フィリップ・アイランドへの別れ MotoGP CEO カルメロ・エスペレーター

視界不良によりフィリップ・アイランドでの最後のレースは中止を余儀なくされ、このサーキットでの開催は幕を閉じた。MotoGP CEOのカルメロ・エスペレーターが、ファンへの感謝とともにこの伝説的な会場に別れを告げる。

フィリップ・アイランドとMotoGPの歩み

「世界のスポーツを見渡しても、その競技そのものを象徴するような会場は、本当にわずかしかないと思います。フィリップ・アイランドは、間違いなくそのひとつですね。」

「1987年に初めてレースが開催されてから、ここではファンの皆さんの記憶に残る素晴らしいレースが数えきれないほど生まれてきました。高速で流れるようなコースレイアウト、熱いお客さん、そしてモータースポーツの世界でも指折りの景色。その全部がそろっていたからこそ、MotoGPの歴史に残る名場面がいくつも生まれたのでしょう。」

レース中止という結末

「本当なら、今日もそうした名場面のひとつになるはずでした。ただ、視界不良のためにレースを中止せざるを得ず、こういう形でフィリップ・アイランドを去ることになってしまいました。安全が何より優先なのは変わりません。それでも、やはり残念な気持ちはあります。記録的な数のお客さんが来てくださる予定でしたし、このサーキットとの最後を見届けようと足を運んでくださったファンの方もたくさんいました。誰ひとり、こんな形で幕を下ろしたいとは思っていなかったはずです。でも、これだけ悔しいと感じるということ自体が、フィリップ・アイランドがMotoGPにとってどれだけ特別な場所だったかを表しているのかもしれません。」

「バス海峡を背にライダーたちが激しくバトルする姿は、何世代にもわたってファンの皆さんに愛されてきました。フィリップ・アイランドは世界のトップライダーたちを試す場所であり、勇気や技術、そして最後まであきらめない気持ちに、ほかのサーキットにはない形で応えてくれる場所だったと思います。」

オーストラリアン・グランプリ・コーポレーションへの敬意

「この章を閉じるにあたって、オーストラリアン・グランプリ・コーポレーション、そしてこのイベントをカレンダーの中でも特に愛され、尊敬されるラウンドに育ててくださったすべての方々に、心から敬意を表したいと思います。皆さんの熱意とプロとしての仕事ぶり、そしてこのスポーツへの愛情があったからこそ、ライダーもチームもファンも、何十年にもわたってここでレースをしてきました。」

ファンへの感謝

「そして何より、ファンの皆さんにお礼を言いたいです。どの時代でも、オーストラリアのファンの皆さんはMotoGPに来てくれました。ビクトリア州の方も、ほかの州から来てくださった方も、世界中から駆けつけてくださった方も、二輪レースの世界でほかにはない雰囲気をつくってくれました。皆さんの応援があったからこそ、フィリップ・アイランドは世界のモータースポーツを代表するイベントになれたんだと思います。」

「オーストラリアは、MotoGPそのものにも大きく貢献してきました。ウェイン・ガードナー、ミック・ドゥーハンから、ケーシー・ストーナー、ジャック・ミラーまで、オーストラリアのライダーたちはこの選手権の歴史をつくり、世界中のファンを魅了してきました。そして2027年には、セナ・アジウスがMotoGPクラスにデビューします。その伝統を、新しい世代が受け継いでいくわけです。」

アデレードへの期待

「フィリップ・アイランドが私たちにとって特別な場所であることは、これからも変わりません。ただ、スポーツは常に先を見ていかなければなりません。その先にあるもののひとつが、もっと多くの人にMotoGPを体験してもらうことです。今週末は、オーストラリアのMotoGPへの熱がどれほど深いかを改めて感じましたし、同時に、こういう特別な場所で大きな国際イベントを開くことの難しさも実感しました。」

「だからこそ、アデレードでの新しい挑戦にはすごく期待しているんです。街の中心でイベントを開けば、ホテルもレストランもエンターテインメントも、主要な交通機関もすぐそばにあります。これまで以上に多くの人にMotoGPを身近に感じてもらえますし、このスポーツの一番いい姿を楽しんでもらえるはずです。サーキットの中だけでなく街全体にイベントが広がっていくので、長年応援してくださっているファンの皆さんの観戦体験や設備をもっと良くしながら、まったく新しいファン層にもこのスポーツを届けられると思っています。」

「私たちが目指しているのは、ただMotoGPを別の場所に移すことではありません。オーストラリアで二輪レースがここまで成功してきた理由をしっかり土台にして、それをさらに上のレベルへ持っていきたいんです。もっと多くの人にこのスポーツを知ってもらって、もっと多くのファンに実際にMotoGPを見てもらう。世界から注目を集めて、この先何十年もオーストラリアでMotoGPが続いていく。そんな、わざわざ足を運びたくなるようなイベントにしたいと考えています。そしてそれは、フィリップ・アイランドで築いてきたものがなければ、絶対に実現できなかったことです。」

感謝とともに、次の章へ

「ここで生まれた思い出、世界中の何百万人という人たちを熱狂させたレース、パートナーの皆さんの献身、そしてオーストラリアのファンの皆さんの情熱。そのすべてが、私たちを今日この場所に連れてきてくれました。だから今日は、思い描いていた形での最後ではなかったとしても、ただ『ありがとう』と伝えたいです。」

「フィリップ・アイランド、ありがとう、そして、オーストラリアン・グランプリ・コーポレーションの皆さん、ありがとうございました。また、このスポーツの歴史をつくってくれた、何世代ものオーストラリアのライダーたちにも、ありがとうと伝えたいと思います。」

「最後に、このイベントをこんなに特別なものにしてくださったファンの皆さん、本当にありがとうございました。これまで積み重ねてきたものを土台に、ここから次の章が始まります。2027年、アデレードでお会いしましょう。」