
KTMでの“復活”へ ロレンソが語るマーべリック・ビニャーレスの才能
昨年後半に怪我によりKTMの戦列を離れ、長期の離脱を強いられたマーべリック・ビニャーレスについて、ホルヘ・ロレンソはその回復と復帰に強い期待を寄せている。フィジカル面の問題は解消し、テストでは肩にも不安が見られなかったと語るロレンソは、昨年後半、欠場する直前までマーべリックがKTMで最速の存在だったと断言。若き才能ペドロ・アコスタの台頭を認めながらも、ビニャーレスにはそれに負けないスピードと才能があるとし、今季は“トップKTMライダー”を目指すとしている。また、それ以外の各陣営についても元チャンピオンとしての鋭いコメントを紹介している。
Ducatiの支配力とKTMの課題
「残念ながらDucatiがかなりほかを圧倒していますね。ブレーキングも安定していますし、深いバンクから20%程度のスロットル開度の状態からピックアップしていく時もスムーズです。他のライバル車は挙動が神経質になっていますしKTMもそういったエリアでピーキーさが残っています。アレックス、マルク、ペッコがスプリントシミュレーションにおいても非常に強力です。ただ1つのトラックでの話ですから、他のトラックでは状況が変わり可能性があります。現時点ではDucatiが強いですね。」
「Ducatiのリアデバイスは大きく進化していますね。スタートだけでなく最近はコーナーでもデバイスが使われていますが、Ducatiのバイクは本当に車体が低くなっており、これがウイリーの抑制に効果を発揮していると思います。それに巨大なF1のようなウイングを装備することで強力なダウンフォースを生み出しており、加速時にバイクを路面に押し付けるのに役立っていると思います。昨年は大きく進化していないDucatiですが、今年は明らかに前進していますね。アプリリアも悪くないですし、ホンダもステップアップしています。KTMも改善していますが、十分な改善を遂げてはいないと思います。」
ヤマハの新たな挑戦
「ヤマハは今まで直列4気筒エンジンを使用していました。それがV型4気筒という完全に異なるエンジンになったわけです。新しいバイクはまだスタートしたばかりですから、エンジンが故障したりパワーが出てこないことは理解できます。簡単なことではないと思います。他のブランドはこの形式のエンジンを使ってきた歴史が長いですからね。」
マルク・マルケスの進化
「マルクの凄いことは新しいライディングスタイルを自分で生み出していることです。マルクはかつての自分のようなスムーズさ、ブレーキングでのミスがなくワイドにもならない正確さを持っており、バイクのピックアップもスムーズです。彼がMotoGPデビューを果たした時は真逆のライディングでした。彼のかつての速さは彼の才能、勇敢さ、リスクを犯すことで発揮されていました。今の彼はすべてを計算しつくして走っています。10年前とは大きな違いですよ。」
ルール変更の影響とライダーへの影響
「ファンが外から見ていて気づくことができないものとして、ルールが変わると大きな影響があるんです。MotoGPでは誰もがトップライダーですから、小さな違いが大きな変化を生み出します。ヤマハにいた2014年もそうですが、2013年は自分がマルク・マルケスとチャンピオンシップ争いをしていたものが、ルール変更によってタイヤが固くなり燃料タンク容量が2L少なくなりました。外から見ると小さな変化ですが自分の成績はシーズン序盤に惨憺たるものでした。ペッコは素晴らしいチャンピオンライダーで、緻密なライディングが特徴のライダーです。昨年は彼の良さが発揮されていませんでしたが、彼が快適に感じることが出来れば彼はタイトル争いに加わってくるでしょう。」
ペッコへの期待と必要な支援
「フランチェスコ・バニャイアに必要なのは誰か彼を助けてくれる人でしょうね。何かしら新しいものを試す中で1つは助けになるものがあるかもしれません。自分が苦戦していた時は、常にどうすればさらに改善できるかを考えていました。ペッコはすでにこうしたことを実施しているかもしれませんが、外から見る限りでは何かしらの手立てが必要に見えます。今は彼はバイクに対して良いフィーリングを感じることが出来ているように見えますね。」
ペドロ・アコスタの台頭とKTM内の戦い
「ペドロは間違いなくトップライダーの1人ですし、タイトルを獲得するライダーのメンタルを持っています。彼は2位を良しとせず優勝を狙っています。今のチーム、バイクなどのコンディションを考えると、まだ優勝ができる状態ではないかもしれません。それもあって彼は嬉しいと感じていないわけですが、マーべリックとペドロのタイムはさほど変わりませんから、KTM内でこの2人で競い合っている状況ですね。」
ホンダの進化とライダー陣の印象
「ホンダは大きく進化していますし、アレイシ・エスパルガロがテストした後に”今まで乗った中で最高のMotoGPバイクだ”と語ったこともあります。アレイシは時々大げさですが、彼なりに何かを感じたんでしょう。実際にマリーニもトップ5ですし、ジョアン・ミルのスピードもあります。ホンダのレースシミュレーションはDucatiほどに強くありませんでしたけどね。Ducatiのバイクは良いペースを長時間維持することが容易なように思えますね。」
ルーキーにとってのMotoGPの難しさ
「現在のMotoGPは今までよりもルーキーには厳しいですね。自分がステップアップした時よりも3回テストが少ないわけです。それにF1のようなエアロダイナミクスもありますし、様々な電子制御もありますし。トップスピードの速さもそうですがコーナーリングスピードも速いです。タイヤの性能も上がってますから。モレイラは昨年後半にしっかりとポイントを量産してタイトルを獲得しましたが、素晴らしいメンタルの強さだと思います。」
モレイラとホンダの未来
「ブラジル人の若いライダーですから、チャンピオンシップにおいて非常に重要だと思います。ホンダがこうした若き才能を獲得できたことを嬉しく思います。ブラジル人の彼が将来的にトップ争いをしてくれることを願っています。」
2027年に向けた技術変化と注目ライダー
「来年はエンジン排気量だけでなくピレリタイヤに変わります。10年間続いたミシュランからピレリに変わるわけですが、ピレリはMotoGPの経験がありません。ピレリのほうが摩耗が早くグリップ変化が大きいと予想されます。トプラックにとっては有利になるでしょう。ホンダはおそらくファビオ・クアルタラロを確保したようですが、彼は自分が思うスピードがあるライダーのトップ5に入ります。ホンダのバイクがさらに強くなり、さらにそこにファビオ・クアルタラロという強力なライダーが加わればタイトル争いも現実的でしょう。」
アコスタの移籍可能性とマルクの影響力
「自分はアコスタがDucatiに加入するとは思いません。マルクは弟をプッシュするでしょうし、Ducatiは2回タイトルをもたらしたペッコにチャンスを与えると思っています。それにマルクはペドロのような野心的な若い才能をチームメイトに欲しがらないでしょう。もしマルクがこうした人事に何も口出しをしなかったらということも考えられますが、状況を注視したいですね。もしこれが実現したら偉大なチャンピオンと、将来的にそうなる可能性がある若き才能が、グリッド上で最高のバイクで走ることになるわけです。強力でしょうね。」
ビニャーレスの復調とKTMでの可能性
「マーべリック・ビニャーレスの肩の回復状況には満足しています。初日の後の2日目の朝でも肩に問題は出ていませんでした。MotoGPではフィジカルコンディションに問題があるとスピードは発揮できません。バイクをライディングするにあたっては十分なコンディションだと感じています。」
「マーべリック・ビニャーレスにとってKTMの昨年後半の進化を感じられず欠場していたのは耐え難かっただろうと思います。自分にも過去に同様のことがありましたが、未来が明るく見えている状況が1秒で変わってしまうんです。そして2ヶ月、3ヶ月、マーべリックの場合は半年も何も出来ずにいたんです。マーべリックは怪我まではKTMで最速の選手でした。ペドロにスピードがあることは間違いありませんが、ペドロがスピードを発揮してもマーべリックはスピードを発揮できると信じています。」
「今年のマーべリック・ビニャーレスの目標はKTMでトップになることです。もちろんペドロという若き才能、エネルギーを持った選手がいるわけですが、マーべリックにはスピードと才能があります。バイクのセットアップが決まれば優勝争いができるレースが出てくるはずです。」
「2026年も楽しみですが、Ducatiのバイクから馬力を少し拝借したいですね(笑)このトラックではDucatiが3台も4台も強かったですから。できるならKTMのライバル全てから馬力を拝借したいですが(笑)それは出来ないのでタイに向けてさらに改善をしたいですね。KTMもベストと言える状況になるトラックがあると思っています。」
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近DucatiモンスターS4Rに乗り換えました。