2020年と今年の2月にセパン・インターナショナル・サーキットでテストをしているものの、MotoGPは久しぶりのセパンでのレースとなる。すべてのMotoGP世界選手権ライダーと密接に協力しているブレンボの技術者によれば、このサーキットは、ブレーキにとって最も要求の高いサーキットの1つだ。

熱帯気候による温度、ブレーキング区間の多さ、持続時間から、難易度指数は1~6で5と評価されている。この問題を解決するために、今年ブレンボは、熱交換を増加させ、その結果ディスクの冷却を改善する、355mmのカーボンファイバー製ベンチレーテッドディスクを発表している。[adchord]

MotoGPのための12種類のブレンボ製ディスク

ブレンボは、チームに幅広い種類のブレーキディスクを供給している。MotoGPライダーは、6種類のディスク形状から選ぶことができ、それぞれに2種類のカーボン・コンパウンドが用意されている。320 mmと340 mmのディスクには、ハイマスおよびスタンダードマスの形状があるが、355 mmディスクはハイマスのフィン付きのバージョンのみとなる。フィン付きのディスクには340mmのハイマスバージョンもあり、このブレーキディスクも、ブレーキシステムに最も要求の厳しいサーキットで使用されている。

素材は違えど、ストリートバイクにも同じ性能を

ストリートバイクやサーキット走行で使用されるバイクにカーボンファイバー製ディスクは装着されていない。しかし、MotoGPでの経験が市販製品の製造に好影響を与えている。

その例が、スチール製ブレーキバンドとビレットアルミニウム製ハウジングを備えたT-Driveディスクとなる。T-Driveの名前の由来は、ディスクの8本のT字型ピンと、ハウジングの同数のアウトラインにより、ファスナースタッドが不要になったことにある。これにより、アキシャルフローティングとラジアルフローティングの両方を実現し、熱的・機械的ストレスに対する耐性と伝達されるブレーキトルクを向上させた。

セパン以上にブレーキング時間が長いのはロサイルのみ

セパンではMotoGPで1周あたり11回、合計38秒のブレーキが使用され、レース全体の32%に相当する。この38秒はロサイルの40秒よりわずかに短いだけで、セパンではライダーは1周あたり13回ブレーキを使う。セパンでは4回のブレーキングで4秒以上、5秒以上のブレーキングが2回ある。最終コーナーは、わずか258mで時速255km分を減速するために5.7秒が必要となる。

減速度はブレーキング区間によって様々だが、ブレーキレバーに5kgの力を加えるターン9を含め、4つのポイントでは1.5Gを下回ることがない。スタートラインからチェッカーまでブレーキレバーにかかる力を合計すると770kgを超えるが、サンマリノGPの1200kgと比較するとかなり低い値となる。

6秒間のアドレナリン

サーキットにある11箇所のブレーキングセクションのうち、4つはブレーキングへの要求度が高く、1つは中程度の難易度、残りの6つは軽度のブレーキングが必要だ。

ブレーキにとって最も厳しいコーナーはターン1で、MotoGPバイクはここに時速323kmで進入し、264mの距離を6秒間かけてブレーキングした後、時速72kmでコーナーに進入する。ライダーは1.5Gの減速を行い、ブレーキレバーに5.7kgの圧力をかけ、ブレンボHTC 64Tのブレーキフルードの圧力は12.3barに達する。

(Photo courtesy of Brembo)

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