MotoGPワールドチャンピオンシップは、ミサノ(イタリア)、マンダリカ(インドネシア)での連戦に続き、「ライジング・サン」の地、日本へと移動し、第42回日本GPが開催される。当初、日本GPは鈴鹿で開催され、その後富士へ移り、再び鈴鹿へ戻ったが、最終的には栃木県のモビリティリゾートもてぎが開催地となった。このトラックは、これまでに19回の日本GPを開催し、2000年から2003年までの間には、パシフィックGPも4回行われており、その期間は毎年日本で2回のGPが開催されていた。

GPデータ

MotoGP全チームと密接に連携するブレンボの技術者によると、全長4.8kmのモビリティリゾートもてぎは、ブレーキに非常に高い負荷がかかるトラックとして分類されている。難易度6段階評価で「6」とされており、特に多くの低速コーナーがブレーキシステムの冷却を妨げる。ライダーは1周あたり10回ブレーキを使用し、合計33秒にわたって減速を行う。特に半数のブレーキングゾーンでは、減速速度が175km/hを超える。

記録とレギュレーション

国際モーターサイクリング連盟(FIM)が承認したレギュレーションでは、MotoGPバイクには直径320mm、340mm、355mmのカーボンディスクが使用可能だが、もてぎ、ブリーラム、セパン、レッドブルリングでは、ドライコンディションに限り320mmディスクの使用が禁止されている。ブレーキングの厳しいもてぎのようなトラックでは340mmか355mmのディスクを選択しなければならず、このルールは、ブレンボと協力して策定され、特にこれらのトラックではブレーキが非常に過酷な条件にさらされることが確認されている。

日本の夢

1980年代中頃、ホンダは「モーターゲレンデ」プロジェクトを構想し、国内各地にライダーが楽しめる施設を展開することを目指した。その頂点として国際レベルの巨大施設が計画され、最終的に「MT(モータートラック)」プロジェクトが始動。もてぎの地は、その広大さと東京から100kmの距離に位置することから選ばれた。そして1997年8月1日、ツインリンクもてぎが開業し、日本で初めての大規模施設として誕生した。

中上と日本GPの未来

2024年の日本GPは中上貴晶にとってフルタイムライダーとして最後のレースとなるが、2025年からはHRCのテストライダーとして新たな役割に移行する。その一方で、MotoGPでは小椋藍が中上の後を継ぎ、2025年にアプリリアでプレミアクラスに参戦予定だ。Moto2ではMTヘルメットMSIのボスコスクーロでタイトル争いを繰り広げており、MotoGPのカーボンディスクに慣れ親しむ準備が進んでいる。

最も過酷なコーナー

もてぎで最もブレーキに厳しいコーナーはターン1。ここでは、MotoGPバイクが285km/hから95km/hまでの減速を4.7秒で行い、224メートルの距離でブレーキレバーに5.4kgの力をかける。減速時のGフォースは1.5Gに達し、ブレーキ液の圧力は11.6バールまで上昇する。

2030年目標

昨年10月、モビリティリゾートもてぎは日本で最初の「OECM認証」を受けた地域の一つとなった。OECMは、保護地域ではないものの、長期的な保全効果を保証する場所です。これは、2030年までに世界の土地と海洋の30%を保護することを目標とした「30×30プロジェクト」に不可欠な要素となる。

(Photo courtesy of Brembo)