アプリリアはセパン・インターナショナル・サーキットにおいて、2020年型のRS-GPを披露した。この車両は90°狭角の完全新型となるV型4気筒エンジン、シャーシ、エキゾーストを含む全てが基本的に新規設計のバイクとなり、昨年のバレンシアテストでは、アレイシ・エスパルガロ、アンドレア・イアンノーネなどが電子制御セッティングのためのデータ収集を進めていた。

2020年型のRS-GPを見ていくと、一番目立つのが巨大なウイングを含むボディワークで、エアロボディーの最大幅は600mm以下とするレギュレーションの目一杯のサイズまでウイングサイズを大きくしたと考えられる。
RS-GP 2020
同様にフロントカウル先端はフロントホイールアクスル軸よりだいぶ前に位置しており、こちらもボディワークはフロントタイヤ先端を垂直に延長したラインから150mmの位置にあってはならない。というレギュレーション項目のおそらくギリギリの寸法となっているように見える。

強力なダウンフォース発生が狙いか?

車体フロント部分を細くし限界までウイング幅を確保するというデザインは、2017年にDucatiが披露して話題となった通称”ハンマーヘッドシャークカウル”に似たデザインで、加速時のウイリーをメカニカルな部分で抑えこみ、電子制御(アンチウイリー、トラクションコントロール)の介入を減少させるという設計思想が伺える。
RS-GP 2020
ここまで巨大なウイングがあることで減速時の安定性は高まるだろうが、ハンマーヘッドシャークカウルを使用したドヴィツィオーゾは、「ポジティブな点がネガティブ点よりも少ない。ダウンフォースがあって安定感はあるが、コーナーの中でネガティブさを感じる」と過去に述べており、コーナリング中の挙動に特徴があること、強力なダウンフォース=トップスピードがある程度犠牲となることは避けられないのでないだろうか。

カーボン地に白い文字がびっしりと書かれているが、これはアプリリアの本拠地であるNoaleのレーシング部門全員の名前とのこと。この新型RS-GPにかけるアプリリアの意気込みを表していると言えるだろう。

元フェラーリF1のスポーツディレクターであるマッシモ・リヴォラが、2019年シーズンからアプリリアレーシングCEOに就任しているが、MotoGPよりも遥かに進んだエアロダイナミクス、電子制御の世界からのインプットが、2020年のアプリリアRS-GPにある程度持ち込まれていると考えると、2020年のアプリリアの飛躍を期待したい。

RS-GP 2020
なお、2月2日からのシェイクダウンテストでこの車両はデビューせず、ブラッドリー・スミスの代わりにロレンソ・サヴァドーリが2019年型のRS-GPを操縦、2月7日からのオフィシャルテストで、アレイシ・エスパルガロ、ブラッドリー・スミスがこの2020年型を操縦する。

(Source: aprilia)

(Photo courtesy of aprilia)

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