2017年4月30日(日)、ようやく青空に恵まれたCEV Repsol国際選手権第1戦アルバセテの決勝レースが行われました。2016年のCEV Repsol moto2チャンピオン、#44スティーブン・オデンダール選手にとっても、また元世界GPmoto3ライダーの#76尾野弘樹選手にとっても、初めてのシャーシでのレースとなりました。20周のレースです。
オデンダール選手は良いスタートを決め、8番手スタートから5番手に浮上。一方の尾野選手は1つ順位を落とし14番手スタートの15番手で1周目を終えました。6周目に入ると、オデンダール選手が動きを見せます。マシンを激しくプッシュし始め、表彰台獲得に向けて(前を行くライダーの)猛追跡を開始。
ラップライムを1分33秒137にまで入れ、それは#55H.Syahrin選手がマークしたレースベストタイムに0.17差まで迫るハイペースで、3番手争いの相手となる#51E.Granado選手と1秒以内のギャップでバトルを開始しました。20周のレースも残り4周に入ったところで、1コーナーの進入で素晴らしいハードブレーキングを見せオデンダール選手はGranado選手を抜き3位に浮上。その瞬間、チームは後方から追ってくる#37A.Fernandez選手とのアドバンテージが保持され、(そのまま)表彰台にオデンダール選手が上がることを期待しました。
残り3周、3位走行中のオデンダール選手と後方から迫ってきたFernandez選手とのバトルは0.1秒以内の激しい競り合いとなり、8コーナーで惜しくもFernandez選手に抜かれてしまい、そのまま最終ラップまで抜き返すことが出来ず、オデンダール選手は約0.06秒差で表彰台を逃し4位完走となりました。
尾野選手は12位完走を果たしたものの、その成果はむしろリザルトシートに乗る12位完走という順位よりも、レース中に彼が見せた進化にあると思っています。それは次戦に向けてとても良いサインだと思っています。彼の順応性の高さと進化は、(周を重ねるごとに更新されていった)彼のラップチャートに見ることが出来ます。序盤は1分36秒台注番で周回しましたが、中盤から後半に掛けては1分34秒497(16周目)にまでタイムを上げており、それは本イベントで記録されたベストタイムと比較しても1.5秒差まで迫ってきています。
このCEV Repsol国際選手権が最も競争レベルの高いイベントであることを考慮すれば、尾野選手がどれ程早くmoto2というクラスと、NTS製のシャーシの特性を吸収し始めているかという事実に、期待は膨らみます。結果として、両ライダーともポイントを獲得することができましたので、ひとつひとつの積み重ねで年間のチャンピオンシップ獲得に向けて引き続き努力していきます。
#44スティーブン・オデンダール選手コメント (4位完走、13ポイント獲得)
「これまでに経験が無いことなのですが、何故かレース1周目からリアタイヤのイニシャルグリップ不足を感じました。リアタイヤのグリップが通常通り上がっていればレース終盤まで落ちなかったタイムを考えれば、序盤でもっと上位に着いて行けたのではないかと思っています。(4位という結果について)初戦を終えるベストな順位だとは思っていませんが、少なくともポイントを持ち帰ることが出来ましたので、この後徐々に追い上げていきたいと思っています。一歩一歩ですが今後の改良が実を結び、次の目標となる表彰台獲得という目的を達成したいと願う一方で、このチームの努力と自分の努力があれば、(目標達成も)そう遠くないところにあるとも思っています。」
#76尾野弘樹選手コメント(12位完走、4ポイント獲得)
「スタートでは失敗してしまい、1つ順位を落としてしまいました。5周目までの序盤はどうやって前のライダーに付いていったら良いかを把握しきれないまま走ることってしまい、その間に徐々に離されていってしまいました。レース中盤になって、moto2のレースでの走りのイメージを掴み始めてきたところで、8コーナーと1コーナーの侵入でフロントのバイブレーションに悩まされていました。一方で、それ以外のマシンの挙動や安心感は全てポジティブだと感じていて、それはタイムにも表れていました。周回を重ねるごとにタイムを上げていけていたのと、周回を重ねてもマシンの挙動に大きな変化もなく安定して良いタイムで走り続けることが出来ていたので、自分の経験値を上げていくことで次のレースでは武器になるマシン特性で、とてもポジティブな点だと思っています。次戦まで長いインターバルがあるので、次のレースではライバル達と対等に争えるくらいまで持っていきたいと思っています。」
生田目將弘、チームオーナーコメント
「まずは両ライダーともに初めて尽くしの挑戦で、現時点での精一杯の力を出し切ってくれたことに感謝したいです。冬季のマシン開発をもとに初戦に挑みましたが、新たな課題も具体化してきたので引き続き開発を進めることで1戦でも早くライダー達の好成績に結び付けられるような体制づくりにも継続して努力をしていきます。計算上はスティーブンの3位表彰台は見えていたのですが、そこはレースの難しさでした。悔しさはありますが、課題と同時に明らかにポジティブだったマシンの特性も確認出来たので、良いところを伸ばせるように努力していきます。また本プロジェクトに協力してくれるすべての人の力を借りることになりますが、共に戦っていきたいと思います。」
<株式会社エヌ・ティー・エス プレスリリース>
※管理人注釈 下記のリンクからYoutubeで決勝レースを全てご覧いただけます。
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