マルク・マルケスは今週末のオーストリアGPで現地入りした。今回の目的はトラックでバイクを見ることではなく、混迷を極めるプロジェクトに関して、チーム、そしてホンダのエンジニア達と話し合いを行うことにあるとしている。復帰の時期については来週のドクターのチェックで回復具合が明らかになってからわかるとしているが、リハビリの最終ステップはバイクに乗ることで完成すると語った。[adchord]
HRCは厳しい状況にある
マルク・マルケス
「今回の手術は自分のキャリアを終える可能性のある手術でしたから、回復にはドクターと共に慎重に時間をかけて取り組んでいます。来週にはさらに負荷をかけて良いかどうかのチェックを行います。今のところ腕の回復は悪くないと思います。」
「HRCは厳しい状況にあります。すべてのライダーが苦戦をしています。こういう状況を考えるとHRCが良い状況にはないと言えます。前回バイクに乗ったのはムジェロですが、それまでは2020年、2021年のバイクを理解している状況でした。その時点でバイクとの接点をかなり失っている状態でしたが、2022年型に乗って感じたのはなにもかもが新しいということでした。」
「その時からサンティやHRCのエンジニア達と日常的な繋がりを深くしないといけないと感じていました。今回ここにきたのはトラックでバイクを見るためではなくて、彼らと話をするためです。自分は何をどうすべきと言う立場にありませんが、それでもプロジェクトと密接な繋がりを持っていたいと思ったんです。現時点では1人のライダーとして出来ることではなく、チームでプロジェクト全体に取り組む必要があるんです。」
来週に重要な検査がある
「現時点で復帰の日時はわかりません。来週の重要な検査があり、そこでいろいろな検査を行います。その時点でさらにトレーニングの強度を高めて良いかどうかがわかります。そうなってくるとリハビリのスケジュールも作成が出来ますから、復帰の日時もわかってくるでしょう。まずは骨の強度ですが、後は腕、全身の筋肉の回復が必要です。」
「ただドクターがあと1週間と言うのであれば、それを尊重していきます。しかし体が80%ほど仕上がった状態でMotoGPバイクの乗れるのであれば、MotoGPバイクの乗るために戻ってきます。結局最後のトレーニングに関してはMotoGPバイクの乗ることで完成するわけですからね。バイクに乗らずに100%の状況になるのは不可能です。」
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問題の本質はバイクではなくてプロジェクトだと思う
「前回ムジェロでバイクの乗って、その時に感じたのはバイクからバイクの良い部分を取り出すのが難しいということでした。どかで失っている部分があるというよりは全体的な問題だと感じました。ですから、問題の本質はバイクではなくてプロジェクトだと思います。この難しい局面において最も重要なのはチーム内部に情報でしょうね。情報がチーム内でスムーズに流れるようになれば問題を解決出来ると思いますし、皆のモチベーションも上がるでしょう。」
「自分はチームの中でライダー目線でチームを助けたいと思っています。重要なのは2023年のプロジェクトをしっかりと理解することです。ヨーロッパでチームは懸命に作業していますが、ホンダ側も懸命に今まで以上に作業をしてくれています。しかし、レース回数が増えてテストの日数がどんどん少なくなっている現状では、ホンダ側の作業の重要性が今まで以上に増しているんです。」
「自分はプロジェクト自体をどう回すかをアドバイスする立場にはありませんが、プロジェクトとして今は変わらねばならない時期になっていると感じます。ですから、チームがバイクを走らせることと、ホンダ側がしっかりと足並みを合わせて行く必要があるんです。」
今までのバイクの作り方は通用しない
「ホンダは今までのやり方で過去10年間タイトルを何度も獲得してきました。ですからヨーロッパのような作業の仕方をすべきということではありません。しかし状況は変わっていますし、チャンピオンシップも変わってきています。ルーキーライダーがMotoGPバイクへの適合を進めるように、どうやったら速く走れるかを考えて開発していく必要があります。」
「最悪なのはパニックになることですから、今の状況を分析して改善を進めていくことが必要です。自分はホンダを100%信じているからこそ腕の手術を受けました。共にタイトルを獲得するには、皆が同じ方向を向いて作業を進めて行く必要があります。」
「ホンダに望むのは勝てるバイクです。しかし、これからのバイクは今まで自分が勝利してきたバイクの作り方が通用しないとも感じています。ライダーとして言えるのはバイクの弱点、他のバイクと比較してどこに負けている、苦戦するポイントなどです。しかしそこからバイクを開発していくのはエンジニアですからね。」
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弟との関係性は変わらない
「来年は弟がDucatiで参戦するわけですが、弟との関係は変わりません。バレンティーノ・ロッシがランチで行っているように、自分と弟はハイレベルなトレーニングを共にしているんです。彼も2度の世界王者ですからね。互いにトレーニングをするわけですが、ライディングスタイルと技術的なことを両方ともシェアするわけではありません。」
「しかしトラックで走れば、彼は彼の秘密をチームと持っていますし、自分は自分の秘密をチームと持っています。そして今後は彼の秘密をチームとDucatiと共有し、自分はチームとホンダと秘密を共有します。互いにこれを明かすことはありませんが、今後も密接にトレーニングをしていくことは変わらないでしょう。」
「少なくともアレックス・リンスのホンダ加入は明らかになっています。彼はスズキでスピードを発揮していますが、こうしたホンダ以外のメーカーのライダーがプロジェクトに入ってくるのは面白いですね。」
(Photo courtesy of HRC)