スローコーナーの連続がMotoGPバイクにクーリングの暇を与えない日本グランプリ

2017年世界選手権15戦目となるMotoGP日本グランプリが、フォーミュラ1から1週間後の10月13日から15日にかけて、ツインリンクもてぎにて開催されます。ホンダが手掛けたこのサーキットは、栃木県芳賀郡茂木町の丘の上に1997年に開業しました。

「ツインリンクもてぎ」の名前由来は、英語の「Twin(ツイン)」とドイツ語の「Ring(リンク)」を合わせた造語で、これはオーバルコースとロードコースの2つのトラックがターン5-6および11-12間で交差することを意味しています。MotoGPバイクが使用するのはもちろん、ロードコースです。ロードコースはファストコーナーが非常に少なく、逆にスローコーナーが多く設けられ、その合間に中程度のストレートが点在しています。このコースでは約100 km/hまでスピードを落として進入しなければならないコーナーが7箇所もあります。

2速でのコーナリングが頻発するこのトラックは、1999年の世界選手権デビューから現在に至るまで、ブレーキにとって最も過酷なトラックとして知られています。ブレーキングポイント間の距離が短いこのコースでは、1つのブレーキセクションから次のセクションまでの間にディスクをクールダウンさせることが非常に難しくなります。ターマック100%のコースはグリップが良好でかつ路面への制動力も非常によく伝わりますが、その反面、ブレーキへのストレスは非常に大きなものとなります。FIMのレギュレーションがこのトラックに限り、340 mmディスクの使用を強制的に求めているのはこのためです。

2017年MotoGPのあらゆるパイロットのサポートに入っているブレンボの技術者によれば、ツインリンクもてぎはブレーキにとって非常に過酷なサーキットであるということです。1~5のスケールのうち、もてぎの難易度スコアは5とされています。これはセパン、そしてその他ヨーロッパの2箇所のサーキットと並ぶスコアです。

GPにおけるブレーキへの負荷

ツインリンクもてぎの14箇所あるコーナーのうち、ブレーキングが必要なのは10箇所。更にそのうち5箇所において、ライダーは4秒間以上のブレーキングを行うことになります。このような構成から、ラップ当たりのブレーキング時間は35秒にのぼり、これはレース全体の実に33%を占めます。世界選手権においてここまでレース全体に対するブレーキング時間の割合が高いサーキットは、他にはへレスしかありません。

もてぎのロードコースには中程度の長さのブレーキングセクションも3箇所あるため(それぞれ約41~94mの間)、減速度平均値はそれほど高くなく、約1.1 gに留まりますが、それでもこれは例えばホンダシビックType Rが100kgから急停止したときの減速度を上回る数値です。スタートラインからチェッカーフラッグまでの間にライダーがブレンボのブレーキレバーにかける力をトータルすると、これは1.2トン以上に上ります。実際のところ、これはツインリンクもてぎの博物館に展示されているASIMO(ホンダが設計したロボット) 25体分の重量に匹敵します。

最も過酷なブレーキングセクション

サーキットの10箇所あるブレーキングセクションのうち、3箇所はブレーキにとって「難易度高」、4箇所は「難易度中」、そして残りの3箇所は「難易度低」と評価されています。その中でブレーキングシステムとライダーの両者に最も大きなストレス(減速度1.5 g)を与えるのが、ターン11の90°コーナーです。MotoGPバイクはこのコーナーに約307 km/hのスピードで到達し、5.2秒間のブレーキングで約85 km/hまで減速します。この短い時間の中で、ライダーはレバーに7.7 kgの力をかけながら約263 mの距離を進み、ブレンボのHTC 64Tブレーキフルードの圧力は1.32MPa近くに上ります。

ターン1、3、および5の減速度は1.4 gです。中でもターン5は約270 km/hから4.9秒、約222 m以内で約76 km/hまで減速しなければならないため、ライダーへの負荷(約8kg)とブレーキフルードへの負荷(1.36MPa)が特に大きくなります。

ターン3の測定値はそれほど突出しておらず控えめではあるものの、それでもトラック内の他のコーナーの平均値よりは高くなっています。ターン3の場合、バイクは約211 m、4.4秒間の間に約177 km/hの減速を行います(約270 km/hから約93 km/hへ)。

ブレンボのパフォーマンス

日本グランプリが「もてぎ」で初めて開催された2004年から、MotoGPレースでは常にブレンボのブレーキを搭載したモーターサイクルが勝利しています。初めて勝利を飾ったのは、玉田 誠(ホンダ)です。一方、同じく「もてぎ」で開催された4回のパシフィックグランプリもまた、優勝マシンにはブレンボのブレーキがすべて搭載されていました。「もてぎ」でこれまでに行われたレース結果の記録を一部抜粋すると以下の通りとなります。

ホンダ 8勝
ドゥカティ 4勝(その内3勝は連続でロリス・カピロッシ)
ヤマハ 4勝
スズキ 1勝

直近の6レースにおいては、ダニ・ペドロサを筆頭として3人のスペイン人ライダーが立て続けに勝利しています。ちなみにアンドレア・ドヴィツィオーゾは2004年に一度だけ、125 ccクラスでこのトラックでの優勝を果たしています(ホンダ)。

<ブレンボ プレスリリース>

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