MotoGPは3週間で3レースをこなす形で進行している。全22人のMotoGPクラスのライダーと密接に協力しているブレンボの技術者によれば、チャーン・インターナショナル・サーキットは、ブレーキにとって最も過酷なサーキットのひとつだという。実際、使用されているディスクの直径は355mm(14インチ)となる。

このコースはドイツ人のヘルマン・ティルケによって設計され、首都バンコクから北へ410km(255マイル)離れたブリーラムにある。コースレイアウトは、ハードブレーキングで終わる非常に長いストレートと、適切なペースを見つけることが重要な2速、3速のコーナーが交互に現れるものだ。

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地元のヒーロー、チャントラ

タイのモーターサイクルはかなり歴史が浅く、ソムキャット・チャントラはそのなかでも傑出した存在だ。24歳の彼は2018年の第1回タイMoto3 GPで世界選手権デビューを果たし、7位という素晴らしい結果を残してすぐに注目を集めた。翌年にはホンダ・チーム・アジアの公式ライダーとしてMoto2に参戦し、2022年初頭からこのカテゴリーで最高のライダーのひとりとみなされている。

10月初旬、チャントラ(ブレンボ製キャリパーとマスターシリンダーを装着したMoto2マシン)は、もてぎで完璧な週末を過ごした。フリープラクティスのすべてのセッションでトップに立ち、ポールポジションを獲得し優勝している。なお、最速ラップを獲得しただけでなく、スタートからフィニッシュまでレースを終始リードしてのゴールだった。

序盤パートにシビアな箇所が集中

MotoGPライダーはコース上にある12のコーナーのうち7つでブレーキを使用する。7つのブレーキングポイントのうち4つは最初の5つのコーナーで、そこまではストレートセクションが続く。コース後半の注目すべきコーナーはターン12のみで、ライダーは213メートルの距離でブレーキングを行い、時速200キロ弱までスピードを落とさなければならない。

スタートラインからチェッカーフラッグを受けるまで、MotoGPライダーがブレンボ製ブレーキレバーにかける力をすべて合計すると、820kgを超える。幸いなことに、湿度の高さが多少影響しているとはいえ、2コーナー以上ブレーキングが続けてもライダーに負担はかからない。

時速250kmを6秒で減速

チャーン・インターナショナル・サーキットにある7つのブレーキングセクションのうち、3つはブレーキへの負担が非常に大きく、別の3つは難易度が中程度で、軽度なブレーキングは1つだけだ。ブレーキングシステムにとって最も過酷なのは、ほぼ1kmのストレートが続く3つ目のコーナーで、バイクは293mの距離を6秒で時速327kmから77kmまで減速する。この時、ライダーはブレーキレバーに5.2kgの圧力をかけ、1.8Gの減速Gを受ける。

(Photo courtesy of brembo)

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