秋になるとMotoGPは東に移動し、2022年はオーストラリアを含む4つのGPが開催される。24人の最高峰クラスのライダー全員と密接に仕事をするブレンボの技術者によると、ツインリンクもてぎはブレーキに非常に厳しいサーキットだ。難易度指数1から6までの難易度指数では6と評価されている。
MotoGPが使用するのは、高速コーナーが数箇所と低速コーナーが多く、中程度の長さのストレートセクションが点在するロードサーキットだ。コーナーのうち7つは時速100km以下で走行し、2速で回るコーナーが多いため、ブレーキング時のディスクの冷却が難しく、ブレーキに最も負担のかかるコースのひとつと言える。
強大なMotoGP用ブレンボ製ディスク
ブレーキシステムに最も要求の厳しいサーキットに取り組むため、ブレンボは2022年に、340mm(133/8インチ)のものと並んで、直径355mm(14インチ)のカーボンファイバー製ベンチレーテッドディスクをMotoGPに導入した。これらのディスクは、セパン、ヘレス、バルセロナでのテストやスピルバーグのサーキットで使用され、ライダーに大きな満足感を与えている。[adchord]
安全上の理由から、もてぎ、スピルバーグ、ブリーラムでは355mmか340mmのディスクを選択しなければならず、320mm(125/8インチ)は使用できない。なお、320mmディスクについては、他のGPではすべて使用できることがレギュレーションで決まっている。ただし、ウエット宣言が出された場合は、ブレーキの強度が下がるため、この制限は適用されない。
ロードバイク用ブレンボディスク
直径355mmのディスクは、MotoGPの歴史において記録を樹立したが、量産バイクの上限はもっと低くなっている。直径に関して最大のブレンボ製フローティングディスクは、ドゥカティ・パニガーレに使用されている330 mm(13インチ)のものだ。
ブレーキにとって究極のテスト
もてぎツインリンクの14コーナーのうち、10のコーナーでブレーキが必要となり、そのうち5コーナーではブレーキが4秒以上使用される。ターン1では、時速228kmまで減速するのに必要な時間である5秒間のブレーキングが必要となる。続くブレーキングセクションでも同様にブレーキ時間が長いため、MotoGPライダーは1周あたり34秒、日本GPの3分の1の時間でブレーキを使っていることになる。
ターン5では、ブレーキレバーに5.6kgの負荷がかかり、ブレンボHTC 64Tのブレーキフルードは12barの圧力に達するなど、非常に激しいブレーキングが行われている。スタートラインからチェッカーフラッグまで、ライダーがブレンボ製ブレーキレバーにかけるすべての力を合計すると、約950kg(1.05t)になる。
5つのハードなブレーキングセクション
サーキットにある10のブレーキングセクションのうち、5つが非常に難しいブレーキングとされ、2つが中程度の難易度、3つが軽度のブレーキングとされている。
MotoGPは時速311kmでターン11に進入し、時速81kmに減速するまでの5.3秒間、ブレーキをかける。この間、ライダーはブレーキレバーに6.2kgの圧力をかけ、バイクは230mの距離を走り、ブレーキフルードの圧力は13.3バールにまで上昇する。
(Photo courtesy of brembo ブレンボ)
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