先日のタイGPにおいてアレイシ・エスパルガロはミシュランのテクニシャン達がハードリアタイヤの使用を勧める中でソフトタイヤを選択。結果的には後半にタイヤマネジメントに苦戦し13位でレースを終えました。

短いインタビューの中で語っていたのが「2018年型のRS-GPは完全に方向性を間違えてしまった。2017年型のほうが遥かに戦闘力があった。2019年型のバイクは高い戦闘力を発揮する必要がある。」ということ。ロマーノ・アルベシアーノは「2019年型は戦闘力が高いバイクになる」と語っていましたが、似たような話は過去に何度もありました。

同じく2015年から参戦を開始しているスズキ(※2014年最終戦にスポット参戦)と比較するのは、完全なファクトリー参戦体制とは言えないアプリリアには酷な話ですが、現状のアプリリアはリソース不足から開発・改善が進まず、ライダーからするとアプリリアの後には移籍もMotoGPクラスで参戦を続けることも難しい形になってしまうメーカーとなってしまっています。

これ以上の優遇処置をアプリリアだけが受けるのも妙な話ですし、そういったルールに変更もならないでしょうが、世界最高峰の舞台であるMotoGPに参戦する以上、ファクトリーチームとしての最低限の活躍はして欲しいところ。昨年話題となったサム・ロウズの途中降板も、親会社のピアッジオグループからの「結果を出せ」という圧力が行き過ぎた結果という話もあります。

さらに資金や人材が投入されるような話も出てきませんが、MotoGPに参戦する以上は結果を出してブランディングに役立てたいとメーカーとしては思っているはずでしょう。現状のやり方で全く結果が出ないのであれば、資金をさらに投入して優秀な開発側の人材を確保する/本腰を入れた参戦体制とするか、結果が出ないと諦めて参戦を辞めるかという選択になるでしょう。

WSBで結果を出したRSV4を生み出したメーカーですから競争力のあるマシンを開発出来ないわけではないはずですが、RSV4の開発を主導したとされるジジ・ダッリーニャは、今やDucatiのデスモセディチの開発には欠かせない人物。再びアプリリアに連れ戻すのは不可能でしょう。今後アプリリアが大きなブレイクスルーを迎えるには、ライダーの変更ではなく、参戦体制/開発体制の再構築が必要だと言えます。

(Photo courtesy of michelin)