定した性能と高い信頼性を発揮する。
また、ハンドガード、エンジンガード、専用クラッチカバーおよびオルタネーターカバーを標準装備し、岩や障害物との接触から車体を保護する。
フロントフェアリングにはドゥカティのスーパーバイクを想起させる専用LEDヘッドライトを搭載。LCDメーターにはオフロード走行に必要な情報が表示される。
エンデューロ専用開発のシャシー
フレームはDesmo450 MXのアルミ製ペリメーターフレームをベースに、エンジンマウント部を中心に見直しを実施。エンデューロに適した剛性バランスを実現した。
フレーム重量は9kg未満で、構成部品はわずか11点。これは競合車の約半数に相当する。鋳造、鍛造、押出成形パーツを組み合わせ、ステアリングヘッドから上側ショックマウントを結ぶ前方部分は単一鋳造部品で構成される。
サスペンションは引き続きショーワ製を採用。複数回のエンデューロ世界王者であり欧州スーパークロス王者でもあるアントワーヌ・メオを含むテストライダー陣と共同開発した。
49mm倒立フォークは310mmのストローク量を持ち、Desmo450 MXより柔らかいスプリング設定とすることで岩や木の根などの衝撃吸収性能を向上。リアショックはプログレッシブリンク機構を介して装着され、加速時のトラクションと安定性を高めている。
その結果、アマチュアからプロフェッショナルまで扱いやすく、テクニカルなセクションでも高い安心感を提供するマシンに仕上がった。軽快なハンドリングと優れた方向転換性能により、レースや長時間のトレーニングにおける疲労軽減にも貢献する。
ブレーキはブレンボと共同開発。フロントには2ピストンフローティングキャリパー、リアには1ピストンキャリパーを採用する。ガルファー製ディスクはフロント260mm、リア240mmで、パッドはエンデューロ専用に設計された。
デスモドロミック採用の449.6cc単気筒エンジン
449.6cc単気筒エンジンはDesmo450 MX用ユニットをベースに、エンデューロ向けに大幅改良された。低中回転域で力強いトルクを発揮しながら、高回転域までスムーズに吹け上がる特性を持つ。
42mmスロットルボディ、専用カムシャフト、低圧縮ピストン、専用エキゾースト、慣性を高めたクランクシャフトおよびフライホイールを採用。扱いやすい出力特性と優れたトラクション性能を実現した。
低速セクションや自然の障害物、急勾配の登坂路で力を発揮する一方、高速林道やクロスカントリーテストでも十分なパフォーマンスを発揮する。
エンジン保護性能も向上しており、バルブカバー、イグニッションカバー、クラッチカバーには、MXモデルのマグネシウム製に代わり耐久性の高いアルミニウム製カバーを採用した。
クラッチ操作荷重はモトクロスモデルより軽減され、ライダーの疲労を抑制。トランスミッションは6速で、1速を低め、6速を高めに設定したエンデューロ専用ギア比を採用している。
冷却性能も強化
冷却系にはひし形ラジエーターを採用し、従来構造比で6.5%大きな放熱面積を確保。大型燃料タンクを搭載しながらもコンパクトな車体設計を維持した。
さらに電動ファンを標準装備し、低速域が続く難所でも安定した冷却性能を発揮。過酷なエンデューロ環境下での信頼性向上につながっている。
レーシングキットでエンデューロ専用DTCを搭載
認定ディーラーでDucati Performanceレーシングキットを装着すると、Desmo450 EDSはエンデューロ専用設定のDucati Traction Control(DTC)を利用できる。
このシステムは後輪の実際のスリップ量を検知しながら介入量を制御するため、迅速かつ自然な制御を実現。ジャンプ中など制御が不要な状況を自動判別して機能を停止する。
また、ライダーがフルパワーを使いたい場面ではクラッチレバーを軽く操作することで一時的に解除でき、その後自動復帰する仕組みとなっている。
DTCは4段階の介入レベルを設定可能。上級者向けと初心者向けにそれぞれ2段階が用意され、路面状況や走行スタイルに応じて選択できる。
レーシングキットには専用エキゾースト、吸気パーツ、専用ECUマッピングが含まれ、Launch Control、Engine Brake Control、Quickshifterも利用可能となる。各機能はWi-Fi接続対応のX-Linkアプリから設定できる。
ライダーごとに最適化される適応型メンテナンス
Desmo450 EDSは「MID」と「FULL」の2種類のメンテナンスプログラムを採用する。
MIDサービスではピストン交換とバルブクリアランス点検を実施し、エンジン状態に応じて90〜120時間で実施。FULLサービスではエンジン完全オーバーホールを行い、180〜240時間の範囲で管理される。
専用アルゴリズムがリアルタイムでエンジン負荷を分析し、走行路面や使用状況を考慮した摩耗率を算出。X-Linkアプリを通じて最適なメンテナンス時期を表示することで、ライダーごとの使用状況に合わせた整備スケジュールを実現している。
Ducati Performanceアクセサリーも展開
Ducati Performanceカタログでは、削り出しホイールハブやトリプルクランプ、フルエキゾーストシステム、アクラポビッチ製チタンスリップオンサイレンサー、Brembo Racing製ブレーキキャリパーなどを用意。今後さらにラインアップを拡充する予定だ。
また、Drudi Performanceとの共同開発によるファクトリースタイルのアパレルコレクションも展開。Alpinestars製ジャージ、パンツ、グローブ、ブーツ、アライ製ヘルメット、ウインドベスト、ソフトシェル、Spidi製レインジャケットなどが用意される。
2026年7月に欧州発売
Desmo450 EDSは2026年7月から欧州の一部ドゥカティディーラーで販売開始。その後、世界各地域へ順次展開される予定となっている。
※公道走行不可
主要諸元
カラー
ドゥカティレッド
エンジン
449.6cc デスモ450単気筒エンジン
フレーム
ツインスパーアルミニウムフレーム
燃料タンク容量
8.5リットル
フロントサスペンション
ショーワ製49mm倒立フォーク
ストローク310mm
フルアジャスタブル
カシマコート採用
リアサスペンション
ショーワ製モノショック
ストローク301mm
フルアジャスタブル
スイングアーム
鋳造アルミニウム製
ブレーキ
Brembo製
Galferディスク
フロント260mm
リア240mm
タイヤ
Metzeler Six Days Extreme
80/100-21
110/90-18
リム
Takasago Excelアルミニウムリム
Alpinaスポーク
電子制御
2パワーモード
2ライディングモード(レーシングキット装着時)
DTC
Launch Control
Quickshifter
Engine Brake Control
メンテナンス
ピストン交換:90時間ごと(最大120時間まで延長可能)
エンジンオーバーホール:180時間ごと(最大240時間まで延長可能)

中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近DucatiモンスターS4Rに乗り換えました。