ジョナサン・レイが語るホンダテストライダーとしての再出発 FIM スーパーバイク世界選手権(SBK)

苦難と興奮の交錯

2026年、ジョナサン・レイはホンダのテストライダーとして新たな一歩を踏み出した。度重なるトラブルと苛烈な移動スケジュールに見舞われながらも、楽しみながらホンダのテストチームでの時間を過ごしているようだ。新しいマシン、新しい仲間、そして未知のシステム。まるで転校初日のような心持ちで挑んだテストは、順風満帆とは言えない幕開けとなったが、それでもレイは前向きな姿勢を崩さない。バックシフトやポジションの違和感、膝の痛みにも向き合いながら、彼は一歩ずつ新しいホンダの一員としての道を歩み始めている。

ホンダでの再始動と波乱の幕開け

「今回の挑戦は、単なる新しい始まりというよりは、自分自身のリスタートだと感じています。実は、今回のテストに来るまでが本当に大変でした。今年はなんだか災難続きでして、パスポート、財布、クレジットカード、さらにはイヤホンまで失くしてしまいました。幸い、自分は国籍を2つ持っているのでパスポートを複数持っており、なんとか帰国はできそうですが、本当に散々なスタートでしたね。」

「移動もまさに強行軍でした。バルセロナからアイルランドの自宅に5時間だけ滞在し、そこからオーストラリアへ向かって4日間過ごし、またバルセロナに戻って12時間後にはセビリアへという、目まぐるしいスケジュールでした。レンタカーでもトラブルがありました。Booking.comで予約したんですが、保険が含まれていないと言われ、追加で240ポンド(※約46800円)も請求されそうになったんです。結局、隣のレンタカー会社で借り直しましたが、最初に払った100ユーロ(※約17000円)は無駄になってしまいました。もうあそこでは予約しませんね。」

「新しいオフィス」とホンダの印象

「新しいチーム、新しい友人、そして学ぶべき新しい科目。ベテランと呼ばれる年齢になりましたが、いまだに転校初日の小学生のような気分で、興奮と緊張が入り混じっています。でも、緊張しなくなったら、それはもう引退すべき時だと思っています。マシンに跨ると、そこはまるで『新しいオフィス』のようです。見たこともないボタンがたくさんあって、それらを一つひとつ理解していくのはとても刺激的な経験です。」

「ホンダのマシンはパワーがあって、乗っていてとても気持ちがいいですね。特にバックストレートを全開で駆け抜ける感覚は、これまでのマシンにはなかった素晴らしいものです。ただ、エンジンが非常に高回転まで回るので、これまでの癖でシフトアップのタイミングに少し戸惑っています。今はまだシフトライトを完璧には使いこなせていません。ライディングに関しては、まだ少しぎこちなさが残っています。一番の課題はバックシフト(シフトダウン)です。操作をミスしてしまうことがあるんです。」

「9年間カワサキに乗っていましたから、そのポジションが身体に染み付いています。ハンドル、シート、ステップの『ライダートライアングル』はライダーにとって非常に重要ですが、今のホンダのマシンは私には少しフラットすぎると感じています。もっと自分に馴染むポジションを見つけなければなりません。」

テストの成果とこれから

「現在は膝に痛みがあり、特に深く曲げる必要がある右コーナーでは苦労しています。体調は万全ではありませんが、それでもコースを走れるのは嬉しいことです。チームのスタッフと一緒にコースを下見したんですが、面白かったですよ。自分はバイクがどこを通るべきか分かっていますが、スタッフの中にはレーシングラインを全く分かっていない人もいて、見ていて微笑ましかったです。」

「テスト終盤には、テストチームが驚くような非常に大胆な変更を試みました。それが功を奏し、課題だったリアグリップが改善されたんです。ユーズドタイヤでも良いタイムが出せるようになったことは、大きな自信に繋がりました。今は開幕戦のフィリップアイランドのことが頭をよぎりますが、焦ってはいけません。まずはマシンに慣れ、一貫したフィードバックをチームに返せるようになることが最優先です。」

「奇跡は一晩では起きませんが、この素晴らしいプロジェクトの一員になれたことを誇りに思います。スタッフのモチベーションも非常に高く、 vibe(雰囲気)も最高です。一歩ずつ、確実に進んでいきたいと思っています。」