
ミシュラン、最高峰11年目の集大成へ タイヤ本数削減で持続可能性を加速
ミシュラン・モータースポーツは、2026年シーズンのMotoGPに向けてタイヤ供給体制を進化させる。大半のグランプリでフロントタイヤのスペック数を削減しつつ、各スペックあたりの本数を増加。パフォーマンスレベルを維持しながら、製造・輸送・リサイクルにおける総タイヤ本数を大幅に削減する。ミシュランにとっては最高峰クラス参戦11年連続のシーズンであり、数々の記録を刻んできたサイクルの最終章となる。

マチュー・ボナールデル(ミシュラン・モータースポーツ ディレクター)
「MotoGPのように要求水準が高く、激しい選手権において、11シーズンは単なるスポーツサイクル以上の意味を持ちます。それは人間的、技術的、そして感情的な側面を伴う特別な冒険であり、絶え間ない挑戦に突き動かされてきました。2016年の復帰以来、私たちは単なるサプライヤーとしての役割を担ってきたわけではありません。常に真のパートナーであることを目指してきました。サーキットに常駐する技術者、チームとの緊密な関係、そして質の高い対話が、強固な信頼関係を築いてきたのです。」
「当然ながら、すべてはタイヤの安定した品質なくして実現し得ませんでした。バイクがより複雑に、より高速に、より空力性能を高める中で、またスプリントレース導入といった構造的変化があった中でも、私たちのタイヤは常に存在し、多くの場合で一歩先を行っていました。複数の公平な技術的選択肢を提供することで、ライダーはスターティンググリッド上であっても最後の瞬間までタイヤ選択を調整できます。全スペックが同時に使用される状況は偶然ではなく、あらゆる戦略とライディングスタイルに対応できる証です。」
「最終戦でタイトルが決定したり、勝敗が数千分の一秒で分かれたりする光景を見ることは、私たちにとって大きな喜びです。数々の記録更新は目的そのものではありません。それは長期にわたる厳格で集団的な努力の成果であり、卓越性のみが許される環境で築かれてきました。この成果は、パートナーとの技術対話やデータ共有を通じてバイク開発にも貢献してきました。」
「ミシュランにとってパフォーマンス追求は、環境への責任を統合したより広いビジョンの一部です。スペック数やタイヤ本数の削減、そしてMotoE世界選手権への参画は、最高レベルの性能基準を損なうことなく革新できることを示してきました。」
「2026年シーズンはMotoGPにおける一つの区切りとなりますが、物語が終わるわけではありません。11年間で得た知見は、他カテゴリーや市販車用タイヤ開発へと活かされていきます。この期間はMotoGPの歴史に刻まれるものになると確信しています。」

「より少ない資源でより多くを成す」という哲学のもと、ミシュランは大半のグランプリで提供スペック数を削減しつつ、配分を最適化する。持続可能性と資源効率化を重視した戦略の一環であり、環境負荷低減と最高峰レベルのパフォーマンス維持を両立させる取り組みだ。この決定はチーム、ドルナスポーツ、IRTA、MSMAとの協議を経て定義され、「グランプリ委員会」によって正式承認された。
2026年は大半のグランプリでフロントタイヤが2スペックとなる。2025年は3スペックだった。一方で1スペックあたりの本数は5本から7本へ増加。1台あたり週末に供給されるフロントタイヤは14本となり、2025年の15本から減少する。シーズン全体で約500本の競技用タイヤ削減につながり、製造・輸送・リサイクルを通じたカーボンフットプリントを大幅に低減する。
この新配分は、各サーキット特性やライディングスタイルに合わせ、より適したスペックを多く使用できるため、戦略的自由度を高める。

ピエロ・タラマッソ(ミシュラン・モータースポーツ 二輪競技部門マネージャー)
「今回のフロントタイヤ配分の合理化は、2018年に始めた取り組みの延長線上にあります。過去8シーズンで、ライダーに提供するスペック数を半減させながら、安全性とパフォーマンスを継続的に向上させてきました。2018年は19戦でフロント・リア合計58スペックでしたが、2026年は22戦で27スペックです。最適化を進めることで製造・輸送・リサイクル本数を段階的に削減してきました。技術革新、スポーツパフォーマンス、環境責任の両立に向けた決意を改めて示すものです。」
大半のグランプリで、各ライダーはフロント14本(各コンパウンド7本)、リア12本(最も軟らかいコンパウンド7本、最も硬いコンパウンド5本)が供給される。ウエットタイヤは従来通りフロント6本、リア7本(ソフト、ミディアムの2スペック)。3日間で使用可能な本数はフロント最大10本、リア最大12本。
リアは多くの場合非対称構造で、左右コーナー数に応じ補強度を変える。一方フロントはほぼ対称構造だが、ザクセンリンク、フィリップアイランド、バレンシアの3戦のみ例外で、2/3対1/3の比率で異なるコンパウンドを組み合わせる。
天候影響の大きいサーキットでは例外措置
気象変動の影響を受けやすいル・マン、シルバーストン、ザクセンリンク、フィリップアイランド、バレンシアでは、2025年と同様にフロント3スペック(各5本)を維持し、安全性と公平性を確保する。
ピエロ・タラマッソ(ミシュラン・モータースポーツ 二輪競技部門マネージャー)
「MotoGPはモータースポーツの中でも特に過酷な環境です。2023年にスプリントが導入されて以降、土曜は予選並みのペースで走り、日曜は倍の距離を異なる気象条件下で戦います。最初のコーナーから高い性能を発揮しつつ、距離を通じて安定性を保つタイヤが求められます。一見相反する特性ですが、私たちは実現してきました。バイクとサーキットのデータ分析、制約の精緻な理解が不可欠です。このフォーマットは私たちのソリューションの堅牢性を証明しています。」
「異なる特性を持つバイクやライダーに対し、単一のタイヤ供給で公平性を確保することは大きな挑戦です。複数の構造とコンパウンドを用意することで、戦略や技術的選択の幅を持たせています。勝負が最終コーナーまでもつれるとき、バランスが実現されたと言えます。それに貢献できることを誇りに思います。」
「振り返れば、最も印象に残るのは人とチームの力です。記録や技術進歩の裏には、ミシュラン・モータースポーツ全員の献身があります。MotoGP関係者との緊密な関係が決定的でした。競争の精神を尊重しながら進化を続ける姿勢こそが、私たちのDNAです。」

2026年も継続するレースフォーマット
2023年導入のフォーマットは継続。金曜午前のフリー走行、午後の1時間プラクティスで上位10名がQ2へ直行。土曜午前のフリー走行2後、Q1上位2名が加わり12名でQ2を争う。土曜午後に約20分のスプリント(グランプリの半分の周回数)、日曜に決勝が行われる。
2026年カレンダーと参戦体制
2026年はブラジル(ゴイアニア)が新たに加わり、アルゼンチンに代わる。ブラジルでは規則に基づき追加スペックが持ち込まれる。開幕戦はタイ・ブリーラム。シルバーストンは8月開催へ復帰。カタルーニャは5月開催へ戻る。全22戦で世界各地域を巡る過密日程となる。
2026年はミシュランにとってMotoGPサイクルの終章。しかし11年間で築いた技術と実績は、次の舞台へ確実に継承される。性能、公平性、そして環境責任。その三位一体を掲げ、最高峰の戦いに最後まで挑む。

中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近DucatiモンスターS4Rに乗り換えました。







