開幕戦カタールでレプソルホンダのマルク・マルケス選手を抑えて優勝を飾ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手に、各メーカーが注目しているようです。現在パドック内にある噂としてはホンダ、そしてスズキがドヴィツィオーゾ選手の獲得に関心を持っているとのこと。
Ducatiはヤマハで圧倒的な強さを誇ったロレンソ選手に、ストーナー選手以来2人目となるDucatiでのタイトル獲得の期待を込めて契約を交わしましたが、ここまでDucatiのバイクへの適応に時間がかかるとは思っていなかったでしょうし、ロレンソ選手としてもここまで乗り換えに時間がかかるというのは予想外だったことでしょう。
しかし昨シーズンはドヴィツィオーゾ選手が素晴らしい活躍をし、最終戦バレンシアまでマルケス選手と互角のタイトル争いを演じました。ドヴィツィオーゾ選手自身もDucatiとの契約更新を当然望んでいるはずですが、何度かインタビューでも延べているのは「トップライダーとして正当な扱いをして欲しい」というもの。チームとの関係は良好なドヴィツィオーゾ選手ですから、これが契約金額のアップを意味しているのは間違いないでしょう。なお、ドヴィツィオーゾ選手の昨年の年俸は200万ユーロ(約2.6億円)だったと言われています。
一方のロレンソ選手の契約金は昨年の年俸で1200万ユーロ(約16億円)と言われており、2019年以降Ducatiとロレンソ選手が契約を更新するにしても、ここまでの金額が提示されることはないでしょう。Ducatiがロレンソ選手と契約を交わした当時、ロレンソ選手の評価は5度の世界タイトル保持者でしたが、現時点で契約交渉を行う際には、2017年シーズンに6勝を挙げたドヴィツィオーゾ選手に対し、残念ながら2017年シーズン0勝だったロレンソ選手は、契約金の交渉を行う上で有利であるとは言えません。
Ducatiは両ライダーとの契約続行を優先するとしていますが、マシン開発の方向性を長年に渡って理解しており、そしてなおかつ優勝する実力をつけたドヴィツィオーゾ選手をチームに留めることの優先度は非常に高いでしょう。数値の点から考えても、ドヴィツィオーゾ選手はあのケーシー・ストーナー選手以外の選手が苦戦を続けたデスモセディチで既に複数回、最も1対1のバトルにおいて負かすのが難しいと言われるマルケス選手に勝利しているわけです。
ドヴィツィオーゾ選手自身、仮にホンダやスズキから契約のオファーが来ていたとしても、乗るまではどんなバイクかもわからない車両に、戦闘力が上がってきているDucatiから乗り換えるとは思えません。そのため、ホンダやスズキからの契約オファーは、ドヴィツィオーゾ選手にとってはDucatiとの契約を有利に進めるための材料にしかならないだろうと言えます。ロレンソ選手の未来はある意味成績次第ですが、ドヴィツィオーゾ選手は現在のDucatiにおいて、まさにいなくてはならないライダーなのです。
(Photo courtesy of Ducati)
(Source: Ducati)