空気圧を上げるためにアレックスの後ろにつく戦略を取った

マルク・マルケスがドゥカティ・レノボ・チームでのデビュー戦をポールポジション、スプリントーレース、決勝レースの優勝で飾り、最高の船出を迎えた。さらに、弟アレックス・マルケスとともにMotoGPクラスの1位・2位を分け合い、「家族がどれほど喜んでいるか想像もできない」と語った。

レースでは序盤に快適な走行を見せたが、タイヤ空気圧の問題が発生。空気圧を適正範囲に上げるためにブレーキングを強化し、さらに戦略的にアレックスの後ろにつく決断を下した。そして、規定を満たしつつ残り3周で勝負に出る計算を立て、見事に勝利を掴んだ。「今日はスピードがあったので、この戦略を取ることができた。チームの素晴らしい仕事に感謝している」と振り返った。

マルク・マルケス

「Ducatiレノボチームとの新たな旅をポールポジションと優勝でスタート出来るのは夢のようです。そしてMotoGPクラスの優勝と2位を弟とシェア出来るのは最高です。いかに自分の両親が嬉しいか想像も出来ません。今日はアレックスの後ろで非常に暑い中で苦しいレースでした。ただ、タイヤ空気圧の問題でああせざるを得ませんでした。最高のチャンピオンシップのスタートですね。」

「スタート後の最初の2周は快適に走行していました。その後タイヤプレッシャーが適正なレンジではないことに気がついたんです。ですから2周目から3周目にかけてブレーキングを強く、長くかけて空気圧を上げるようにしたんです。

「ただ、これは自分一人では十分に出来ないということに気が付き、アレックスを待って彼の後ろに入ることにしたんです。残りの周回数とタイヤ空気圧のレギュレーションの事を考えて必要な周回数を計算し、残り3周でアタックをかければ問題ないと計算して、残り3周でアタックを行ったんです。(※全体の60%で規定圧力を超えていないければレギュレーション違反)

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「その後アレックスの後ろで必要な周回数をこなし、それからアタックをかけました。今日はスピードがあったのでこういった戦略を取ることが出来ましたね。プレシーズンを通じてチームが素晴らしい仕事をしてくれたことに感謝しています。」

「バイクもチームも本当に快適です。今日はこうした小さな問題がありましたけど、自分達はまだ新しいチームです。まだ互いに理解を進めているところですからね。」

「アレックスのほうが自分よりもコンスタントに速かったのはターン7とターン8でした。ただ、加速については自分はそこまでハードに行っていませんでした。それよりもブレーキングを遅めに強く行って空気圧を高めることに集中していました。スリップについたままでブレーキングをすると強くブレーキング出来ませんからね。今日はとにかくフロント空気圧を高めることをメインに考えて走っていました。通常は逆ですけどね。」

「シーズンを2勝、37ポイント獲得してスタートすることは本当に嬉しいです。マレーシアで良いフィーリングがあったので、タイでも可能性はあると思っていました。マレーシアではペッコとアレックスと近いレベルで走行出来たので、タイでは最初から良いフィーリングがありました。状況は変わるかもしれませんが、今のこの瞬間を楽しんでいきたいですし、シーズンを通じてそうしていきたいですね。」

「オーバーテイクをする際は弟でもチームメイトでもライバルはライバルです。そして同時にミスを避けてクリーンに抜きたいと思っています。ただ、限界の状況であれば激しいオーバーテイクになることもあります。今日はしっかりとコントロール出来ていましたし、どこでオーバーテイクをかけるか明確でした。抜いた後は少しプッシュして走行し、アレックスがペッコとのギャップを意識して走るような形になればいいと思っていました。」

「アレックスをオーバーテイクする時はフロントがロックしましたが、ハードブレーキングではリアブレーキも使っているんです。ペッコはサムブレーキでこれを上手に行っているのでブレーキングが強いわけですが、自分は同じようにプレシーズン試してみたんですが、上手く出来ていません。自分は足でリアブレーキをかけていましたが、ブレーキをリリースした瞬間にフロントがロックしていました。ただ、レースに置いては3つか4つ、最大のリスクを取りつつミスが出来ない局面があるんです。」

「今日の暑さは酷かったですね。リードしている時はともかく後ろにつくと呼吸が苦しいですし、手、足あらゆる箇所が暑く感じます。ただ、数年前のインド開催のレースのほうがさらに過酷でしたね。」

「弟とこうしてチャンピオンシップをリードするのは最高の気分です。MotoGPですからこれ以上はないわけです。その場でこうして2人で揃っていると言うのは言葉にできない喜びです。両親がどれだけ嬉しいか、そして天国の祖父母がどれだけ喜んでいるかと思います。」

「今日の戦略はスタートから2周プッシュするというものでした。ペッコが終盤にアタックをしかけてくることは予想していましたからね。後ろにアレックスがいてギャップがあることに気がついてレースをコントロールしていこうと思ったんです。ただ、タイヤの空気圧が走行を重ねてきた中で規定値以下だとわかり、戦略を変えないといけないと理解しました。」

「スローダウンしてアレックスの後ろで空気圧を高めるというライディングをしていましたが、フロントは動き回りコントロールは非常に難しかったです。タイヤ空気圧が事前にかなり低かったかはわかりませんが、チームもまだ自分の事を理解してきれていない側面はあります。」

自分はレース中にライディングスタイルを変えますし、このトラックに関しては同じタイムを出しながら、3つのライディングスタイルを使い分けることが可能です。ライディングスタイルを変えるなかで、空気圧を上げる上では良いライディングではなかったのかもしれませんが、これは将来に向けて良い経験になりました。

(Photo courtesy of michelin)