グランプリコミッションは11月から12月にかけてオンラインミーティングを行い、2022年のMotoGPのレギュレーション改定を行った。

スポーツレギュレーション

予選

全クラスのライダーは、練習走行、予選を問わずに同一セッションにおける最速ライダーのタイムから105%以内のタイムであること。(※今までは107%)MotoGPのレギュレーションがアップデート[adchord]

年齢制限

各クラスに参戦出来る年齢制限が改定された。
・Moto3:16 歳 (2023年には18 歳 )
・Moto2:16 歳 (2023年には18 歳 )
・MotoGP:18 歳

Moto3についてはFIM Moto3ジュニア世界選手権、レッドブルMotoGPルーキーズカップの優勝ライダーが、契約ライダー、ワイルドカード、代役ライダーとして参戦する場合に最低年齢を満たしていない場合でも例外とする。しかし2022年にはこれら例外のケースも。最低年齢が15歳、2023年に16歳、2024年に17歳に変更となる。

2022年にMoto3に参戦したライダーが16歳だった場合、例外的に2023年に参戦が可能で、2022年にMoto2、Moto3の代役、ワイルドカードライダーの最低年齢は17歳となる。

テクニカルレギュレーション

MotoGPクラス

ライドハイトデバイスを搭載したバイクの検査手順が明確になった。従来はシーズン開幕戦で、マシンのエアロボディに関するサンプル、図面をテクニカルディレクターに提出する必要があったが、2022年はマシンのサンプル、もしくはこれらのパーツに関わる3D CADモデルを提出する必要がある。2022年も2021年に承認されたエアロボディを使用する場合、引き続き現行の承認プロセスを踏むことになる。

brembo(ブレンボ)からの要請で、ブレーキのディメンションとパッケージが改定された。カーボンブレーキディスクはかならず許可された外形である320mm、340mm、355mmのいずれかである必要がある。

いくつかのトラックにおいては安全上の理由から、レースディレクターがドライレースを宣言した場合、340mmもしくは355mmのカーボンディスクの使用が義務付けられる。なお、現在340mmサイズの使用が義務付けられているのは、もてぎ、スピルバーグ、ブリーラムの3つだ。今後これらのトラックでは、340mmもしくは355mmのカーボンディスクの使用が義務付けられる。

ウェットレースが制限された場合のディスクサイズに制限はない。今回の変更を受けて、ブレーキパッケージは2種類となり、最大€80,000のコストで供給されることとなる。

オプション1(現行) オプション2(新)
キャリパー 3 left + 3 right 2 left + 2 right
マスターシリンダー 3 3
カーボンディスク 10 10
パッド 28 32

MotoGPのレギュレーションがアップデート[adchord]

Moto2クラス

ブレーキシステムとディスクの冷却のみを目的として、フロントフェンダーにダクトを追加することが許可される。すべてのダクトは使用する前に承認を受けなければならず、テクニカルディレクターの決定が最終決定となる。

Moto3クラス

以下のアイテムは、今後パフォーマンスパーツとして指定され、ホモロゲーションが必要となる。
・プレッシャーレギュレーター
・燃料ポンプアッセンブリー

安全装備

レーシングスーツ、ブーツ、グローブのいかなる部分も、アクシデント発生時にライダーを保護することのみを目的とする。ライダーを空力的に補助するとみなされる部分は認められない。何をもって空力的と判断するか否かは、テクニカルディレクターの判断が最終決定となる。

レースに向けたフィットネス

レースコミッションはライダーが競技に復帰する際に関して新たなレギュレーションを導入。具体的には頭部外傷や脳震盪、腹部、胸部外傷、筋肉、骨に関する外傷などからの回復に関してルールが変更された。

ライダーのフィットネスに疑問が生じた場合、CMO、MotoGPメディカルディレクター、FIMメディカルオフィサーが、ライダーのフィットネスを証明するレポート等について、さらなる証拠を求めることが出来る。

ヘルメット

メディカルセンターに搬送されたライダーのヘルメットは、メディカルスタッフやCMOが保管、テクニカルディレクター、テクニカルスチュワードが管理し、ライダーもしくはチームマネージャーに返却される流れとなる。

脳震盪や意識喪失を含む頭部外傷の場合、国内法の特別な規定がない限り、ヘルメットはサラゴサ大学にあるFIMラボに送られ、専門家による検査と非破壊分析が行われなければならない。
MotoGPのレギュレーションがアップデート
ヘルメット製造メーカーはテストについて通知を受け、承認するか拒否するかの権利を有する。また、ヘルメット製造メーカーは研究所で行われる分析に立ち会うことが可能で、検査後、ヘルメットはライダー、チーム、メーカーのいずれかに返却される。

罰則規定

ジャンプスタートやコース制限などのレギュレーション違反の審査を行うポジション「ジャッジ・オブ・ファクト」が新設された。なお、「ジャッジ・オブ・ファクト」の決定に対する抗議は行なえない。

抗議や不服申し立てに関する情報、FIM MotoGPスチュワードパネルがトラックアクティビティー(練習走行やレース)中に行う決定事項については、公式掲示板だけでなく、モニターでも伝えられる。公式のスクリーンに表示された情報は有効な通知とみなされる。

(Photo courtesy of michelin)