オーストリアGPで待望の初優勝

マルク・マルケスはオーストリアGPで念願の初優勝を飾った。週末を通して好調な走行を重ねた彼は、序盤からレースをリードする意図を持ちながらも、激しいバトルの中で冷静な判断を下し、マルコ・ベッツェッキやアルデゲルといったライバルたちを相手に見事なレース運びを見せた。

特にセクター3で際立った走りを見せたフェルミンの走行データを分析し、自身のスタイルと融合させたマルケスは、0.8秒差での勝利を掴み取った。次回は初開催となるハンガリーだ。

初優勝の喜び

「優勝できて嬉しいですね。初めて優勝できましたしね。今回はレッドのバイクに乗って優勝を逃すことはできないと語っていました。今週末は良い走行ができていましたね。マルコ・ベッツェッキは序盤に素晴らしいペースで、対照的にフェルミンは後半に素晴らしい追い上げでした。」

レース戦略とバトルの駆け引き

「今日は序盤からリードしようと思っていましたが、ペッコとのバトルになってしまいました。その後マルコに接近して抜いてレースをリードしようと思っていました。ここでは誰かの後ろについて走行すると、望んだブレーキングができませんしリアタイヤも摩耗します。この状況が嫌だったので、マルコ・ベッツェッキを少し先行させてフロントの温度を下げていきました。後ろから見てマルコがスネーキングを始めた時にアタックを仕掛けました。」

終盤の攻防とアルデゲルの脅威

「今日は後続を気にして見たときには1秒程度の差で誰かが後ろにいる状況でした。マルコを抜いた後にアルデゲルも近づいていることがわかりました。Ducatiライダーの中でもタイヤ温存がうまいライダーですから、自分も最後は全力でプッシュしました。彼が追いつけるか見ていたんですが、最終的には0.8秒の差で勝てましたね。」

フェルミンとの関係とチーム内の知識共有

「フェルミンとは良い関係がありますが、自分とアレックス、フェルミンは多くの知識を共有していますが、彼は現在最高のチームにいます。すでに素晴らしいシーズンを過ごしていると思いますし、彼の戦闘力が増してきたからといって今後も自分たちの関係は変わりません。」

現在のMotoGP勢力図とメーカーの動向

「シーズン前半は上位6台がDucatiということは珍しくありませんでしたが、ここ数戦はDucatiの結果も常に上位というわけではありません。同様に日本メーカーはコンセッションがありますから、成績が改善しつつありますね。その中でもDucatiは常にトップを維持していきたいと考えています。アプリリアはコンセプトが異なるバイクですが、強みも弱みもありつつも進化していると思います。苦手なトラックでも表彰台で完走できるのはマルコのライディングが素晴らしいからとも言えるでしょう。」

電子制御の変遷とDucatiの優位性

「自分がMotoGPにやってきた時、ホンダが使っていた電子制御は現在のものよりも優れていました。当時はオープンソフトウェアでしたし最高にスムーズでした。現在はすべてのライダーが同じパラメーターを使う共通ソフトウェアです。ホンダ、Ducatiも共通のソフトウェアを使っていますが、Ducatiのほうが扱いが上手なこともあってスムーズにライディングができます。ただ、電子制御というのは速く走るために使うものではなく、より安全にコンスタントに走行するためのものです。速く走るために電子制御を使うというのは良いライディングができていないということです。」

レースでのリスクと勝負勘

「レースや週末では常にアドバンテージを得ようとしています。自分の中にバトルにおける手がまだあるかわかりませんが、そうした走りをする時は常にリスクがあります。すべてのライダーが自分の手の内を完全に理解はしていません。最終ラップのアドレナリンの中からはマジックが起こることもありますから。」

セクター3での学びとタイヤマネジメント

「今週末自分よりもセクター3で左コーナーが速かったのはフェルミンだけなんです。ですから、彼のセクター3のデータを見ていました。彼は特にコーナリングスピードが高いのが特徴ですが、今週末のケーシングではこれは必要な走りでした。ストップ&ゴーでリアが動き回る中で、立ち上がりではグリップを発揮しにくい状況でした。今回のリアケーシングではコーナリングスピードを高めることで、タイヤの温存を助け、タイヤをプッシュしないことにつながっていました。セクター3の2つのコーナーでは彼のスタイルを真似て走り、それ以外は自分のスタイルでした。特に右コーナーでは彼のスタイルは素晴らしくて真似ができなかったんですよね。」